経済教室NO.21 急がれる中小企業支援
                                   
Q 中小企業の倒産が相次いでいるが。

A
 中小企業の倒産件数は増加傾向にあります。民間調査機関の東京商工リサーチによると、昨年の負債総額1000万円以上の中小企業倒産件数は前年比で6.1%増え、1万4015件に達し全体の99%以上を占めています。今年7月には1357件に達しました。8月には1243件とやや減少しましたが、前年同月比4.1%増です。倒産件数は昨年を上回るペースで増加しているのです。

Q
経営圧迫の要因は。

A 世界的な原油、金属、穀物価格の高騰に伴い、原材料の仕入れ価格が上昇し、その上昇分を製品・サービスに転嫁しにくいため、利益が削られています。厚生労働省が7月29日に発表した調査結果によると、資源高で「3カ月前より収益が圧迫されている」と答えた企業が83.2%にも上りました。また、「業況が悪い」と答えた企業は63.6%で、原油高が中小企業経営を圧迫していることがうかがえます。

Q 資金繰りも悪化しているようだが。

A 最近では、健全な債務者(資金の借り手)であっても、銀行が融資の条件を厳しくする貸し渋りや、すでに融資している資金を強引に回収する貸し剥がしなどが目立ちます。実際、民間調査会社の帝国データーバンクが9月3日に発表した金融機関の融資姿勢や資金調達に関する借り手企業の意識調査では、金融機関による貸し渋りや貸し剥がしが「あった」と回答した企業のうち、中小企業の割合は大企業の2倍以上にもなります。最近では、運転資金さえも貸さない“貸し止め”という言葉も聞かれるようになりました。

Q どんな対策をとっているのか。

A
政府・与党は8月29日に「安心実現のための緊急総合対策」を取りまとめました。この中には、資金繰りに苦しむ中小企業を支援するため、事業規模で約9兆円の対策が盛り込まれています。これらの事業によって、資金繰り対策の拡充をはじめ、下請法や独占禁止法の運用強化、下請事業者保護のための情報ネットワークの構築などが図られます。

Q 具体的な施策は。

A 中小企業の資金繰り相談に応じるため、経済産業局、商工会・商工会議所など全国約900カ所に「緊急相談窓口」を設置します。また、取引先の倒産や原材料の高騰などにより一時的に資金繰りに困っている企業に融資するセーフティーネット貸付について、償還期間が7年から8年に延長するなど拡充されます。セーフティーネット貸付けには、金融環境対応貸付や経営環境対応貸付などがあり、今回の対策では、金融環境対応貸付の上限額が2億円から3億円に引き上げられます。
 また、一時的に資金繰りに苦しむ企業に対して一般の保証枠とは別枠で保証を受けることができるセーフティーネット保証の対象業種が拡大しました。四半期ごとに行う定例のセーフティーネット保証の対象業種に、石油流通業、土地売買業など新たに15業種を追加。これにより、現在の対象170業種から185業種になりました。いずれの支援策も公明党が強く主張してきたものです。

Q ほかには。

A 金融庁と連携し、全国の計150カ所で、中小企業金融の実情をはじめ政府に対する要望などを聴取する意見交換会を開催します。さらに、原材料・仕入れ価格の高騰によって大きな影響を受けた企業など幅広い業種を対象に、緊急保証制度の創設も検討中です。
 また、燃料費負担の大きい運送業への支援を強化するため、高速道路料金を引き下げるとともに、長距離トラックなどに大きな負担となる首都高速道路・阪神高速道路の対距離料金制の導入を凍結しました。

Q 今後の課題は。

A 日本の企業数全体のうち、中小企業の占める割合は99%で、就業者の69.4%を雇用しています。中小企業が元気にならなければ日本経済が活性化することはありません。公明党の強力な推進で、中小企業支援対策費4000億円などを計上した今年度補正予算案をいち早く成立させることが必要です。その上で、世界的な金融不安を踏まえ、公明党は、政府の緊急総合対策に続く、追加的な景気対策を強く求めていきます。

公明新聞記事(H20. 10.6)より転載