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総合経済対策に関する緊急提言を申し入れ

 

党政務調査会長を務める石井啓一は、2月8日午後、西田実仁参議院議員とともに首相官邸で藤村修官房長官と会い、総合経済対策に関する緊急提言を申し入れた。

       

 緊急提言は、井上義久幹事長が3日に発表したもの。歴史的な超円高やデフレ(物価下落が続く状態)脱却へ総力を挙げた対策が急務として、政府・日本銀行が一体となった金融政策の強化や、全国的な防災・減災対策を集中的に講じる「防災・減災ニューディール」などを提唱した。
 具体的には、デフレ脱却に向けた強いメッセージを発していくため、現状より高い欧米諸国と同程度の物価安定目標を設定する必要性を強調。また、日銀による資産買い入れや、成長基盤強化を支援するための資金提供を拡大するよう求めた。
 さらに、防災・減災ニューディールでは、道路や橋梁などの社会資本の老朽化対策を含む「災害に強いまち」に向けた工程表を策定し、集中投資を行うことを盛り込んだ。
 中小企業支援の強化では、国内投資の促進や雇用維持のための「国内立地推進事業費補助金」やセーフティネット保証の拡充、3月末で期限切れとなる中小企業金融円滑化法の延長などを提起した。
 席上、石井啓一は、デフレ脱却には適切な金融政策と需要増加への対策が必要として、緊急提言を「しっかり受け止めてほしい。」と要望。
 藤村官房長官は、「貴重な提言をいただいた。しっかり受け止めて、デフレ対策に取り組んでいく。」と述べた。


 「総合経済対策に関する緊急提言」の全文は次の通り


                 総合経済対策に関する緊急提言

                        
 日本経済は、長期にわたるデフレと欧州の債務危機等による歴史的な円高によって、先行きは極めて不透明である。特に、欧州の債務危機がより深刻度を増した昨年8月を境に世界の通貨供給量が縮小し始め、また、世界の貿易量が減少に転じるなかで、日本も輸出減少による新たなデフレ要因に見舞われつつある。
 例えば世界銀行は、2012年の世界全体の経済成長率予測を大幅に下方修正するとともに、日本の経済成長率も1.9%(当初2.6%)へと引き下げている。
 こうした事態に対し、世界各国の中央銀行等金融当局は、矢継ぎ早に緊急対策を講じている。例えば、ECB(欧州中央銀行)は利下げや3年物資金供給オペを開始しており、また、FRB(米国連邦準備制度理事会)は1月24、25日のFOMC(連邦公開市場委員会)において、14年遅くまでの3年間、ゼロ金利政策を継続することを決定している。
 わが国では、これまで日本銀行はゼロ金利政策をはじめ一定の金融緩和措置が講じられているものの、世界各国の動きからみれば、デフレ脱却に向けたメッセージは弱く、より一層の機敏な対応措置が求められる。
 一方で、デフレの脱却に向けて成長戦略の着実な実行を含め、政府は総力を挙げて取り組まなければならない。
 東日本大震災よりまもなく1年が経過し、大震災を契機に日本列島全体が地震活動期に入っている中で、国民の防災に関する意識は急速に高まってきている。こうしたときであるからこそ、自助・共助による防災意識の啓発とあわせ、安心・安全の社会の構築に向けた全国における防災・減災対策を緊急かつ集中的に講じるべきであると考える。
 公明党は、以上の観点に立って、当面の経済対策として提言するものである。

政府・日銀一体となった金融政策の強化

○欧米と同程度の物価安定に対する長期的な目標の設定

 歴史的な超円高水準での高止まりを是正するためには、その大きな要因である内外の金利差を是正することが有力である。とりわけ、為替レートと相関関係の大きい実質金利は、デフレが長期化している日本と欧米諸国との格差は拡大する傾向にある。
 内外実質金利差の解消には物価の正常化(デフレ解消)が不可欠である。日銀は引き続き万全な資金供給等の金融緩和策を講じるとともに、物価安定化目標の再設定等による明確なメッセージを発信することが重要であり、そのためFRBの新たな金融政策の決定に合わせ、欧米諸国と同程度の物価安定に対する長期的な目標を設定すべきである。
※日銀の「中長期的な物価安定の理解」では、「消費者物価指数の上昇が2%以下のプラスの領域、中心は1%程度」として、それまでの間は実質ゼロ金利政策を継続することとしている。これは、米国やユーロエリア、英国における消費者物価の上昇率の目標等より1%程度低い水準である。これでは、日銀の金融政策自体によって、相対的な円高を容認するシグナルとして市場に伝わってしまうことが懸念される。1月のFRBの決定では、政策金利の最初の引き上げ時期と、中長期的な政策金利水準の見通しを開示する新方式を公表した。これは、市場との対話を重視し、低金利政策の長期間維持とデフレ懸念の払拭を狙ったものと解釈できる。

