経済教室NO.13 ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活との調和)
                                   
Q 結婚後も働く女性の割合が増えているが。

A 厚生労働省が公表している「平成19年版労働経済の分析」で、最近10年間の女性の労働力人口比率が、25〜60歳台前半までの幅広い年齢層で高まっていることが明らかになりました。これまで既婚女性について「夫の収入が高ければ、妻の就業率は低下する」という傾向が知られていましたが、近年は高所得世帯であっても女性の就業率が高まる傾向にあります。
 また、未婚女性に関しても将来は専業主婦ではなく、仕事と家庭の両立や“非婚”就業を望む傾向が高まっています。

Q 課題は何か。

A 結婚後も働きたいと答える女性が増加している一方で、出産・子育てをきっかけに仕事を断念した女性も実際には増えています。日本労働研究機構「育児や介護と仕事の両立に関する調査(2003年)」によると、仕事と育児の両立が難しかったという理由の中で最も多かったのが「自分の体力がもたなそうだった」(52.8%)、次いで、「育児休業をとれそうもなかった」(36%)となっています。その他にも「育児に対する配慮や理解のない職場だった」と答えた女性が21.6%いました。これは仕事と家庭を両立した上で働き続けたいという希望に企業側が対応できていないことを示しています。見方を変えれば経済を支える貴重な労働力が失われているという現実も浮き彫りにしています。
 こうした状況を改善し、社会に新たな経済活力を生むために「ワーク・ライフ・バランス」を促進すべきという議論が近年高まってきたのです。

Q ワーク・ライフ・バランスとはどういう意味か。

A
一人一人が充実感を得ながら働き、子育て期や中高年期などの人生の各段階での趣味や健康を大切にしながら、家庭や地域での生活を送れる状態をめざすことです。1980年代初頭に米国や英国で増加した「働く母親」を支援する施策がワーク・ライフ・バランスの始まりとされています。

Q 日本で注目されるようになった背景は。

A バブル経済崩壊以降の企業は人件費の高い正社員の採用を抑制する一方で、人件費の低い非正規雇用労働者の採用を増やしました。この結果、生活不安を抱える非正規雇用者が急増。経済的に安定しない非正規雇用のままだと結婚や出産に踏み切れないといった切実な問題が出てきました。正社員の労働時間が高止まりする問題も目立ち始め、過労死の増加が社会問題になっています。しかし、これらを改善すべき企業も激しい競争による経営体力の低下と長年の雇用慣行が足かせとなり十分な対応がとれていないのです。

Q 人口減少時代に入り、労働力不足が懸念されているが。

A 少子高齢化が進展している現在、すぐに新たな労働力を生み出すには限界があります。そこで、注目されているのが女性や現役を引退した高齢者による積極的な社会参加です。特に、女性の社会参加や就労を促すカギとしてワーク・ライフ・バランスの重要性が高まっています。経済産業省が公表している「平成18年版通商白書」では大学や大学院を卒業した女性の潜在労働力は約66万7000人であると推定し、潜在的な付加価値の創出額にいたっては約3兆5000億円であると試算しています。

Q 女性が参加すると企業の生産性も向上すると言われているが。

A 例えば、法政大学社会学部の小峰隆夫教授は企業の生産性向上には女性の参加が欠かせないと指摘しています。小峰教授は「(日本経済研究センターの)調査でも、働く女性の割合が高い企業が収益性も高いという結果が出ている。女性が経済活動に参画することは、単に働く人が増えるというだけではなく生産性も上がるということだ」と述べています。

Q 公明党の取り組みは。

A 党女性委員会が4月17日に、すべての女性が安心と希望を持って暮らせる社会づくりを推進する政策提言「女性サポート・プラン」をまとめました。提言は「仕事と生活の調和」を確立する基本法制定を盛り込んだほか、待機児童ゼロに向けた「保育ママ」の拡充、育児休業給付金の全額一括支給の実現など大胆な改正案を打ち出しています。一方、政府もワーク・ライフ・バランス憲章と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」を策定し、具体的な数値目標を掲げて総合的な取り組みを始めています。

公明新聞記事(H20. 5.12)より転載