経済教室NO.2 世界に広がる給付つき減税


Q 給付つき税額控除とは。

A 所得税の税額から一定額を減税(税額控除)するとともに、課税最低限以下の世帯など減税の恩恵が受けられない低所得層には給付を実施する制度のことです。この制度は国民全員に漏れなく生活支援が行われ、定率減税に比べ、中低所得者層に恩恵が行き届くのが最大の特徴です。
 給付つき税額控除の歴史は、1975年にアメリカのニクソン政権のもとで低所得者の社会保障税負担を軽減し労働意欲の向上を図るため、勤労所得税額控除制度を導入したのが始まりと言われています。

Q 定額給付金との違いは何ですか。

A 基本的な考え方は同じです。当初、公明党は定額減税を主張していました。しかし、定額減税では課税最低限以下の人など低所得者に恩恵が及びません。さらに、所得税と住民税で減税時期が異なることから、経済効果を集中的に高めるために一括支給の給付金方式を採用しました。
 定額給付金は、住民基本台帳か外国人登録原票に登録されている人を対象に1人当たり1万2000円給付します。また、18歳以下と65歳以上の人には8000円を加算し2万円が支給されます。これによって子育て世帯や高齢者への所得再配分を手厚くしました。

Q 財源はどうするのですか。

A 国の歳入歳出を徹底的に洗い直し、特別会計の積立金を充当することになりました。国民から預かった税金を国民に戻す“定額還付金”と言ってもいいでしょう。定額給付金のような給付つき税額控除を恒久的な制度として採用している国もあれば、最近では緊急景気対策として実施されることもあります。

Q 恒久的な給付つき税額控除の導入例は。

A 例えば、イギリスでは2003年度から、週16時間以上就労していて19歳未満の学生など扶養児童がいる世帯に対し、税額から控除を行わず全額給付方式で還付する就労税額控除を導入しています。また、子どもの貧困対策と合わせて低所得世帯への支援として、原則16歳未満の子どもがいる人を対象に税額控除を行う児童税額控除も実施しています。これも全額給付で行われます。

Q アメリカでも導入されているのですか。

A アメリカでは、イギリスとほぼ同様の目的・内容で、勤労所得税額控除と子ども税額控除を実施しています。勤労所得税額控除では、所得が一定額以下の人が対象で、所得の増加に伴って給付額も増えます。逆に、所得が減少すると給付額も減少します。低所得者が一生懸命働けば、その分、給付額も増えて就労意欲を引き出し、自立を促す仕組みになっているのです。
 このほかカナダやドイツ、フランス、オランダなどで導入されています。お隣の韓国でも勤労者に限定した勤労奨励金が制定され、今年秋にも初支給されます。

Q 景気対策としては、どうですか。

A 時期を限った家計部門への直接給付による景気対策が各国で実施されています。例えば米国では、昨年4月末から8月にかけて政府が各世帯に小切手などを支給して所得税減税を実施。さらに、オバマ米大統領は、1人当たり500ドル(約4万5000円)、夫婦で1000ドル(約9万円)の税金を払い戻し、納税額が1000ドル下回る世帯には補助金を支給する方針を示しました。
 また、台湾では中央政府が学校などに窓口を設置し、18日から全国民に対して1万円分の消費券(商品券)を配布。全土で大きな話題を呼んでいます。

Q 日本で給付つき税額控除を導入する場合の課題は。

A 給付つき税額控除の導入いついて、与党は2009年度税制改正大綱の中で検討すべき項目として明記してあります。具体化するためには、まず所得をできるだけ正確に把握する必要があります。そのためには納税者一人一人に番号をつけ、その人の資産や所得、納税状況を掌握する「納税者番号制度」の導入も検討課題となります。課題は多くありますが、今回の定額給付金が給付つき税額控除の論議の第一歩となることは間違いありません。

Q 民主党など野党が定額給付金に反対するのはなぜですか。

A 民主党は、税制抜本改革アクションプログラムで給付つき税額控除の導入を主張しています。また、社民党も3兆円規模の定額減税を提案しています。基本的な考え方が同じ定額給付金に反対するのは、全く矛盾しています。
 また、定額給付金の2兆円を「他の対策に使うべきではないか」という主張もありますが、今年度第2次補正予算には、野党が要求している雇用対策をはじめ、国民生活に直結する施策が数多く盛り込まれています。
 定額給付金を含むこれらの施策を一日でも早く実行するためにも、財政出動に不可欠な第2次補正予算の関連法案が早期に成立することが急務です。


公明新聞記事(H21. 2. 2)より転載