峰崎財務副大臣へ来年度税制改正について提言

 12月10日夕、石井啓一は、斉藤鉄夫公明党政務調査会長とともに、財務省で峰崎直樹財務副大臣と会い、藤井裕久財務大臣(政府税調会長)にあてた来年度税制改正に対する公明党の考え方を中間まとめとして提言しました。
 この提言は政府の来年度税制改正大綱の取りまとめを前に、現時点における党の考えを集約したもの。主要項目として、@租税特別措置見直しA人的控除見直しB暫定税率Cエネルギー課税、環境税などDたばこ税―の5項目を上げている。
 このうち租税特別措置については、現下の経済状況に照らし需要創出や拡大につながる税制を廃止・見直し対象としないよう要請。研究開発促進税制、中小企業支援税制、新築・長期優良・高齢者向け・省エネ・バリアフリーなど住宅税制の継続・拡充を求めた。
 政府税調が打ち出した住民税の扶養控除見直しや特定扶養控除見直しについては、「明らかな公約違反」と批判。子ども手当の財源に23歳以上の一般扶養控除の廃止分も充てることは手当を受けない世帯の増税となり、「不適当」とした。
 自動車関係諸税の暫定税率では、取得や保有にかかる自動車取得税・重量税の暫定税率の軽減を主張。一方で、走行にかかるガソリン税、軽油引取税は地球環境対策の観点から現行水準を維持すべきとの公明党の考えを改めて強調。
 焦点の環境税は「地球温暖化対策の中で導入を検討すべき」とし、税収減の補てん策などに傾く政府税調論議にクギを刺したほか、産業界や家庭負担の検討が不十分で「国民の理解を得にくい」との認識を表明。政府税調が税率引き上げ方針を示した、たばこ税については、大衆課税となり国民的理解が必要とした。党の提言を受け、峰崎副大臣は「よく勉強させていただく」と述べた。

 公明党の申し入れは、次の通りです。

        

       平成22年度税制改正に対する考え方(中間まとめ)

                                        平成21年12月10日
                                        公明党税制調査会

1.税制及び財政を取り巻く現状の認識と課題

・日本経済は、鳩山内閣による平成21年度第一次補正予算の執行停止を含めた経済対策の不在・混乱や世界景気の下振れの懸念などによって、景気「二番底」の懸念の増大、デフレの進行、急激な円高、先進国で例外的な株価の低迷などの事態に直面。雇用も深刻で年末・年度末に向けて一層の悪化が懸念される。

・平成21年度税収は、リーマンショック以降の景気後退によって、法人税を中心に大幅な税収減となり、当初見込み46兆円から36兆円台にまで落ち込む見通しとなっている。
その結果、平成22年度税収も、同水準あるいはそれ以下になることが想定され、国債発行が税収を大幅に上回り、かつ、一般会計歳入における公債依存度が50%を超える可能性もある。

2.税制改正論議の問題点

(1) 経済情勢とずれた税制改正論議
鳩山内閣の経済財政運営は、民主党マニフェストの実行に重きを置くあまり、マクロの視点に立った「財政健全化目標」「抜本的税制改革」「経済成長戦略」などの政策が不在である。
こうした中で、今般の税制改正においては、暫定税率の廃止など巨額な減税を行う一方で、租税特別措置の見直しと称し、現下の経済情勢に対応した景気刺激のための税制改正の必要性を十分に踏まえないで、ただ、「いかに財源を作るか」の視点で、中小企業支援税制の見直しなども検討されているのが実情である。

(2)マニフェストとの関係性
一方で、民主党マニフェストにおいて改正を行わない、あるいは、記述がない事項の議論もされている。
例えば、マニフェストの最重要課題である「子ども手当」の財源については、マニフェスト本体では「所得税の扶養控除・配偶者控除を廃止」するとあるものの、地方の個人住民税における両控除の見直しに関する記述はなく、また、特定扶養控除は「存続」と明記されいる。しかしながら、実際には政府税制調査会で、これらの課題が公然と議論されており、仮にこれらが決定すれば、明らかな公約違反である。

(3)政策的整合性の欠如
鳩山内閣が掲げるマニフェストを含めた具体的施策との政策的な整合性に欠ける税制改正が実施されかねない状況である。 
例えば、鳩山内閣は、「2020年に温室効果ガスを1990年度比で25%削減する」との目標を掲げている。一方で、ガソリン税等の暫定税率の廃止や高速道路無料化という、逆にCO2の排出を増やす施策を検討するなど、地球温暖化問題に関する政策の整合性がとれていない。
また、中小企業者金融円滑化法を制定するなど中小企業施策を重要視する一方で、中小企業支援税制に見直しが検討されているなど、政府・与党の政策的一貫性に欠ける。

