経済教室NO.10 来年3月で打ち切られる緊急保証
                                    
Q
 緊急保証制度が始まった経緯は。

A 世界的な金融危機の引き金になった2008年9月のリーマン・ショックがきっかけです。その翌月、当時の自公政権が緊急実施した08年度第1次補正予算に、中小企業を守るための資金繰り対策として盛り込まれました。

Q 制度のポイントは。

A いくつかありますが、最大の特徴は信用保証協会による100%保証です。
 信用保証協会は中小企業の資金繰りを円滑に進めるために設立された公的機関です。金融機関から融資を受けた中小企業が返済不能に陥った場合、信用保証協会が一定程度、債務の肩代わりをします。
 通常、信用保証協会の保証は責任共有制度として8割を同協会、残る2割は融資を行う金融機関でリスクを負担し合います。緊急保証制度では同協会が10割の保証をすることで金融機関が中小企業に融資しやすい環境を整えました。

Q
 もしもの時に信用保証協会が全面的に対応するならば、金融機関は積極的に融資に乗り出すでしょうね。

A そうですね。その上で中小企業の現場をくまなく歩き、厳し実態を肌身で知る公明党は、粘り強く緊急保証制度の拡充を主張してきました。対象業種はスタート時の545から随時拡大され現在では1118業種と、ほぼ全業種をカバー。利用枠も当初の6兆円から20兆円、30兆円へ増え、現在は36兆円まで引き上げられています。

Q 中小企業は、どのような場面でこの制度を使っているのですか。

A 景気低迷による売上減少などで資金繰りが追いつかず、そのままでは資金ショート(手元資金がなくなること)で倒産しかねない場合の運転資金をはじめ、事業継続に不可欠な設備投資など資金繰りを迫られている中小企業の間で有効に活用されています。
 制度開始以来の承諾実績は11月18日現在、累計で23兆2388億円、129万6件に上っています。

Q なるほど。緊急保証制度を利用したことで破たんを免れた中小企業は少なくないということですね。

A
 その通りです。中小企業の倒産件数の推移をみれば、データの上でもその効果が明確に分かります。増加傾向にあった倒産件数に歯止めが掛り、09年1月〜3月期をピークにそれ以降は減少に転じています。緊急保証制度がなくなれば、再び倒産が増える恐れがあります。

Q 民主党政権はなぜこのタイミングで打ち切りを決めたのですか。

A
 主な理由として、@昨今の利用実績が落ち着いてきているA信用保証協会が肩代わりする債務の多くが最終的に国の負担となる―を挙げています。

Q しかし日本経済の状態は何ら好転していませんね。

A
 ここで止めて本当に大丈夫か、とても心配です。大企業であれば株式や社債を通じて直接資金を集めることで自己防衛ができます。
 しかし中小企業が資金調達する場合は、金融機関からの借り入れに依存せざるを得ません。何かのきっかけで金融機関が貸し出しを断れば、中小企業の資金繰りは一瞬にして閉ざされてしまうのです。
 これから資金需要が一段と高まる年末や年度末を迎えます。デフレ脱却の見通しが立たず、行き過ぎた円高への対応もままならず生産拠点の海外移転を志向する中小企業も増えています。

Q 民主党政権は、打ち切り後の対策を何か示しているのですか。

A
 小口零細企業保証やセーフティネット保証などは継続すると説明しますが、緊急保証制度と比べると支援の対象が限定されます。対象外になった中小企業が通常の保証制度を使おうとすると、金融機関が2割のリスクを負うため、状況によっては貸し渋りや貸はがしが起こりかねません。

Q 公明党の対応は。

A
 緊急保証制度について、公明党は9月2日に発表した「円高対策・デフレ脱却に向けた緊急経済対策」で、1年延長と保証枠拡充を強く求めました。依然として不安定な経済情勢を踏まえ、切れ目ない金融支援策が必要です。
  19日の参院予算委員会で荒木清寛氏は、中小企業の現場の声をもとに「制度の1年延長は不可避。なぜ現場の声を無視して強硬に打ち切ろうとするのか」と政府の対応を厳しく批判、制度延長を迫りました。これからも公明党は資金繰り支援に全力を挙げます。



公明新聞記事(H22. 11. 22)より転載