経済教室NO.19 景気が後退局面入り
                                   
Q 景気が後退局面に入ったと聞いたが。

A
 景気は2002年2月から回復し始め、いざなぎ景気(1965年11月〜70年7月)を抜き、戦後最長になりました。
 しかし、ここに来て、内閣府が8月の月例経済報告で、景気認識を示す基調判断を前月までの「足踏み状態」から「弱含んでいる」に下方修正し、4年8カ月ぶりに基調判断から「回復」の表現を削除、景気が後退局面に入ったことを事実上認めました。4―6月期の実質国内総生産(GDP)速報値が1年ぶりにマイナス成長となったことも、景気の後退を裏付けています。
 日銀も19日の金融政策決定会合で景気判断を前月の「さらに減速」から下方修正し、約10年ぶりに「停滞」との表現に変えました。
 景気後退の正式な判断は、政府が詳細なデータ分析を行った後になりますが、日本経済が後退局面に入ったとの見方が大勢を占めています。


Q
景気後退の要因は。

A まず挙げられるのが景気拡大のけん引役だった輸出の鈍化です。
 米国のサブプライムローン(低所得者向け住宅融資)問題を機に、世界経済が減速したためで、4―6月期の輸出は前期比2.3%減と05年1―3月期以来のマイナスを記録しました。
 また、原油価格の高騰で輸入品の価格急騰が企業収益を圧迫。こうした厳しい経営環境が企業の設備投資を削ぐ障害となっています。
 今回の景気後退により、“外需頼み”を続けてきた日本経済の限界が一層浮き彫りになり、海外経済の動向に左右されない内需主導型の成長戦略の策定、実行が求められています。

Q 個人消費の動向は。

A GDPの約6割を占める個人消費は、景気回復の下支え役を担ってきましたが、最近は伸び悩みが目立ち、これが景気後退に拍車をかけています。
 4―6月期の個人消費は、7期ぶりに前期比で減少となり、総務省がまとめた家計調査では、生活必需品などの「基礎的支出」も4カ月連続で減少しました。
 背景にあるのが原油価格や穀物価格の高騰による食品、日用品価格の値上げであることは、言うまでもありません。
 例えば、消費者が購入する商品・サービスの価格変動を示す消費者物価指数は、この1年間で灯油が42.2%、スパゲティや即席めん、食パン、バターが33.2―14.3%も上昇。その上、10月以降は、輸入小麦が20%程度値上がりし、この1年半で70%超も価格が高騰することになります。今後、物価高に歯止めがかかるかは不透明です。

Q 賃金は増えないのか。

A
1970年代の第1次石油ショックでは、物価高に伴い賃金も増加傾向にあったため、その影響は緩和されていたといえます。ただ、今回は“悪いインフレ(物価上昇が続くこと)”といわれるように、物価高にもかかわらず、賃金は伸びていません。
 大手製造業などが仕入れや労働コスト(費用)削減の手綱を緩めなかったことに加え、最近の企業収益の悪化が賃金の伸びを抑えており、そのしわ寄せは、中小企業や家計に及んでいます。
 物価高と賃金の伸び悩みという板挟みの中、家計負担は増え、家庭では、日用品の買い控えなど「生活防衛」の構えを強めています。

Q 政府・与党の対応は。

A 物価高への対応策を含めた「安心実現のための総合対策」を近く策定する予定です。
 11日の政府・与党会議では、福田康夫首相が示した基本方針を了承し、取りまとめへの本格的な議論を開始しました。
 基本方針では「改革を通じて経済成長を実現し、日本経済をより強固なものとする」との考えの下、@物価高対策A低炭素社会の実現と省エネルギー対策B原油高時代への対応など新価格体系への適応を円滑化する措置―を柱に据えています。

Q 公明党の主張は。

A 公明党は8日、物価高が家計を直撃している現状を重視し、低所得者への支援などを盛り込んだ緊急経済対策を与謝野馨・経済財政担当相に申し入れました。
 その柱の一つが一定期間の「定額減税」です。定額減税は、物価高による打撃が低所得者層に大きい現状を踏まえ、中低所得者ほど恩恵が大きいのが特徴です。
 また、一定期間、物価上昇分を年金、生活保護費に上乗せする措置のほか、農業や運送業などに対する燃料費高騰分の一部補てん、中小企業へのセーフティーネット貸付・保証の拡充、高速道路料金引き下げなども要望。
 一方、ムダ排除へ、国会議員歳費と幹部公務員給与の10%カットや、「事業仕分け」による特別会計改革なども求めました。
 公明党は国民の不安解消へ、経済対策の早急な策定、実施に全力を挙げる決意です。


公明新聞記事(H20. 8.25)より転載