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総合的な通学路の安全対策に関する提言を申し入れ

 

                        
  党政務調査会長を務める石井啓一は、7月26日(木)午後、党通学路の安全対策プロジェクトチームの浜田昌良座長(参院議員)らとともに、首相官邸を訪れ、藤村修官房長官に総合的な通学路の安全対策に関する提言を申し入れた。
 これには、池坊保子衆院議員、荒木清寛、山本香苗、石川博崇の各参院議員が同行した。

       

  同プロジェクトチームは、4月に京都府亀岡市で起きた、軽自動車が集団登校中の児童と保護者の列に突っ込んだ事故などを受けて発足。既に5月16日に緊急提言を行い、これを受け、文部科学省、国土交通省、警察庁が全国に通知を発し、全ての公立小学校で合同総点検が実施されている。
  この日の提言は、3省庁にとどまらず、官民の知恵を結集して、総合的な取り組みを推進するためのもの。
  席上、石井啓一は、通学路における交通事故の原因に関して、居眠り、不注意、無免許などのルール違反のほか、運転者のモラルが低下傾向にあることに言及。「少なくとも『ルールを守っている歩行者は守られる』ことを確保するため、歩行者優先・人間優先の交通体系という理念の徹底が急務だ。」と訴え、中央交通安全対策会議の早期実施や、交通安全対策基本法に人間優先の理念を明確に位置付けることなどを要請した。
  さらに、子どもたちの安全を守るために、@安全対策のための緊急予算執行A継続的安全点検のための人材育成 B「通学路」の法的位置付けの明確化や「無免許運転」防止策の再検討など、関連法規制の見直し C道路地図出版事業者に対する通学路配慮の協力要請 Dカーナビでの通学路表示や音声による注意喚起など、民間の知恵を生かした対策の推進―などを提案した。
  藤村官房長官は、交通事故遺族の会などからのヒアリングや、事故現場の視察を精力的に行い、提言をまとめた党プロジェクトチームに対し「敬意を表する」と述べた上で、対策に前向きに取り組む考えを強調。交通対策会議の実施について、担当の大臣に「至急、指示する」と応じた。


 通学路安全性対策の総合的取り組みに向けて(提言)の全文は次の通り



        通学路安全性対策の総合的取り組みに向けて(提言)


                                        平成24年7月26日

                                       公明党政務調査会
                            通学路の安全対策プロジェクトチーム


  4月23日、京都府亀岡市で軽自動車が集団登校中の児童と保護者の列に突っ込み3人が死亡、7人が重軽傷という痛ましい事故が発生し、その後も、各地で登下校時の児童が死傷する事故が立て続けに発生した。
  1970年に「交通戦争」と言われて以来、我が国の交通事故死亡者数は減少してきているものの、その中で歩行者が占める比率がむしろ上昇し2008年以降、1974年以来再び最も多くなるという特異な状況にある。また、負傷者数も85万人を超えており、1970年代の水準にある。
  その意味で、未だ「交通戦争」は終わっておらず、今その犠牲になっているのは子どもたちなどの交通弱者である。
  20年前に、「通学路総点検」を提唱し、子どもたちの命を守ってきた公明党として、今般新たにプロジェクトチームを立ち上げ、5月16日に、文部科学大臣に緊急提言を行った。
  これを受け、5月30日には、文部科学省、国土交通省及び警察庁から全国に通知が発せられ、全ての公立小学校で初の合同総点検が行われるとともに、6月26日には3省庁合同の有識者懇談会も設置されるなど、行政も動き出したことは一歩前進である。
  しかし、今日政府に対して求められる対応は、3省庁に留まらない官民の知恵を結集し、国民の意識改革をも見据えた「総合的取り組み」である。プロジェクトチームとして、6月1日には4年前5人の児童が死傷した埼玉県所沢市の事故現場を視察し、関係者からの当時の取り組みについてご意見を伺うとともに、関係行政機関、交通情報関連民間事業者、全国交通事故遺族の会などからあわせて計10回にわたりヒアリングを行った。
  ここにその結果を踏まえ、以下のプロジェクトチーム第2回目の提言を行うこととする。

1.歩行者優先・人間優先の交通体系の徹底(内閣府・全省庁)
  近年頻発している通学での交通事故の原因として、居眠り、不注意、無免許などの明らかなルール違反が多く挙げられる一方、運転者のモラルの劣化により、道路交通法上の「横断歩道等における歩行者等の優先」や
「過労運転の等の禁止」などの規定が形骸化し、それを遵守しようとする精神が風化しているとの指摘がある。我が国で導入が始まっている「ゾーン30」も単なる30キロ制限速度区域ととらえられており、その淵源とも言われ、子どもの交通事故を機に1970年代にオランダから欧州に広がった「ボンネルフ(生活の庭)」の理念が活かされていないとの指摘もある。
  少なくとも、「ルールを守っている歩行者は守られる」ことを確保するため、歩行者優先・人間優先の交通体系という理念の徹底が急務である。このため、中央交通安全対策会議・交通安全対策本部を早期に招集し、本年9月の交通安全週間に再度徹底するとともに、交通安全対策基本法の条文においてその理念を明確に位置づけることや昨年策定された第9次交通安全基本計画の死傷者削減目標に子どもや歩行者の視点を踏まえた目標を追記することの検討を可及的速やかに開始すべきである。

