経済教室NO.25 経済再生へ今こそ内需拡大を
                                    
Q そもそも内需とは何か。

A
 国内の需要のことです。消費や住宅投資、企業設備投資など民間需要と政府支出で構成されています。これに対して、外需とは海外からの需要で、財・サービスの輸出から輸入を引いたものです。内需と外需の合計が国内総生産(GDP)です。経済成長とはGDPを拡大することですから、内・外需要の動向に着目することが重要です。

Q
日本経済を引っ張ってきたのは輸出だが。

A 確かに資源小国の日本にあって、世界第2位のGDPを支えてきた要因の一つは海外への輸出です。自動車や精密機器をはじめ、原材料を国内で加工し完成品、半製品として外国に売る。「メイドイン・ジャパン」はその品質の高さも評価され、輸出を伸ばす結果に連動しました。

Q 日本は「貿易黒字大国」とも言われるが。

A
輸出額から輸入額を引いた額が貿易黒字です。財務省の貿易統計によれば、わが国は1981年以降、貿易黒字が継続しています。しかし今年10月、同省が発表した2008年度上半期(4―9月)の貿易黒字額は前年同期比マイナス85.6%の8020億円と、半期ベースで2期連続のマイナス。黒字額が1兆円を下回ったのは第2次石油危機に見舞われた82年度下半期以来、実に26年ぶりでした。
 急速に貿易黒字がしぼんだ背景には、米国発の世界金融危機があります。日本経済は外需依存度が高く、世界金融危機による欧米。アジアの景気失速がそのまま日本の輸出減に響いています。

Q 世界経済が低迷すると、日本経済はもろい?

A 今年度の経済財政白書でも、海外発のリスクに弱い日本経済が指摘されいます。02年から6年間続いた景気拡大も今年4―6月期の実質GDPがマイナス成長に転じました。ちなみに、今回の景気拡大期間は高度経済成長期の「いざなぎ景気」(65年11月〜70年7月)も超えましたが、勢いを欠くものでした。

Q 景気回復が失速したのはなぜか。

A 景気拡大期には企業の利益増が賃金上昇を通じて家計を潤し、個人消費の拡大がさらに企業の生産増につながるという好循環が見られます。「いざなぎ」では平均賃金が2倍になるなど、多くの人が景気の良さを実感できました。しかし今回は、企業が収益を雇用や設備、負債の整理など企業自身の体質強化に集中させ、景気拡大の恩恵は家計にまで及びませんでした。

Q 輸出関連産業は好調だったが、家計にまで届かなかったということか。

A その通りです。明治安田生命チーフエコノミストの小玉祐一氏は「とりわけ今回は、過去のどの景気拡大期と比較しても、外需の突出ぶりが際立っている」(「エコノミスト」08年8月19日号)とし、外需依存度は「いざなぎ」の5倍と分析しています。
 外的要因に左右されない、内需主導の自律的な経済構造にすることが、今こそ必要です。

Q 内需拡大のカギは。

A コロンビア大学日本経済経営研究所所長のヒュー・パトリック氏は「日本は内需を増やし、世界の需要底上げに貢献すべき」(日本経済新聞11月17日付夕刊)と指摘。「消費者の消費意欲を回復させるのが先決」(同)とも述べ、個人消費の拡大策を最優先すべきとしています。
 わが国のGDPの約6割は個人消費が占めています。個人資産も国家予算の約17倍の約1400兆円に上り、消費や投資に活用してもらえるよう環境整備が急務です。耐震化や太陽光発電の導入などリフォーム投資を積み増すことも重要です。

Q 政府・与党の取り組みは。

A 中小企業への思い切った金融支援策をはじめ、切れ目ない対策を講じています。賃金が伸び悩む中で物価高騰に対応するため、政府・与党は生活者の不安解消策を盛り込んだ緊急総合対策を8月末に策定。その財源を裏付ける今年度第1次補正予算が10月16日に成立しました。
 さらに、その後の世界金融危機の実体経済への影響を踏まえ、内需主導の自律的な成長をめざす新たな経済対策(生活対策)を10月30日に決定。総額2兆円の定額給付金を含め、この予算を実行するための第2次補正予算案が来年早々にも国会提出されることになっています。


公明新聞記事(H20. 12.1)より転載