○「資産買入等の基金」枠を85兆円(現行55兆円)に大幅拡大

 日銀は、金融機関の資金繰りの安定のみならず、長期的な市場金利の低下など金融緩和を一層強力に進めるため、「資産買入等の基金」の枠を30兆円程度、追加・拡大する。また、買い入れにあたっては、残存償還期間のより長い長期国債をはじめ、CPや社債、ETF、J―REITの買い入れも拡大すべきである。
※日銀は10年10月に「資産買入等の基金」の創設を決定(上限35兆円)、昨年10月まで適宜上限を引き上げ、55兆円まで枠が広がった。しかしながら、日銀の資産規模は、東日本大震災直前の133.3兆円(11年3月10日)に対して、12年1月20日現在、132.87兆円となっており、むしろ減少している。

○「成長基盤強化支援資金供給」の延長と上限引き上げ

10年6月に始まった日銀による「成長基盤強化を支援するための資金供給」は、民間企業向けの直接的な資金供給策として、デフレ克服、成長力の蘇生に積極的に貢献するものであり、貸付受付期限の延長及び貸付総額の上限の引き上げ等を行うべきである。

※「成長基盤強化を支援するための資金供給」は、本年3月末の貸付受付期限を待たずに、貸付総額3兆円は使い切っており、実質的な停止状態にある。

○欧州債務危機の打開に向けた国際協調体制の強化

 欧州債務危機の国際金融経済に与える影響に鑑み、IMFを含む国際的な協調体制を一層強化するとともに、EUにおける危機打開に向けた最大限の努力を前提に、各国と協調して資金面での支援策を検討すべきである。

東日本大震災関連予算の早期執行

 被災地域は降雪の時期に入り、特に今冬は日本列島が大寒波に見舞われ、記録的な積雪が予想されている。また、復興需要に対して供給が追いつかず、人手不足や資源高騰などの課題によって、復旧・復興に向けた事業が遅れることが懸念される。
 2月10日に復興庁が設置されるが、こうした実情を踏まえて、11年度第3次補正予算を含め、東日本大震災関連予算の執行を妨げているさまざまな要因を解消する体制を構築すべきである。
 今後、復興庁や復興局(被災3県)、支所(関係市町村)においては、地域の実情にあわせて迅速かつ柔軟に事業が進展するよう、復旧・復興に関する相談窓口の一元化など、本格的な復興に向けた万全な体制を整備する。

「防災・減災ニューディール」――安全・安心な社会基盤の再構築

 今後、首都直下型地震や三連動(東海・東南海・南海)地震の発生が懸念される中で、都市をはじめとする防災性を向上させることは喫緊の課題である。また、社会インフラの老朽化対策も急務の課題である。
 国民と日本の国土を守り、安全・安心な社会基盤を再構築するため、全国的な防災・減災対策を緊急かつ集中的に講じる(「防災・減災ニューディール」)。
 具体的な実施にあたっては、地域の意見や要望等を十分に踏まえた上で、社会インフラ等の老朽化対策を含む「災害につよいまちづくり」のための工程表を策定し、計画的かつ大胆な集中投資を行うべきである。
 なお、こうした施策の推進にあたっては、公的資金だけでなくPFIやPPP、レベニュー債の発行など民間の知恵と資金を積極的に取り込むことが重要である。

○老朽化が進む社会インフラの更新

 道路や橋梁、上下水道、河川道、港湾など、老朽化が進み更新時期が近づいている社会インフラについて、思いきった維持・更新のための集中投資を行うべきである。また、電気、ガス、水道、通信などのライフラインの共同溝化・無電柱化を促進し、都市の防災機能の向上を図る。

