経済教室NO.6 G20金融サミット(4月2日)の焦点


Q 今回の金融サミットの意義は?

A 昨年9月、米国の投資銀行リーマン・ブラザースの破たんに端を発した金融危機に対処するため、11月に米国ワシントンで第1回のサミットが開催されました。今回は、これに続く会議です。前回は米国のブッシュ前大統領の任期切れが迫っており、実りが多かったとはいえません。
 今回はオバマ政権が発足し、本格的な議論ができる体制を整えた米国が、どのような手を打ってくるのか、また、国際舞台へのデビューとなる、オバマ大統領のリーダーシップも注目されています。
 国際協調が破たんし、世界恐慌に突き進んだ1930年代のような事態を避けるため、各国が足並みをそろえることが最大の課題となるでしょう。

Q 先の第1回サミットの成果を振り返ってもらえませんか。

A 世界全体の国内総生産(GDP)の8割以上を占める20カ国・地域が一堂に会し、政策協調の必要性を確認したことです。国際的な金融規制の強化や、資金不足に陥った国を助けるため、国際通貨基金(IMF)の機能強化でも一致をみました。
 もともと、この会議は、新たな国際通貨体制を視野に入れたフランスなどEUが提唱したものですが、基軸通貨国の地位を守りたい米国などの巻き返しもあり、結局、国際通貨体制のあり方そのものは議題になりませんでした。

Q 今回の主な議題は何ですか。

A まず、財政出動をめぐる政策協定です。危機は金融システムだけでなく実体経済にも及んでおり、今年の世界経済は戦後初めてマイナス成長に陥る恐れが出ています。急激に落ち込んだ需要や失われた雇用を、財政政策によってどこまで埋めていけるのか。早急な対応を求められています。
 第2は、金融システムの安定化です。リーマン・ショックから半年経過しましたが、依然、金融不安が事あるごとに再燃しています。財政政策の効果を上げるためにも、金融を安定させることが不可欠です。
 第3は、国際的に事業を展開している金融機関に対する規制監督の強化です。危機の原因となったヘッジファンドを登録制とすることに加え、再発防止へ国際的な金融規制で各国が共同歩調を取れるのかが問われます。
 さらに、第1回サミットで合意したIMFの資金基盤強化に関し具体的に中身を詰めることや、保護主義の動きが広がらないようにすることも重要な課題でしょう。

Q 財政政策や金融規制では、米国とEUの間に溝があると指摘されていますが。

A 景気を浮揚させるためIMFは、09、10の両年、GDP2%相当の財政出動を提唱し、米国も各国に一層の追加的財政支出を呼び掛けています。一方、ドイツやフランスは、通貨ユーロの信任低下につながりかねない財政赤字拡大に難色を示し、金融規制の強化に合意の焦点を図るべきだと主張しており、両者の考え方には開きがあります。
 サミットの準備会合として今月13、14日に開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議の共同声明でも、財政出動の数値目標は見送られ、議論はサミットに持ち越されることとなりました。
 一方、金融規制についてEUは、監督当局が国際的に連携する仕組みを、年内に構築することを提言していますが、米英両国は消極的です。ただ、米国政府も、金融機関を一元的に監督する枠組みを公表するなど、ここにきて規制強化へと政策転換する兆しが出てきました。主導権を狙った駆け引きという面もあり、双方がどう歩み寄るのかは不透明です。

Q 成果が期待できそうなテーマは。

A IMFの機能強化では進展がありそうです。IMFは、経済・金融危機に陥っている国に対する融資余力を増強させるための資金調達を行う方針で、すでに米国やEUが拠出を表明しているほか、中国も最近支持する考えを表明しています。また同時に、経済力を強めている新興国のIMFでの発言権を拡大することも検討される見通しです。
 さらにIMF関連では、世界不況の影響を受けている途上国への支援策が新たな議題として浮上しています。サミットでは、具体的な政策協調で合意できるよう、早急な調整が求められるところです。

Q 日本に対する期待も大きいようです。

A IMFへの資金協力では、我が国は1000億ドルの支援を昨年11月の段階で、各国に先駆けて表明し、すでに今年2月調印しています。また、与党内で検討されている追加の経済対策を実施すれば、日本の財政出動規模はGDP2%をクリアすると見込まれています。


公明新聞記事(H21. 3. 30)より転載