経済教室NO.23 地域の景気判断 悪化

Q 地域経済の厳しさが増しているようだが。

A
 日銀は先月20日、全国の各支店の情報を基にまとめた「地域経済報告」(さくらレポート)を公表し、全国9地域すべての景気判断を下方修正しました。全地域の下方修正は2005年4月の統計開始以来、初めてのことです。
 29日に公表された財務省の経済情勢報告でも、現行方式になった01年4月―6月期以降で初めて全11地域が景気判断を引き下げ、全国の総括判断も「各地で弱い動きがみられる」と3・四半期連続で悪化しました。
 地域経済の停滞は、雇用や所得など地域住民の暮らしに大きな影響を与えるだけに、活性化へ有効な施策を的確に講じていくことが急務です。

Q
世界経済の減速は、どこに影響を及ぼしているか。

A 顕著なのが輸出の低迷です。これにより、企業収益は減少を続け、地域の景況感が一段と厳しくなっています。
 これまで自動車の対米輸出を支え、景気回復をけん引してきた東海でも、米国の自動車販売の落ち込みで景況の悪化を避けることができず、近畿や関東でも輸出の鈍化が鮮明です。
 こうした事態には、主な輸出先である米国で発生した金融危機と、それに伴う欧州諸国と新興国の経済不振が背景にあります。
 今や金融危機は、米国から欧州や新興国にまで飛び火し、各国で株価の急落や個人消費の低迷を招いています。特に、米国や新興国の内需の落ち込みは、最近の急激な円高・ドル安と重なって、輸出依存型の日本経済を直撃し、景気の下押し圧力を強めています。
 また、資源高も中小企業にとって大きな打撃です。ここにきて原油価格などに一服感が見られますが、いまだ高水準であり、今後も注視する必要があります。
 
Q 個人消費の動きは。

A 個人消費は、GDP(国内総生産)の約6割を占め、景気の下支え役を果たしてきましたが、今回の地域経済報告では、現状維持とする北陸、東海を除く7地域で下方修正されました。
 所得が伸び悩む中、生活必需品が値上がりしたことに加え、金融危機による株安や先行き不安が消費者心理を悪化させていることは明らかです。

Q 中小企業の経営も厳しいのでは。

A
中小企業は、雇用の受け皿などとして地域経済を支える重要な柱ですが、原材料価格が高騰しても、製品・サービスに価格転嫁ができず、厳しい経営を強いられています。実際、中小企業の業況判断DI(「好転」と答えた企業の割合から「悪化」を引いた指数)は、前期比で10期連続のアイナスを記録。倒産件数や負債総額も地域産業を担う建設業を中心に増加傾向にあります。
 こうした窮状に追い打ちをかける“貸し渋り”も中小企業を圧迫しています。金融危機や株安などの影響で体力の低下した金融機関が融資に慎重にならざるを得ないからです。
 特に、地域金融機関の状況は厳しく、08年9月中間連結決算の業績予想を下方修正する地方銀行が相次いでいます。このため、中小企業支援と併せて地域金融機関の体力増強が急務といえます。

Q 政府・与党の対応は。

A 景気悪化を受け、政府・与党は8月末、中小企業に対する緊急保証制度などを盛り込んだ緊急総合対策を策定。この財源となる今年度補正予算を先月16日に成立させました。
 ただ、これは金融危機が浮上する前に、原材料価格の高騰に対応するために策定されたもので、現在の信用不安などには十分に対応していません。そこで、先月30日に、総額5兆円、事業規模約27兆円の新たな経済対策を発表し、3年以内の景気回復へ政策を総動員します。

Q 具体的な施策は。

A まず消費を刺激するため、公明党が強く主張してきた定額減税を「給付金」の形で年度内に実施します。総額2兆円規模で実施方法の検討を早急に詰めます。
 また、雇用情勢の厳しい道府県に「ふるさと雇用再生特別交付金}(仮称)を創設し、地域の実情にあった雇用創出を後押しします。
 中小企業支援では、保証・貸付制度を拡充し、緊急総合対策で対象を545業種に拡大した緊急保証を20兆円、セーフティーネット貸付を10兆円にまで拡大します。
 このほか、@高速道路料金引き下げA水田フル活用に取り組む農業者への支援B道路特定財源の一般財源化で1兆円を地方財源にするC金融機関に公的資本を予防的に注入する「金融機能強化法」の活用D地方のインフラ整備を進める「地域活性化・生活対策臨時交付金」(仮称)の交付―なども行います。
 公明党は、こうした施策が速やかに実施されるよう全力で取り組んでいきます。


公明新聞記事(H20. 11.3)より転載