経済教室NO.2  日本経済 成長への課題
                                   
Q 日経平均株価が16日には2年2カ月ぶりに終値で13504円まで落ち込んだが。

A 株価は経済の現状を端的に反映します。東京株式市場の売買で6割超を占める外国人投資家が投資を敬遠していることが株安をもたらしています。現状、“日本買い”を促すプラス材料が見当たらないと投資家がみているためです。

Q わが国は戦後最長の景気回復局面が続いているのではなかったのか。

A 景気については、「基調として緩やかに拡大している」(福井俊彦日銀総裁)との判断は変わっていませんが、幾つかの要素が重なり、「減速している」(同)のは事実です。

Q 背景には何が考えられるのか。

A
まず第1に挙げられるのが、米国のサブプライムローン問題による影響です。昨年夏以降、同ローンを組み込んだ金融商品の焦げ付きが発覚。この商品を積極的に運用していた欧米の金融機関の損失がここにきて次々と表面化してきました。
 先週15日には米銀行最大手のシティグループが2007年10−12月期の決算を発表しましたが、サブプライムローンによる損失が当初予想の2倍を超える222億ドル(約2兆4000億円)に上ると発表。これ以降、海外市場の円相場では円買いドル売りが一層強まり、16日には2年7カ月ぶりに1ドル=105円台に突入しました。米経済の不振で基準通貨であるドルへの信頼も揺らいでいます。

Q そもそも、米国経済が混迷すると日本がそのあおりを受けるのはなぜか。

A 今の景気回復が輸出に大きく依存しているためです。米国の先行きが不透明になれば、日本製品が海外で売れなくなるかもしれません。輸出で勝負できないとなれば、投資家の間では「日本には魅力がない」との心理が働き、“日本離れ”の動きが強まってきます。

Q 円高の進行は日本にマイナスか。

A そうですね。これまで日本企業は円安傾向、米国や新興国の海外需要に支えられて増収、増益を持続してきました。とりわけ、日本経済をけん引してきた電機、自動車などの輸出企業にとっては、さらなる円高は収益を圧迫させる要因となります。

Q これに追い打ちを掛けているのが、昨今の原油高だな。

A 原油の先物相場は今年の年頭、ついに1バレル=100ドルを突破。低迷する世界の株式市場から資金を引き揚げた投資家の投機マネーが原油や金、穀物といった“モノ”に向かっています。原油の相場は実勢価格の何倍にもハネ上がっています。この影響は私たちの生活にも及んでいます。ガソリンや灯油価格の高止まりをはじめ、各種原材料高に伴う食料品、日用品の相次ぐ値上げとなって暮らしを圧迫しています。

Q 国内では、建築基準法改正に伴う新規住宅着工減の影響もあったが。

A 建築偽装問題を防止するため、法改正が行なわれましたが、結果として改正内容に関する建設業界への周知徹底が不十分だったために住宅着工数が大幅に減少しました。住宅建設には、内装や家具など関連業界のすそ野が広いだけに、わが国経済に冷や水を浴びせることになったのは確かです。
 しかし、その後、公明党の働き掛けなどを受けて政府が諸施策を講じた結果、住宅着工件数は昨年10月には9月比22%増、11月には同34%増と、回復傾向に転じてきています。

Q 政府は2008年度の経済見通しを実質2%成長と掲げているが、目標達成の見通しはあるのか。

A 実は、年明け以降の現況については、当面サブプライムローン問題による世界経済の混乱は避けられないとの見立てから多くのエコノミストが円高、株安傾向や原油高を予測するなど、ある程度織り込み済みでした。景気が当面減速するのは避けられませんが、今年後半から反転できるかどうか、日本経済の底力が問われる展開になります。

Q 景気回復を持続させる上で重要なことは。

A 日本経済を安定したものとするためには、今こそ輸出依存から脱却し内需主導の成長が欠かせません。そのためには、個人消費の底堅さを維持することが重要であり、公明党の太田昭宏代表は、10年までに給与所得を過去最高水準に引き上げることを提唱しています。混乱した経済を落ち着かせるには、政治が日本の将来に対して安心できる明確なメッセージを適切に打ち出すことが重要であることは言うまでもありません。


公明新聞記事(H20. 1. 21)より転載