経済教室NO.10 関心高まる環境金融

                                    
Q 民間資金を環境投資に回す動きが広がっているようですが。

A 環境投資を景気浮揚への突破口とする動きが加速する中、それを支える金融の分野でも環境に対する関心が高まっています。
 潜在需要が高い環境への投資は、景気対策として政府が主導して推進していますが、厳しい財政事情で財源には限界があるのも事実です。
 一方、日本の個人金融資産は約1500兆円もあるとされ、潤沢な民間資金が環境投資に向かえば、景気対策にも大きな追い風になるのは明らかです。また、企業の社会貢献を金融面で後押しする意義は大きいといえます。

Q 広がっている要因は。

A 世界同時不況の克服へ、欧米などの主要国政府が景気対策として環境投資を増やしたことが関心を大きく高めました。
 また、金融システムが実体経済から懸け離れ、収益だけを求めて暴走したことによって世界的な危機が引き起こされただけに、経済的な見返りだけでなく、環境といった社会的課題にも配慮した金融が注目されるようになりました。
 言い換えれば、企業価値を測る上で環境への取り組みが重視され、こうした企業には、投資などによる資金がより多く集まるようになりました。
 投資家にとっても、環境対策に取り組む企業を金融面で支えることで、間接的に環境問題の解決に貢献できるメリットがあります。

Q 具体的な仕組みは。

A 代表的なものにエコ(環境)ファンドがあります。
 エコファンドとは、地球温暖化防止や省エネなどの環境対策に積極的に取り組む企業に投資を行う投資信託です。
 エコファンドは、2007年以降、環境意識の高まりなどで設定数が急速に増加。これまでは日本の優れた環境技術を背景に、国内投資が主流でしたが、最近は世界の株式などへの投資が目立ってきました。諸外国も環境対策に力を入れ始め、投資の選択肢が増えたことによるものです。

Q 「エコ貯金」も環境金融の一つですか。

A
 エコ貯金は国際青年環境NGO(非政府機関)「ASEED JAPAN」が推進している運動で、市民一人一人が社会性を持って資金の預け先を選び、環境に優しい資金の流れをつくることが目的です。
 4月には、都内で開かれた環境イベント「アースデイ東京2009」にエコ金融のブースを出展。ここで、市民がエコ貯金を宣言した額が05年3月からの累計で8億円を突破しました。
 川の水質が改善した場合に金利が上乗せされる預金など、環境配慮型の金融商品には、さまざまなタイプがあります。

Q 地域レベルでの取り組みも重要では。

A 地域レベルでは、最近、民間非営利団体(NPO)が存在感を増してきました。
 背景には、金融危機で資金循環が一段と停滞し、地域で資金を必要としている環境などの分野に十分にお金が回らない状況があります。
 これを受け、環境に関心のある市民が自らの意志で環境事業を行うNPOに出資をする動きが加速しています。また、環境事業を進める団体を金融面で支援するNPOバンクに出資する市民も各地で見られるようになりました。
 こうした流れが拡大すれば、地域活性化も期待できます。

Q
 国の対応は。

A 環境、景気対策の両立に向け、環境省が4月に発表した「緑の経済と社会の変革」では、環境投資を促す金融の拡大を掲げています。具体的には、温室効果ガス削減をめざす京都議定書の目標達成へ、環境投資で企業が受けた融資の利子補給を今年から3年間実施するほか、NPOバンクへの支援なども手厚くします。
 一方、東京都は企業と個人に環境配慮の行動を促す「環境金融プロジェクト」を開始し、現在、具体的な制度を検討中です。
 公明党は、太陽光発電や電気自動車の普及など、緑の社会への構造改革をめざす「緑の産業革命」を推進する上で、環境金融を拡大し、企業の環境対策を支援する必要性を訴えています。

公明新聞記事(H21. 5. 25)より転載