3.平成22年度税制改正に向けた基本的視点

(1)景気刺激に資する税制、将来にわたり日本の成長を促す税制
現下の経済情勢にかんがみ、平成22年度税制改正においては、従来実施してきた設備投資や住宅建設を促進する租税特別措置等の継続、拡充など、税制面における経済対策を講じていくべきである。
また、研究開発促進税制など中長期にわたる我が国の成長戦略に資する税制措置の継続・拡充を図るべきである。

(2)格差の是正と所得再配分機能の強化
格差の是正及び固定化の防止に向けて、所得再配分機能の回復・強化など税制面における対策を検討すべきである。
具体的には、所得課税の最高税率の引上げ等による高所得者の税負担の引上げとともに、いわゆる給付つき税額控除などにより、中低所得者層の経済的な支援を強化すべきである。また、相続税の課税ベースや税率構造等を見直すべきである。

(3)税制の抜本改革に向けた道筋の提示
人口減少・高齢社会にあって、安心の社会保障の確立は最重要課題である。さらには、経済のグローバル化、地方分権等の経済社会の変化に対応した税制の抜本改革の道筋を提示することが求められる。
特に、年金・医療・介護などの社会保障制度及びセーフティネットの整備とあわせ、それを支える安定した財源の確保に向けた全体像を示すべきである。

4.平成22年度税制改正における主要項目についての考え方

政府における平成22年度税制改正大綱の決定は、これからであるが、現時点における主な個別項目に関する公明党の考え方を提示する。

○租税特別措置の見直し
租税特別措置の見直しは、不断に行うべき課題である。
政府は、6つのテストによる「ふるい」と称し、いわゆる外形的な基準に基づいて廃止・見直しを実施しようとしているが、現下の経済状況に照らして、投資を促進するものや経済波及効果が高い税制など需要創出・拡大につながる税制は、その対象とすべきではない。
具体的には、研究開発促進税制、中小企業支援税制、新築・長期優良・高齢者向け・省エネ・バリアフリー等の住宅税制は継続・拡充すべきである。

○人的控除の見直し
児童手当など子育て支援の拡充は重要であり、また、いわゆる「控除から手当へ」の視点は理解できるところである。
しかし、民主党マニフェストで記述がない、あるいは「存続」とした、地方の個人住民税の扶養控除の見直し、国・地方の特定扶養控除の見直しは明らかな公約違反である。
また、子ども手当の対象者である中学卒業までの扶養控除のみならず、23歳以上の一般扶養控除も廃止し、手当の財源とすることは、手当の恩恵を受けない世帯の増税となり、不適当である。
平成22年度では実施しないとしている配偶者控除については、民主党はその廃止分を子ども手当の財源にするとしているが、手当の対象となる子どものいない世帯にも影響を及ぼすものであり、慎重な検討を行わなければならない。

○暫定税率
自動車関係諸税については、基本認識として、取得、保有、走行各段階における複数の課税について簡素化を図る観点から見直しは行うべきであると考える。
取得・保有にかかる税目は簡素化し、暫定税率分は軽減すべきである。
他方、走行にかかるガソリン税、軽油引取税の税率は、地球環境対策との関連も踏まえ現行水準を維持すべきと考える。

○エネルギー課税、環境税等
税制のグリーン化を進めていくことは重要である。
また、いわゆる環境税(炭素税)は、地球温暖化対策のなかで導入を検討すべき課題である。
現在の政府税調における議論は、@本来は無関係である暫定税率の廃止を前提として、その税収減の穴埋めにされるのではないか、A総合的な地球温暖化対策の中での位置付け、すなわち政府が導入を検討している国内排出量取引制度、全量固定価格買取制度などとの整合性が示されておらず、その政策効果も十分な検討がなされていないのではないか、また、産業・家庭負担について検討がなされていない、ことなど、国民の理解を得にくいと認識する。

○たばこ税
国民の健康増進の観点など、たばこをめぐる環境は変化しており、たばこ税の引上げなど負担水準の見直しの議論の方向性には、一定の理解を持つものである。
しかし、現在の政府税調における議論は、むしろ、マニフェスト実現に必要な財源の捻出を目的としているのではないかとの疑念がある。また、大衆課税であり、現下の経済情勢の下で国民的な理解を得つつ検討すべき課題である。

その他の課題について
政府税制調査会における議論は、当初の取りまとめ予定期日が延長されるなど、現時点で、その方向性等も見えない項目も多い。
よって、その他の課題に関しては、政府税制調査会の税制改正大綱決定後、その考え方を提示したい。

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