経済教室NO.5 農地法改正案のポイント


Q なぜ、このタイミングで法律を見直すことになったのですか?

A 穀物価格高騰や後を絶たない輸入食料品の偽装問題などを背景に、わが国の食の安全確保や安定供給の必要性がクローズアップされています。その一方で、農作物を生み出す農地は過疎や後継者難などから年々減少。実際に農作物が作られずに放置されたままの耕作放棄地が全国で急増しています。
 農地について、農地法では耕作者自らによる所有を定めていますが、社会状況の変化からこうした規定がかえって農地の有効利用の妨げになっていることも否めません。そのため、転用規制の罰則強化など踏み込んだ改革を行うことで、農地の有効利用を図ることになりました。

Q どのような点を改めるのですか。

A まず、農地制度の基本について、「耕作者自らの所有」から「効率的な利用を促進する」との理念に改めます。

Q これによって、誰でも農地を持てるようになるのですか。

A 農地を所有できるのは従来通り、農家と農業生産法人という点では変わりませんが、「農地を適正に利用する」、すなわち農地を農業に使うのであれば、企業などにも農地を貸し出すことで、幅広く農業に参入できる道を広げました。賃借では企業の農業参入が原則自由化されるのです。農地の賃貸借期間も20年以内から50年以内に変更されます。

Q 耕作放棄地が増加する背景の一つに農地の不正な転用が指摘されています。今回の規制緩和が、逆にその傷口を広げることにつながりませんか。

A 利用する側の責任を明確にすることで、農地の適正利用を堅持する考えです。
 従来、許可が要らなかった病院や学校など公共施設設置のための農地転用は、許可権者である都道府県と国が協議する仕組みを新設。また、違反転用については罰則を大幅に強化し、法人の罰金額は現行「300万円以下」から「1億円以下」に引き上げられます。

Q 農地の適正利用に向けて、市町村ごとに置かれている行政組織である農業委員会の役割が大きくなりそうですね。

A 企業などが参入することで農地の集団化や農地の効率的な利用確保に支障がある場合は、農業委員会が許可しないこととし、地域における農業の取り組みを阻害するような権利取得を排除する仕組みが設けられました。

Q ほかにも企業が農業に参入しやすくなる仕組みがありますか。

A 農業者を中心とする農業生産法人の構成を維持した上で、企業が同法人に出資する上限について現行の1社当たり10%以下とする制限を廃止し、最大25%以下に引き上げられます。これにより、企業の資金投入が円滑になります。さらに異業種の垣根を越えて経営展開をめざす農商工連携事業者の場合は50%未満まで出資が認められます。

Q 耕作放棄地対策は盛り込まれていますか。

A 農地を面的にまとめ、より効率的に利用できるようにするため、市町村や農業協同組合などが農地の所有者から委託を受けて農地の貸し付けなどを行う農地利用集積円滑化事業が創設されます。

 農地制度の見直しを前提に、従来、農地を貸すと打ち切りとなっていた相続税の納税猶予制度について、一定の条件で貸し付け農地にも適用されるようになります。

Q 法案成立の見通しは。

A 今国会中に成立すれば年内にも施行される見通しです。時あたかも、今、農業はわが国における数少ない成長産業として注目されています。農業従事に意欲を燃やす人材が大いに活躍できるよう改革を進めなければなりません。

公明新聞記事(H21. 3. 23)より転載