経済教室NO.12 世界に広がるバイオ燃料
                                   
Q バイオ燃料とは。

A トウモロコシやサトウキビ、木材などバイオマスを利用して生成したバイオエタノールをはじめとするアルコール燃料や合成ガスのことです。バイオ燃料は、石油を燃焼したときと同様に二酸化炭素(CO2)を排出しますが、このCO2はもともと植物が成長の過程で取り込んだものであり、大気中のCO2を増やさない循環型の資源エネルギーです。

Q なぜCO2の抑制が必要か

A 排出されたCO2は地球を包み、ちょうど温室のように気温上昇をもたらします。それで温室効果ガスと呼ばれています。バイオ燃料は、地球温暖化の防止対策にも極めて有効で、単独で使用したり、ガソリンに混合することも可能であることから、既存の流通基盤を生かして導入が比較的容易です。

Q 石油に依存した経済社会を転換するのは困難では?

A
確かに私たちの身の回りにある自動車や航空機、船舶などの動力エネルギーの大部分は石油に依存していますが、地球温暖化を加速させる要因でもあります。中国やインドなど新興国の急激な経済発展などに伴い石油の需要は拡大しています。しかし、石油の埋蔵量には限りがあり、中長期的には枯渇するとの懸念もあるため、世界各国では石油に替わるエネルギーの開発が喫緊の課題となっています。その一翼を担うと期待されているのがバイオ燃料です。

Q バイオ燃料の生産は増えているのか。

A 世界的にバイオエタノールの生産量は年々増加しています。2001年には年間3116万キロリットルだったのが、05年は約1.5倍の4599万キロリットルに急増しています。また、各国では中長期的な視点でバイオ燃料の普及拡大に取り組んでいます。例えば米国では、輸送用燃料分野でトウモロコシや大豆を原料とした再生可能燃料を12年までに70億ガロン(約2800万キロリットル)導入することを義務化、17年までに350億ガロン(約1.3億キロリットル)導入の目標を掲げています。
ブラジルでもサトウキビから生成したバイオエタノールをガソリンに20〜25%混合することを義務付けています。

Q 日本の取り組みは。

A 農林水産省と経済産業省が連携して設置した「バイオ燃料技術革新協議会」は3月末、セルロース(植物の細胞壁や繊維の主成分)系バイオマスから効率的に燃料を生産し実用化をめざす「バイオ燃料技術革新計画」を策定しました。
 それによると、産業界や大学、政府が連携してバイオ燃料の品質確保や脱税防止のための制度などインフラ(基盤)を整備。15年に間伐材などの資源を原料としたバイオ燃料の生産コストを1リットル当たり100円とする「バイオマス・ニッポンケース」と、1リットル当たり40円をめざす「技術革新ケース」の2種類を想定しています。生産規模は、バイオマス・ニッポンケースで年間1.5万キロリットル。技術革新ケースでは、同10〜20万キロリットルをめざしていますが、この目標を実現するためには、半径6.5キロメートルの原料用地面積(1万3270ヘクタール)が必要と試算されています。これは、東京のJR山手線内側の2に相当する広さです。原料によっては、山手線内側の6倍の農地が必要となります。

Q 民間でも取り組みが進んでいると聞くが。

A 札幌市にある北海道立工業試験場では今年度から、国内では初めてとなるトウモロコシの葉や茎から効率的にバイオエタノールを製造する技術開発に着手しています。ここでは、従来、トウモロコシの葉と茎を別々にしなければならなかった処理を同時に行うことで生産コストを下げる計画です。また、製造過程で硫酸を使わない技術も開発するとしています。
 このほか、酒造会社と京都、神戸、東北の各大学が共同で「スーパー酵母を」を使い、稲わらからバイオエタノールを生成する技術を開発しました。この手法では、稲わらに含まれるセルロースの約7割をエタノールに変換でき、大規模な薬剤処理施設がいらないことから実用化にも適しています。

Q 今後の課題は。

A バイオ燃料の普及拡大には、ガソリンなどの燃料価格と競争できるように生産コストを下げることが最大の課題です。さらに穀物価格の上昇を防ぐ観点から食料用と競合しない原料を使用することが必要です。現在のバイオ燃料の国内価格は、1リットル当たり1000円を超えるなど非常に高額です。イネ科のソルガムやエリアンサスなど環境適応性が高く、食料と競合しない植物を栽培するための広い農地の確保も大きな課題です。
 一方では、農家の高齢化などに伴い、耕し手のいない耕作放棄地が全国で約38万ヘクタールと埼玉県の面積に匹敵する規模に達しています。こうした遊休農地の再生、活用も視野に入れた中長期的な取り組みが求められています。

公明新聞記事(H20. 4.28)より転載