経済教室NO.4 厳しさ増す企業の資金繰り

Q 企業経営が厳しさを増しているようですが。

A 「100年に1度」といわれる経済危機の中で、多くの企業が経営難に陥っています。帝国データーバンクの調査によると、1月の企業負債総額は8643億9800万円で、5カ月連続の前年同月比増になったことが明らかになりました。破たん企業件数についても1156件で同社の集計基準が変更された2005年4月以降で2番目の高水準となりました。


Q
 破たん急増の要因は何ですか。

A 特に建設や不動産関連企業の経営破たんが広がっています。
 国土交通省が発表した1月の新設住宅着工戸数の総戸数は、前年同月比18.7%減の7万688戸。2003〜07年の1月の平均と比較しても21.7%減と低い水準が続いていることが分かります。「所得が今後も伸びない」と見込んだ消費者が住宅購入を手控えたこと、事業者による建設資金の調達が困難になってきていることが原因と考えられます。大企業の経営破たんも相次いでいます。東証1部上場の不動産運用会社が負債総額650億8100万円で経営破たん。また、百貨店経営会社が同502億円で経営破たんするなど、負債総額100億円以上の大型破たんが1月は17件と多発しました。

Q 景気をけん引してきた自動車業界も苦戦していますね。

A 自動車大手各社は、3月期決算での減収減益予想を相次いで表明しました。自動車業界は多くの中小企業によって支えられ、すそ野が広いことから地域経済に与える影響は重大です。ある大手自動車会社の下請け企業が集まる岡山県総社市では緊急経済対策として、先着200台限りでそのメーカの新車を購入すれば10万円を補助する制度を実施しました。不況で減産している自動車の購入を補助し、地元の関連中小企業を間接的に支援することが狙いです。

Q 最も必要な支援策は。

A 年度末に備え、企業規模の大小を問わず資金繰りが最大の課題です。特に中小企業に関しては貸し渋り対策の強化が必要です。深刻化する経済危機で融資の焦げ付きを恐れる銀行などが資金貸し出しに慎重な姿勢になっているため、中小企業にとっては非常に資金を調達し難い環境になっています。中小企業庁の「中小企業景況調査」でも、短期資金の借り入れが07年の初めごろから急速に難しくなってきていることがわかります。

Q 政府は、どう対応しているのですか。

A 中小企業の資金繰り支援策として、公明党の推進で昨年10月末に緊急保証制度が創設されました。金融機関からの借り入れに際して信用保証協会が100%保証し、一般保証とは別枠で最高2億8000万円(無担保は8000万円)までの融資を円滑に行えるようにした制度です。08年度第2次補正予算で保証枠が6兆円から20兆円まで拡充され、3月3日現在で、融資承諾件数は33万4712件、金額では7兆2631億円に達しています。また、政府系金融機関によるセーフティーネット貸付も2次補正で緊急融資枠が3兆円から10兆円になりました。2月に開かれた経済産業省の会議では、黒字倒産になりかけた中小企業が、緊急保証制度で難局を乗り切ったという事例が報告されるなど、事業継続の“生命線”として機能しています。

Q 大企業も油断できないのでは。

A その通りです。大企業向けの資金繰り支援策として、日銀と日本政策投資銀行(政投銀)は金融機関が保有するコマーシャルペーパー(CP、企業が短期の資金調達のために発行)や社債について買い取り枠を設けています。政府も、昨年末から行っている政投銀と商工中金を通じた中堅・大企業向けの資金繰り支援を従来の3兆円から6.5兆円に拡大する方針です。

Q 今後の焦点は。

A 大企業の経営を直撃している株安の問題です。これを放置すると、企業の経営悪化が実体経済のさらなる低迷をもたらし、一段と企業経営を悪くする「負の連鎖」を招きかねません。それだけに株価対策が極めて重要になってきます。政府・与党は、銀行などの保有株式を買い取る「銀行等保有株式取得機構」の業務再開と機能拡充について、議論を詰めています。

公明新聞記事(H21. 3. 9)より転載