経済教室NO.3  菅内閣 危うい経済運営
                                    
Q 菅内閣は発足直後の世論調査で高い支持率が出ていますね。

A しかし、鳩山前内閣と同様、問題山積の状況に変わりはありません。経済・財政については深刻な財政赤字をどう克服するのか、デフレ脱却をどのように進めるのか、展望は示されていません。さらに、歳出増の元凶になっているマニフェスト実現に必要な予算の扱いなどで、明確なカジ取りを示さなければなりません。

Q 与党内のゴタゴタは、このほかの重要政策の遂行にも支障が出るのでは。

A 政府は従来から、今月にも「中期財政フレーム」や「新成長戦略」の具体像を示す方針を打ち出していますが、どの程度具体的な処方せんを提示できるのか、全く不透明です。菅内閣になっても国民の先行き不安は募るばかりです。

Q 11日の所信表明演説で、菅首相は「強い経済」「強い財政」の実現を強調していました。

A 「何を今さら」というのが率直な印象です。そもそも菅首相自身、鳩山前内閣で9カ月近くの間に経済財政担当相や財務相を務め、内閣における経済・財政政策を推進する司令塔の立場にありました。この間に、幾らでも政策実行の機会はありましたが、民主党政権による経済政策効果はほとんど見えませんでした。菅首相も“当事者責任”を厳しく問われるべきです。

Q
 経済・財政運営に関する菅首相自身の資質に対し、疑問視する声もありますが。

A 物議を醸したのが財務相当時の円安誘導発言です。通貨政策に責任ある立場の人物による不用意な発言が市場に過度な混乱を招きました。「通貨当局のトップが為替水準に言及するのは異例で、影響は世界の為替市場に波及」(1・9付「東京」)、「財政金融当局のトップにとって適切と考えられている一線を越えた」(米紙ウォール・ストリート・ジャーナル)など、国内外から強い批判の声が上がったのは記憶に新しいところです。
 菅首相自ら「私は経済は本格的に勉強しておりません」(09年5月7日 衆院予算委)と認める「経済オンチ」。日本経済を委ねるにはあまりにも心許ないのです。

Q このところ、景気は回復傾向にあるようですが。

A 10日に発表された1―3月期のGDP(国内総生産)改定値でも若干、上方修正され年換算で実質5.0%の成長率でした。5月月例経済報告では、「景気は、着実に持ち直してきている」とされています。GDPの55%を占める個人消費も前月に続き「持ち直している」としています。

Q 持ち直しの要因は何ですか。

A 輸出と個人消費です。輸出は中国などアジア向けで堅調な伸びを見せています。4月まで14カ月連続の増加を記録しています。個人消費も2009年4―6月期以降、4四半期連続で増えています。

Q 所得が伸び悩む中、なぜ個人消費が増えているのですか。

A 自公政権が実施したエコカー減税・補助金、家電製品のエコポイント制度などの景気対策が、個人消費を刺激したからです。実際、個人消費の中身を見ると、耐久消費財の増加が最も著しくなっています。

Q 民主党政権の成果ではないのですか。

A 鳩山前政権は、経済・財政政策で何一つ成果を挙げることができませんでした。景気が持ち直してきているのは、自公政権の“置き土産”です。そもそも民主党は、子ども手当などで家計支援をすれば景気が自動的に回復するかのような稚拙な考え方に立ってきました。経済成長戦略や財政再建への関心は薄く、「鳩山政権による経済運営の無策ぶりは、もはや看過することができない」(5・7付「読売」)と指弾されるありさまでした。

Q 公明党の経済政策は。

A 公明党は先月、「景気対策・成長戦略」(骨子)を発表しました。短期的な景気対策として3年をメドに実質2%、名目3〜4%の経済成長を目標に、成長著しいアジアなどへ向け新幹線や上下水道といった“システムとしての輸出”の推進、学校耐震化や太陽光発電など21世紀型公共投資を盛り込んでいます。また、中長期的な戦略として「福祉による成長」を掲げたのも大きな特長です。


公明新聞記事(H22. 6. 14)より転載