経済教室NO.3 GDP大幅減 外需依存の限界を露呈


Q 景気悪化が深刻になってきましたが。

A 昨年秋から深刻化した金融危機が、かつてない勢いで実体経済を悪化させています。内閣府が先月発表した08年10―12月期のGDP速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比3.3%減、年率換算で12.7%減と歴史的な落ち込みを記録しました。減少率は、第1次石油危機時の1974年1―3月期(13.1%減)に次ぐ約35年ぶりの大きさ。マイナス成長は3・四半期連続です。
 内外需ともに総崩れの状態で、明るい材料はほとんど見当たりません。景気の底も見えず、09年1―3月期は2・四半期連続の2ケタ減、4・四半期連続のマイナス成長と戦後初の事態に陥るとの見方が有力です。08、09年度の成長率も98年度のマイナス1.5%を下回る過去最悪の水準に急落する恐れがあります。
 日本は「戦後最大の経済危機」に直面し、正念場を迎えています。

        

Q
 落ち込みが激しい要因は。

A 成長のけん引役だった輸出に急ブレーキがかかったことが最大の要因です。10―12月期の輸出は前期比13.9%減と減少幅が過去最悪となったほか、全体の前期比マイナス幅3.3%のうち「外需寄与度」(輸出から輸入を差し引いた外需の効果)の減少が3%に達しました。
 これは、主要な輸出先である米国や中国などの景気減速によるものですが、日本経済が輸出に依存していた分、その反動で大打撃を受ける弱点があらわになりました。同じように不況にある欧米各国に比べ日本の落ち込み突出して大きいのも、外需依存型の日本経済の弱さを裏付けています。

Q なぜ、外需依存型となったのですか。

A 少子高齢化で国内市場の縮小が見込まれる中、製造業を中心に日本企業の多くが消費意欲の高い米国や成長の著しい新興国の市場拡大に活路を見いだしたからです。
 特に、米国では住宅バブルの影響で、住宅を担保に借り入れを増やし、それを消費に充てる傾向が鮮明でした。米市場を狙って日本企業は輸出を活発化。その結果、GDPに占める輸出の割合は96年度の10%から07年度には約18%にまでに達しました。
 ただ、世界金融危機の影響で米国の消費や新興国の成長は勢いをなくし、当面は回復を見込めません。このため、外需ではなく国内の消費を増やす「内需拡大型」へと経済構造を変えていくことが必要です。

Q 個人消費の動きは。

A GDPの約6割を占める個人消費も前期比0.4%減と2期ぶりのマイナスとなり、低迷が顕著です。輸出の大幅減による企業業績の悪化が雇用不安を高め、消費者は財布のヒモを固く締め始めました。
 その上、昨年末の物価高騰は、ここにきて一服感が見られますが、逆に最近はデフレへの懸念が強まっています。デフレは企業の売り上げに打撃を与え、雇用情勢を一段と悪化させます。さらなる雇用不安の広がりを防ぐためにも、雇用の安全網充実と創出を促す施策が欠かせません。

Q 政府・与党の対応は。

A 総額75兆円規模の経済対策を盛り込んだ08年度第1次、2次補正予算、09年度予算案・税制改正を「3段ロケット」と位置付け、景気浮揚へ政策を総動員します。
 具体的には、消費の刺激に有効な定額給付金のほか、@非正規労働者への雇用保険の適用拡大A地域雇用を創出するための1兆円の地方交付税増額B学校耐震化―など、内需拡大や雇用などへの対策を手厚くしました。
 さらに、2月27日の09年度予算案とともに衆院を通過した税制関連法案には、過去最大規模の住宅ローン減税も盛り込まれています。
 国土交通省は一般住宅への減税で年間約4兆円の経済波及効果があると試算しています。この中で、約1.9兆円の住宅投資拡大、約20.8万人の雇用創出を見込んでいます。

Q 内需拡大には成長分野への投資も必要では。

A その通りです。特に、地球温暖化問題が深刻化する中、環境分野への投資は重要で、市場としても十分な将来性を備えています。
 そこで、公明党は「緑の社会」への構造改革で新たな需要と雇用創出を促す「グリーン産業革命」を提唱。太陽光発電や電気自動車などの普及、燃料電池の研究開発支援などの大胆な施策を講じ、「今後5年間で100兆円規模の市場を形成し、200万人の雇用実現を」(太田昭宏代表)と訴えています。
 一方、国際競争力の強化には、羽田空港の24時間化など社会資本整備への先行投資も必要です。また、サービスの供給不足が目立つ医療や介護などの分野の成長も後押しすべきです。


公明新聞記事(H21. 3. 2)より転載