経済教室NO.14 環境ビジネスを育成
                                   
Q 環境を生かしたビジネス振興に向けた動きが活発なようだが。

A 地球温暖化などの環境問題への関心が高まる中、経済の分野でも環境対策に貢献する取り組みが注目されています。
 省エネなど、環境負荷の低減をめざす事業は、今後も大きな成長が見込まれますが、経済における環境対策をさらに前進させるには、金融機関・投資家や消費者との関係なども含めた一体的な取り組み加速させ、市場を拡大させることが必要です。
 その上、7月には日本が議長国として環境問題を協議する北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)が開催されるだけに、日本政府は環境対策の拡充に向けたリーダーシップを強める必要もあります。
 こうしたことから、経産省は「環境を『力』にするビジネス」という基本的な考え方に立って、環境対策に貢献する事業活動を一体的にとらえた成長戦略を策定する方針です。

Q 市場規模はどれぐらいになるのか。

A 環境保護を重視する社会的ニーズ(要望)の高まりを背景に、大きく拡大すると見込まれています。
 経産省は、2005年に59兆円とされた環境ビジネスの市場規模が15年には、83兆円にまで拡大し、雇用規模も180万人から260万人にまで広がると試算。このうち@地球温暖化対策の市場で49兆円(05年は32兆円)A3R(リデュース=減量化、リユース=再使用、リサイクル=再資源化)で30兆円(同25兆円)B自然共生・公害対策で4.8兆円(同2.9兆円)―までの成長が可能と予測しています。

Q どのような取り組みが必要か。

A
事業者は環境性能の高い技術開発や、環境に優しい財・サービス、運送手段の利用、生産工程の省エネ化を進めるべきです。しかし、それには高いコスト(費用)がかかり、経営の“重し”になりかねません。また、同業種での成功事例が少なく、施設整備や原材料調達などでのノウハウが共有されていないことなども課題といえます。
 このため、環境配慮型の新技術開発のほか、事業ノウハウの蓄積・整理を行った上で、これを実際の事業に生かすための体制を充実させることなどが求められています。

Q 具体的な事例は。

A 例えば、国内外のIT(情報技術)関連会社が情報システムのデーターセンターを中部地方の地下空間(鉱山跡地)に設置し、10年4月から稼働を開始。ここでは、機器の冷却に地下水を使うことで従来の空冷方式に比べ電力消費を5割も削減できるとしています。
 また、製錬業で培った技術を生かして廃家電からレアメタル(希少金属)などを回収し、リサイクルに役立てる事業も活発化しています。

Q 消費者や金融機関・投資家への対応は。

A 消費者に対しては、商品に関する環境情報を入手したり、評価をしやすくし、積極的に購入できるよう、広報活動などを強化すべきです。
 特に、企業が独自に発行している環境ラベルは多数存在している上、複雑です。消費者にとって分かりやすい表示にするには、ラベルの統一化を図るなどの対策が必要といえます。
 一方、金融機関・投資家が環境対策に熱心な企業への投資を促す施策も欠かせませんが、それには、国内企業の環境評価や情報開示などが的確にできるシステムの構築が課題となりそうです。

公明新聞記事(H20. 5.26)より転載