経済教室NO.2  財政の「見える化」
                                    
Q 公会計とは。

A 公会計とは、国や地方自治体が行う会計処理のことです。
 国や自治体は、税金を使って施策を行う以上、税金の使い方や財務状況を納税者に分かりやすく公表するのは当然のことです。
 ただ、現行の公会計制度では、国や自治体の資産(土地、建物など)や負債(借金)がどの程度あるのか分かりにくく、税金の使い方も不透明になりがちです。


Q 何が問題なのですか。

A 公会計で行われている「単式簿記」「現金主義」です。
 単式簿記とは、お金の出入りを単純に記載する手法で、家計簿のようなものです。しかし、この手法では、お金の出入りをチェックするだけで、年度をまたいで蓄積された資産や負債の把握ができず、結果的に借金への意識が薄れ、財政が悪化しやすくなります。
 また、お金が余れば、年度末までに使い切ってしまうという発想が生じ、ムダ遣いが起きる恐れもあります。

Q 現金主義とは。

A 現金主義とは、お金の出入りがあった時のみ会計処理を行う手法です。仮に取引があったとしても、実際にお金の出入りが発生しない場合は、会計処理がされません。
 生活に身近な例でいえば、ある商品をローンで買った場合、その時点では実際にお金を支出するわけではないので、会計処理の対象にはならないのです。これでは、正確な財務状況はわかりません。そこで、役所にも企業と同じ会計手法を導入する試みが始まっています。

Q 企業会計との違いは。

A 企業会計では「複式簿記」「発生主義」を採用しています。
 複式簿記とは、お金の出入りだけでなく、その原因と結果も捉える手法です。具体的には、1千万円の収入があった際、それが預金を崩したものか、または借金をしたものかまで記入、その結果、資産や負債の状況も知ることができます。

Q 発生主義とは。

A 発生主義とは、現金の受け渡しがなくても取引があった時点で会計処理を行うため、将来発生する経費などの把握が可能です。
 これを踏まえ、企業は事業年度ごとに、複式簿記によって資産や負債の状況を示すバランスシート(貸借対照表)などを作成し、財務状況を念頭に置きながら、経営戦略を立てています。

Q 自治体の公会計改革で成功した事例は。

A 大きな成果を挙げているのが東京都です。東京都は、バブル崩壊後、税収の大幅な落ち込みで財政が悪化、財政再建団体(自力で財政赤字の解消ができず。国の管理下で再建をめざす自治体)に陥る寸前の状態でした。
 こうした中、都は財務状況を正確に把握するため、1998年度決算から「機能するバランスシート」を公表した結果、多摩ニュータウン事業の欠損金など多額の隠れ借金が明らかになりました。
 さらに、都議会公明党の強い主張を受け、2006年度からは、全国に先駆けて複式簿記、発生主義を取り入れたバランスシートを作成し、都財政の一段の透明化を推進。今では、1兆円もあった隠れ借金を概ね解消しただけでなく、基金の積み立てで「貯金」を増やし、健全な財政運営が可能になりました。
 都の職員コスト意識が高まり、ムダ遣いが減ったほか、将来を見据えた財政運営を行ってきた結果です。

Q 国も会計制度を変えるべきでは。

A 国の借金(国債と借入金、政府短期証券の合計額)は883兆円(10年3月末時点)と過去最大規模に達しました。
 鳩山政権はマニフェストの実現などに必要な財源を生み出そうとムダ削減に躍起ですが、具体的な取り組みは不十分です。鳴り物入りで始めた「事業仕分け」も十分な成果を挙げられず、“焼け石に水”の状態です。
 財政健全化への取り組みが急務な中、公会計改革がムダ削減への“切り札”となるのは明らかです。実際、先進国の大半は、国の公会計で複式簿記、発生主義を取り入れています。

Q 公明党の考えは。

A 公明党は、各地の自治体でバランスシートの作成を推進したほか、2000年12月に閣議決定した「行政改革大綱」に公会計の見直しを盛り込ませるなど、公会計改革を進めてきました。こうした中、政府はバランスシートなどの財務書類を省庁別に公表するようになりましたが、不十分です。公明党は、さらなる公会計改革を通じて、国の財政の透明化とムダ削減に全力で取り組む決意です。


公明新聞記事(H22. 5. 24)より転載