2.通学路総点検の円滑な実施及びその成果の反映のための情報提供及び関連予算の拡充
@学校安全対策のための緊急予算執行及び継続的安全点検のための人材育成(文部科学省等)
  5月30日の3省庁通知を受けて、全ての公立小学校において合同通学路総点検が8月までに行われることとなった一方、その対応に苦慮する声や、さらにその調査結果を受けてとりまとめられる対応策の検討に際しても、予算的な制約から対策がとられないまま放置しかねないといった指摘がなされている。
  早急に、3省庁連携して対応策とりまとめに当たって参考となる資料・事例等情報提供に積極的に取り組むとともに、予備費の活用などにより総点検実施にかかる費用やスクールガードリーダーなど外部専門家などの派遣が可能となるよう所要の予算執行を行うべきである。
  あわせて今回の総点検で得られた調査結果を、政府として集約・分析し、結果に基づく優先課題に対しては、関係省庁が連携して予算措置を含めた施策を講じるとともに、今回の総点検が一過性のものとならないために、英国のRoad Safety Officerのように、学校と各関係諸機関との間で調整・提言を行う通学路安全対策の専門家の育成などを含め、今回の安全点検体制を継続させ、検証する体制を再構築すべきである。
A交通安全対策予算の抜本的拡充(警察庁、国土交通省等)
  総点検の結果を「点検のための点検」に終わらせないためにも、信号機の設置や路側帯のカラー化など「目に見える」諸対策の速やかな実施が望まれる。一方、都道府県公安委員会の交通安全施設整備予算及び警察庁の補助予算がピークからそれぞれ半減、或いは6割となっている現状を踏まえ、平成25年度概算要求さらに今後補正予算を検討するに当たっては、交通安全対策予算の抜本的拡充を行うべきである。

3.通学路に係る交通安全関連法規制の見直し
@「通学路」の法的位置づけの明確化(文部科学省、警察庁等)
  学校保健安全法及び道路交通法上、「通学路」が明確に位置づけられていないことから、その選定・届け出、規制・標識・表示体制などが不明確なっている。4.の民間事業者との連携を図る上でもこのことが大きな障害となっていることから、その明確化を早急に行い、必要であれば所要の法改正を行うべきである。
A道路交通法における「通学中の児童生徒への安全配慮」の明確化と講習・安全教育での徹底(警察庁等)
  現在、道路交通法においてはスクールバス側方通過の際の徐行義務、歩車区分のない道路や高齢者・障がい者に対する安全配慮義務は規定されているものの、「通学中の児童生徒への安全配慮義務」は明確になっていない。運転者の意識再啓発のためにもその義務の明確化を行うなどにより、同法に基づく講習、交通安全教育、運転免許取得者教育等で徹底を行うべきである。
B「安全歩行エリア」の積極的導入と住民参加の交通規制見直しの仕組み作り(国土交通省、警察庁、総務省、農林水産省等)
  「ゾーン30」などの面的速度規制や生活道路への流入規制を内容とする「安心歩行エリア」が推進されている。この制度の弾力化・関連施策との連携などを進めるとともに、具体的規制内容・整備内容や住民間のルールについての合意形成を推進するための早い段階からの住民参加の仕組み作りなどのあり方を検討し、@優先権を車に与えない、A子どもが道路で遊んだり住民が道路で休憩し、語り合ったりすることを禁止しないなどの「ボンネルフ(生活の庭)」の理念へさらに近づけていくべきである。
  また、これまでの我が国の道路整備においては、歩行者を主体とする視点が乏しかった。今後は、歩行者の目線から道路を整備するという視点も踏まえ、生活道路では道路を蛇行させたり、段差を付けたりする等事故が起きにくい道路を整備するとともに歩車分離式信号機の普及を図り、車も人も共存できる社会を目指すべきである。
  その他、踏切や農道においては、通学路として活用される場合のルールが確立されていない。通学路の安全対策について、鉄道事業者、農業関係者等の理解を深め、具体的な対策を促す取り組みも、今回の点検を契機に検討すべきである。
C危険運転致死傷罪の適用のあり方を含めた「無免許運転」防止策の見直し(法務省、警察庁)
  4月の亀岡の事件が法定の構成要素を満たさず、結果として「危険運転致死傷罪」での起訴とはならなかった。また、無免許運転者が悪質な交通違反・重大な事故を引き起こして実態も踏まえ、これらの刑罰のあり方について、再発防止の観点から再検討すべきである。

4.民間活力と創意工夫による通学路安全対策の推進(文部科学省、経済産業省、国土交通省等)
@道路地図出版事業者への通学路配慮協力要請
  近年の通学路での交通事故は、当該通学路が「抜け道」となっていた場合が多くなっているとの指摘がある一方、抜け道マップ作成事業者からは、「通学路」についての最大の配慮は行っているものの、通学路については全国統一化された公の情報源がないことから、現場での確認等で便宜的に行っているのが現状とのことである。3.@の「通学路」の法的位置づけの明確化・標準化を行うとともに、定期的に更新される地図情報としての供給の可能性を検討し、当該情報を元に「抜け道」から通学路の除外もしくは地図上の通学路の表記に反映させるなど、関連事業者への安全配慮について協力要請するべきである。
Aカーナビによる交通安全対策についての実証実験の実施
  急ブレーキ箇所の特定などカーナビ情報を通学路危険地点に活用する先進的取り組みがなされているほか、居眠り、不注意などによる通学路での交通事故を防止するため、例えば歩車区分のない通学路について、カーナビによる通学路表示・音声による注意喚起などが有効とする指摘がある。関連事業者からは技術的にも十分可能であり、通学路情報の提供があれば実証を行えうるとの声も寄せられている。3.@の「通学路」の法的位置づけの明確化と併せて、実証実験を早急に実施すべきである。


 

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