衆院本会議で臓器移植法改正案(B案)について説明

 6月9日、衆議院本会議で、異なる4案が提出されている臓器移植法改正案についての中間報告が行われ、石井啓一はB案の法案提出者を代表して説明をしました。

   
        



 説明の全文は次のとおりです。

           臓器移植法改正案(B案)に関する説明

 私は、臓器移植法改正案のいわゆるB案について、法案提出者として説明いたします。本案には共同提出者として、自由民主党のあべ俊子議員がいらっしゃいますが、私から代表して説明いたします。
 現行臓器移植法が制定された当時、「脳死は人の死であるか否か」について議論が重ねられました。その結果、「脳死は人の死である」とすることは避け、本人の意思による場合に限り、その尊い意志を尊重して臓器の提供を認めることとし、「臓器移植の場面に限り脳死は人の死である」という考え方を前提に臓器移植法が制定されました。そして、ガイドラインにより、意思決定可能年齢を民法の遺言作成可能年齢である15歳以上としました。
 B案については、現行法の本人の意思をあくまで尊重するという自己決定の枠組みを残し、その上で、その意思が決定できる年齢を、初等教育が終わる段階の12歳以上にするという内容です。
 B案の基本的な考え方は、「脳死を人の死とする」ことについては、いまだ国民的なコンセンサスを得られていないということです。17年前の平成4年の脳死臨調の答申では、「脳死を人の死とすることについては、概ね社会的に受容され合意されている」とされました。しかし、この答申を基とした現行法の制定過程においては、最終的に、脳死に関して様々な意見があることに配慮し、脳死を一律に人の死とすることは避け、本人意思に基づいて臓器提供を行う場合に限り脳死を死とすることとしたものです。現行法が平成9年に成立して12年たち、この間に、脳死を人の死と認める方の割合は増えたものの、いまだ国民的なコンセンサスを得るという段階には到っていないと判断します。
 そこで、B案では、現行法の考え方、本人の意思尊重を根底に置き、初等教育段階が終われば、意思決定ができる方もいると判断して、意思決定可能年齢を12歳に引き下げたものです。ただし、12歳の方全てに、意思決定を求める訳ではありません。12歳の方にも意思決定の道を開いたということです。
 B案に対しては、臓器摘出要件として本人の意思表示を必要とするので、臓器移植件数は増えないとの批判があります。しかし、平成20年の内閣府の世論調査では、ドナー・カードを「持っている」と答えた方は、8.4%に留まっています。B案では、臓器提供の意思の有無を運転免許証や医療保険の被保険者証などに記載することができるようにしています。平成20年の内閣府の世論調査では、ドナー・カードを持っていない方であっても、40.6%の方が臓器を提供してもよいと答えています。免許証や被保険者証といった身近で携帯できる意思表示手段が確保されれば、これまで臓器提供の意思を持ちながらも、これを表示することのなかった方からの臓器提供の機会が増えることが期待されます。
 また、B案に対しては、12歳未満からの臓器提供が認められないとの批判があります。B案は、当面、意思決定可能年齢を12歳に引き下げるとともに、国及び地方公共団体により移植医療に関する教育の充実、普及・啓発等の施策を講ずることとしております。これが進めば、12歳より更に意思決定可能年齢を引き下げることが可能と考えます。最大限に意思決定可能年齢を引き下げるとともに、それより下の年齢の子供からの臓器摘出については、まず諸条件を整えるべきと考えます。即ち、@虐待を受けた子供からの臓器摘出を防止する措置、A難しい子供の脳死判定について脳死判定基準の検証・再検討、などの諸条件を整えた上で、家族が本人に代わって承諾することを含め検討すべきと考えます。
 社会的な合意がない中で、「脳死を人の死」と法的に位置づけることは、あまりに拙速です。B案は、本人の自己決定を最大に尊重し、臓器提供の意思決定可能年齢を引き下げつつ、子供の臓器提供に関する条件を整え、子供からの脳死臓器提供の道を模索するという、段階的で着実なアプローチを志向しています。B案は、一気に臓器提供可能年齢を引き下げないために、迂遠な案という見方がありますが、段階的に着実に進めることにより、移植医療に対する信頼を確保し、長いスパンで見たときには、かえって臓器提供の機会を増やすことになると確信します。
 同僚議員におかれては、どうかご理解の上、ご賛同頂きますようお願い申し上げて、B案の説明とさせて頂きます。

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