経済教室NO.3  通常国会で地方財政が焦点に
                                   
Q 国会では、地方財政をめぐる議論が焦点になっているが。

A 毎年、年度末が迫るこの時期には、来年度地方財政への対応を決める議論が国会で行われますが、今回は衆参で多数派が異なる“ねじれ国会”となり、与野党の議論が注目されています。
 仮に、与野党の対立が激化し、年度内に結論が出なければ、来年度の地方予算が減額されるなど、自治体財政は大打撃を被ります。こうした事態を回避するには、与野党が政策協議で合意を形成し、年度内に関連法を成立させる必要があります。

Q 具体的にどのような法案があるのか。

A まず、今年度補正予算関連の法案として、地方交付税法等改正案があります。
この法案は、地方交付税の原資となる国税収入が当初の見積もりより減少したため、それに伴って減税される地方交付税の総額(2992億円)について、国の一般会計から補てんすることを認めるものです。
 地方交付税は毎年、地方間の財政格差を是正するため、当初の税収見積もりに沿って、あらかじめ配分されますが、税収額が修正されることを受け、交付税額を調整する必要があります。税収が減少したことを受け、改正案が年度内に成立しない場合、地方が交付税の一部を国に返還しなければなりません。
 総務省は返還額について、人口170万人の標準的な規模の県で約25億円、10万人規模の市では、約1億4000万円に上ると試算しています。

Q 地方税も減少したのでは。

A
地方税に関しても、見積もりよりも減少したことを受け、それを補てんする措置が必要です。
 地方自治体は地方税収入が見積もりよりも減少した場合、減収補てん債(赤字地方債)を発行できますが、目的は建設事業に限られます。このため、使途を建設事業以外に緩和する法改正(地方財政法の改正)をしなければなりません。
 使途を拡大した減収補てん債の発行を認めるのは、今回で戦後3度目となり、発行を希望しているのは、15道府県(発行希望額合計1400億円)と65市町村(同400億円)の計80自治体にも上ります。もし、年度内に法改正ができなければ、減収補てん債の発行ができず、多数の自治体が赤字に転落する恐れがあります。
 このほか、地方交付税法等改正案には、今年度交付税特別会計からの借入金償還を繰り延べ、償還分5869億円を来年度地方交付税総額に加算する措置もあるため、法改正がない場合、来年度はその分、地方交付税総額が減少する可能性があります。その際、地方交付税総額は、前年度比で約4000億円の減少となります。

Q 民主党の対応は。

A 当初、民主党は、地方財政の「抜本改革」を求める立場から、法改正に反対の意向を示していましたが、法改正できない場合の混乱に配慮し、態度を軟化しました。その後、与党との修正協議を経て、先月の29日の衆院本会議の採決では、法案に賛成したことから、改正案は年度内に成立する見通しです。
 なお、修正協議により、建設事業以外の充当を認める減収補てん債の発行期間は、今年度だけでなく、地方財政制度の抜本改革までの「当面の間」となりました。

Q ほかに地方財政に関係する法案は

A すでに国会提出された法案として、地方法人特別税等暫定措置法案や地方交付税法等改正案(来年度予算関連法案)、地方税法等改正案があります。
 地方法人特別税等暫定措置法案は、都市と地方の税収格差是正を目的に、都市部にか偏りがちな法人事業税(地方税)の約半分に当たる2兆6000億円を地方法人特別税(国税)に組み替え、人口と従業員数を基に、地方法人特別譲与税として2009年度から都道府県に再配分するものです。税制の抜本改革までの暫定措置で、財政力のある東京、愛知などから約3700億円がほかの地方に回ることになります。
 一方、地方交付税法等改正案は、来年度の交付税総額を今年度より2000億円増の15兆4061億円と3年ぶりに増額したほか、自治体に地方交付税を重点配分するために来年度から新たに設ける4000億円の特別枠「地方再生対策費」(都道府県1500億円、市町村2500億円)を創設し、財政力が弱い地方の活性化を図ります。
 地方税法等改正案は、自動車取得税や軽油取引税などの暫定税率延長や、生まれ故郷の自治体に寄付した場合に個人住民税負担が軽減される「ふるさと納税」などは盛り込まれたものです。

Q どれも重要な法案であり、年度内に成立させるべきだ。

A そうですね。政府・与党は、こうした地方財政の拡充に向けた法改正を積極的に進めていく方針です。民主党は、いたずらに審議を引き延ばすのではなく、修正協議も視野に入れながら、地方財政の安定化に配慮した責任ある対応が求められています。


公明新聞記事(H20. 2. 4)より転載