経済教室NO.18 地方財政健全化法4指標、今秋公表へ
                                   
Q 地方財政健全化法の目的は。

A 財政難に陥った自治体を再建する法律です。夕張市の財政破たんによって整備が加速し、昨年6月に成立しました。
 破たんの可能性が高い「早期健全化団体」や、破たん状態にある「再生団体」を認定し、再建に向けた計画策定と実施を義務付けます。財政再建法を準用したこれまでの制度と違うのは、破たんを未然に防ぐための早期健全化団体を導入した点です。
 自治体は各年度決算から、財政状況を判断する四つの指標を公表することになります。

Q どういう指標か。

A @実質赤字比率A連結実質赤字比率B実質公債費比率C将来負担比率―の四つです。このうち、自治体本体に加えて公営企業や公社、第三セクター(以下、三セク)を含めた、連結実質赤字比率と将来負担比率が、今回新たに設けられた指標です。指標が一つでも基準を上回ると、自治体は早期健全化団体や再生団体に指定されます。
 施行は来年4月からですが、今秋には昨年度決算に基づいて、4指標が公表されます。今、その数値に関心が集まっているのです。

Q それは、どうしてか。

A
もちろん、来年度をにらみ、早期健全化団体などの見通しがつくこともありますが、これまで住民に提供されなかった財務情報が明らかになるからです。
 将来負担には地方債や債務負担行為などがありますが、特に関心を集めているのが、土地開発公社が自治体に代わって先行取得した土地です。自治体が買い戻す義務があるにもかかわらず、財政難から、公社に取得させたまま放置しているものです。
 また、自治体は土地開発公社や三セクに対し、債務保証や損失補償契約を行っており、経営状況のよくない三セクの借金については、自治体が肩代わりさせられる恐れがあります。

Q 土地開発公社が抱える土地の実態は。

A 保有総額は1999年度には約8.3兆円でしたが、年々処分が進み2006年度には約4.5兆円となっています。うち、85〜88%が先行取得分です。
 一方、公社が5年以上保有しているものは“塩漬け土地”といわれ、地価下落により、時価が取得原価を大きく下回るなど、処分できない事情を抱えています。保有土地のうち塩漬け土地の割合は、逆に増加しており、10年以上の保有は、全体の半分以上を占めるに至っています。

Q 先行取得土地は、指標にどう反映されるのか。

A 自治体にとって先行取得土地は、買い戻し条件が付いた債務ですから、公社による土地購入額と金融機関に支払った利子など諸経費の総額を、将来負担に算入することになりあます。
 また、利益の見込めない宅地造成事業などの販売用土地も、将来負担の要因になります。
 財政規模に比べて多額の先行取得土地などを抱える自治体は、かなり悪い将来負担比率となる恐れがあるでしょう。

Q 三セクへの損失補償に関してはどうか。
                                 
A 損失補償は、三セクが金融機関に債務を返済できなくなった時、自治体が損失を補てんする契約です。07年度において金融機関などに債務を負っている法人のうち、516法人が自治体と損失補償契約を結んでいます。同契約の付いた債務総額は2兆764億円に達しています。
 地方財政健全化法は、金融検査マニュアルを参考に、三セクを正常先から実質的に財政破たんしている実質負担先まで5段階に分類し、各分類に応じ損失補償額の10―90%を自治体の将来負担に算定する仕組みです。
 三セクの経営不振で、実際に自治体が肩代わりを迫られる可能性があるのは、日経新聞(4.6付)の試算によると、約5000億円に上ります。また、56法人が実質的に破たんしていると報じています。

Q
自治体によっては、相当な財政負担になりそうだ。

A 中には損失補償額が一般財源を上回っているような自治体もあり、将来負担比率が早期健全化基準を超えるところも出てきそうです。
 いずれにせよ、来年度からの同法の本格施行によって、早期健全化団体などでは、行政サービスの低下など、住民生活にも影響が及ぶことになりそうです。しかし一方で、これまで開示されていなかった自治体の不良資産や隠れた債務が明らかにされる効果もあり、自治体の財政運営に対する住民による平時からの監視が強化されることも期待されます。

公明新聞記事(H20. 8.18)より転載