経済教室NO.7 「新経済対策」 需要創出へ政策総動員


Q 最近、物価の下落が目につきますが。

A 全国の世帯が購入する商品・サービスの価格変動を示す消費者物価指数(CPI)は、昨年7、8の2.4%(前年同月比)をピークに縮小に転じ、昨年12月以降は0%近くで推移しています。
 今年2月の消費者物価指数も前年同月と比べ2カ月連続で同水準でしたが、前月比では0.1%下がり、5カ月連続の下落となりました。
 企業間で取り引きされる商品価格の変動を示す国内企業物価指数も、3月は前年同月比で2.2%低下し、下落率が6年10カ月ぶりの大きさを記録しました。
 今回の物価下落は、景気悪化で消費者の購買力が低下し、モノが売れなくなったことが原因です。言い換えれば、商品・サービスの供給に比べ、需要が大幅に不足している状態といえます。

Q 物価の下落はモノが安く買えていいのでは。

A 消費者にとっては朗報に聞こえますが、経済全体で見ると、必ずしもそうとは限りません。
 本格的なデフレ(物価の持続的な下落)に陥れば、売り上げ減少に伴う企業収益の悪化→賃金減少や雇用調整→個人消費の低迷へと連鎖し、デフレを一段と加速させる「デフレ・スパイラル」を招く恐れがあります。
 こうした実体経済の悪化は、株安などを通じ金融の不安定化につながり、それが実体経済をさらに悪化させる悪循環になりかねません。景気が底割れしてもおかしくない状況です。
 デフレを回避するには、経済実体の需要を掘り起こすことが欠かせません。需要回復には公共事業などで政府支出を増やすとともに、民間需要を喚起することが必要です。

Q これまで内需は好調だったのですか。

A 日本経済は2007年10月まで戦後最長の景気回復を続けてきましたが、これを支えたのは輸出(外需)です。
 しかし、昨年9月の「リーマン・ショック」後は、世界規模の景気減速が深刻化し、外需は大きく低迷。その分、日本経済が被る打撃も大きく、08年10―12月期の実質GDP(国内総生産)改定値は年率換算で12.1%減と過去2番目に大きい下落幅となりました。

Q 政府・与党対応は。

A
 景気の底割れを防ぎ、国民生活を守るため、政府・与党は10日、75兆円規模の景気対策に続く「経済危機対策」を決定しました。
 多年度での対応を視野に、過去最大の国費15.4兆円、事業規模56.8兆円を確保しました。経済効果は09年度実質GDPを2%程度押し上げ3年間で最大200万人の雇用創出を見込んでいます。
 財源は財政投融資特別会計の積立金や建設国債、09年度予算に計上された経済緊急対応予備費を充て、不足分は赤字国債を発行して賄います。
 これで政府・与党は08年度1、2次補正予算、09年度予算・税制改正と合わせ130兆円規模に上る超大型の景気対策を切れ目なく講じることになります。

Q 具体的には。

A まず、高い需要が期待できる「環境」関連産業を育成し、仕事を増やすため、低燃費のエコカー(環境対応車)の購入・買い替え支援として、最大25万円を補助。
 省エネ基準を満たしたエアコン、冷蔵庫、テレビの購入には価格の一定割合を「エコポイント」として消費者に付与し、そのポイントを省エネ製品の購入に利用できるようにします。
 このほか、@公立小中学校で太陽光パネル設置や耐震化、情報通信技術(ICT)環境の整備を集中実施する「スクール・ニューディール」構想の推進A雇用調整助成金の拡充B非正規労働者や長期失業者の生活保障C緊急保証制度の拡大D住宅取得を促す贈与税減免E公共事業の地方負担軽減―など、需要創出への政策を総動員します。



Q
 子育てや健康への不安も和らげるべきすが。

A その通りです。子育てや健康などに関する施策は、「国民の安心」を重視した公明党が自民党を粘り強く説得し、対策に反映させたものが少なくありません。
 例えば、08年度2次補正予算で実施された「子育て応援特別手当」を今年度は第1子まで拡大し、小学校入学前3年間の子ども(3―5歳)を対象に1人当たり年3万6000円を支給します。これは公明党が主張している幼児教育無償化への第一歩となるものです。
 また、女性特有の子宮頸がんは20―40歳、乳がんは40―60歳まで5年ごとに女性に健康手帳と無料クーポンを配布します。
 さらに、介護職員の給与月1万5000円のアップや介護施設改善を盛り込みました。また、11疾患を難病指定し、医療費助成の対象に追加。さらに数疾患の追加も検討中です。

公明新聞記事(H21. 4. 20)より転載