○災害に強いまちづくり

 地域の安全・安心のために、学校等の公共施設や病院・介護等の社会福祉施設など地域の防災拠点の耐震化及び防災機能の強化を推進する。
 密集した市街地の再開発として、細分化された宅地の統合や、公園、緑地、広場、街路等の公共施設の整備、有効なオープンスペースの確保等を一体的・総合的に推進し、安全で快適な都市環境整備に取り組む。

○防災・減災のためのハザードマップ作成の加速

 安全・安心な社会基盤を構築するために、全国における地震・津波・洪水等の自然災害に関するハザードマップの作成を加速する。

○データセンターによる都市機能のバックアップ体制強化

 首都をはじめとする都市のバックアップ機能を補完するため、国内データセンターの東西分散整備を推進する。

○次世代通信網の先駆的開発等による災害対策強化

 次世代通信網の先駆的開発と関連技術のオープンイノベーションを推進するとともに、これら情報通信技術を活用した地域防災・減災対策を強化する。

エネルギーの多様化と分散化

○再生可能エネルギー・省エネルギーの加速的導入

 メガソーラーをはじめとする太陽光や風力、潮力、小水力、バイオマス、地熱、地下熱、下水熱などの再生可能エネルギーの導入を促進するため、再生可能エネルギー買取制度の活用や、投資促進減税、省エネ・代替エネルギー減税、新エネ研究開発投資減税の拡充を行う。また、自家発電の増強、コジェネレーション(熱電併給)の推進を図る。
 太陽光発電の導入を加速させるため、例えば(1)公共施設や家庭の屋根に太陽光発電パネルを設置する際に、市民ファンド等を設立し初期費用ゼロで太陽光発電システムを設置する仕組みの活用(2)発電会社が家庭の屋根を借りて発電する(屋根貸し)制度の創設―などの施策を推進する。
 加えて、企業や事業所等の太陽光発電設備やLED照明の導入など省エネ投資を促進するため、税制、財政、金融面での支援措置を講じる。

○分散型エネルギーシステムの導入促進

 エネルギー源の分散化を促進するために、スマートグリッドの早期導入や送電網の開放、全国的な電力の安定供給に向けた列島縦断の直流高圧・高容量幹線送電網の整備に取り組む。また、蓄電池の研究開発及び一般家庭や事業所における蓄電池システムの導入を促進する。

○エネルギー源の多様化と安定確保

 エネルギー源の多様化を図るため、エネルギー効率の高い天然ガスコンバインドサイクル発電の推進や、石炭ガス化複合発電(クリーンコール技術)システムの導入を促進する。また、東京―サハリン間における天然ガスパイプラインの敷設など、資源の安定確保・多様化を促進する。

○戦略的インフラ輸出

 世界最高水準の技術を誇る日本の天然ガス・コジェネレーションシステムや、石炭ガス化複合発電システム(クリーンコール技術)の輸出を促進し、新興国のインフラ需要の獲得を図る。

中小企業支援の強化

○国内立地推進事業費補助金のさらなる拡充

 11年度第3次補正予算に盛り込まれた「国内立地推進事業費補助金」は、被災地向けを除く全国規模での中小企業等の新たな投資を促進し、雇用を維持・創出に資する補助金として効果が高い。同補助金をさらに拡充すべきである。

○セーフティネット保証等の拡充・強化

 現行のセーフティネット貸付及びセーフティネット保証(5号)の対象要件を拡大し、「円高による業況悪化」を加えるなど、資金繰り支援策を拡充する。あわせて、原則全業種対象となっている現行のセーフティネット保証(5号)の適用期間を延長する。(現在は、本年3月末までの時限措置)

○中小企業金融円滑化法の期限延長

 中小企業金融円滑化法の期限を延長する。(現行は、本年3月末までの時限措置)

○「東日本大震災事業者再生支援機構」の活用促進

 3月に設立予定の「東日本大震災事業者再生支援機構」の活用促進により、被災地における中小企業の二重債務問題の解決をはじめとした資金繰り支援を拡充する。

○JBIC(国際協力銀行)による中堅・中小企業の海外展開支援の充実

 中堅・中小企業の海外展開支援を強化するために、各国の現地事情・投資環境などに関する最新情報の提供や、長期資金の調達方法などの融資に関する相談体制の強化、地方銀行等との協調融資など、JBICによる支援策の充実を図る。

 

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