経済教室NO.4  サブプライム問題
                                   
Q サブプライムローンとは。

A 所得の低い人や過去に借入金の返済に未払いがあるなど信用力の低い人を対象にした米国の住宅ローンのことです。このローンは、2003年ごろから急増し、06年末には米国の全住宅ローン約11兆j(約1180兆円)のうち、14%に当たる約1.4兆j(約150兆円)を占めるまでになりました。
 サブプライムローンの特徴は、審査が甘く簡単に融資を受けられる代わりに、通常の住宅ローンよりも金利が割高に設定されていることです。一般住宅ローンの金利(年6〜7%程度)に当初0.1〜0.6%上乗せして返済をスタートさせますが、2〜3年後には上乗せ金利が3〜6%に上昇し、返済が2倍以上に膨れ上がります。

Q なぜ金融機関は返済が困難な低所得者に融資したのか。

A 当時、米国の住宅価格が値上がりし続け、バブルの様相を呈していました。このため、たとえ返済が難しい状況になったとしても金融機関は担保の住宅を転売することで融資金を回収することができたのです。しかし、06年の秋ごろから、米金融当局が利上げしたことなどをきっかけに住宅価格が下落へと転じ始めました。サブプライムローンの延滞率は上昇し、07年初めの時点では延滞率は約15%となり、優良顧客向けの住宅ローンと比べて約5倍にも達したました。

Q 米国経済への影響は。

A
07年夏、欧米金融機関のサブプライムローンによる巨額な損失が表面化したのをきっかけに、米国の株価は一気に下落し、住宅市場の景況も悪化しました。その結果、米国の国内総生産(GDP)のうち、約7割を占める個人消費を冷え込ませ、景気が後退するとの見方が強まっています。
 また、サブプライム問題による巨額損失の解消への不安感も拭えません。米大手銀行シティグループはサブプライムローンに絡み235億j(約2兆5000億円)の巨額な損失を計上しました。最終的な損失額は1000億j(約10兆6000億円)を越すのではないかといわれます。
 英国やドイツの中堅銀行などでもサブプライム問題で巨額の赤字が計上されました。

Q なぜここまで世界に波及したのか。

A サブプライムローンの債権が証券化され世界の金融機関や投資家にばらまかれたからです。証券化とは、企業などが保有する債権などを有価証券に変え投資家に売買する仕組みのことです。サブプライム層にお金を貸した金融機関は、債権をまとめて証券会社に売却していました。一方、証券会社は買い集めた債権をもとに証券を発行。証券は世界各国の金融機関やヘッジファンド(富裕層などから巨額な資金を集め、高収益を狙う投資機関)に買い取られていました。しかし、サブプライム問題の焦げ付きが深刻化するに従って証券価値も暴落し、多額の損失となったのです。
 証券化は、サブプイライムローンの債権リスクを薄く広く世界中に拡大させたため、どこにリスクの所在があるのか、実際の損失はいくらなのか実態がつかめず、最終的な損失額の規模は、まだはっきりしません。

Q 日本経済は大丈夫か。

A 日本への影響は比較的小さいとされていますが、それでも大手金融機関に損失が出ています。世界経済が低迷すると日本の輸出が打撃を受けます。日本は、バブル崩壊後、米国、中国などへの輸出に頼り景気回復を遂げてきただけに影響は深刻です。また、中国やインドなどの新興国においても米国への輸出が経済成長を支えてきました。このため、米国景気の失速懸念は直ちに世界へと波及する構造になっています。

Q 今後の見通しは。

A サブプライム問題の焦げ付きはさらに増える見通しで、解消まではまだ時間がかかりそうです。米国経済の地盤沈下で世界の基軸通貨であるドルへの信頼も揺らいでいます。ドルの急落によって、ユーロや円などの通貨が今後、さらに急騰する恐れがあります。株安を嫌がった投資マネーが原油や穀物、金属などに向かい、これらの価格高騰をもたらしていることも問題です。

Q G7で話し合われたことは

A G7では、世界経済の安定と成長をめざす決意を盛り込んだ共同声明を採択し閉幕しました。この中で、世界経済の現状について「困難で不確実な環境に直面している」との厳しい認識を提示。G7各国が「個別にあるいは共同して適切な行動を取っていく」と協調行動も辞さない考えを表明しました。
 また、サブプライムローン関連の金融商品に投資した金融機関に対して、損失を確定して情報開示し、必要があれば資本増強策を講じるように促しました。


公明新聞記事(H20. 2. 11)より転載