経済教室NO.1  原油価格高騰
                                   
Q ガソリンや灯油が値上がりしているが。

A 原油高騰の影響です。原油先物の代表的な指標であるWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)は近年、上昇傾向が続いています。昨年当初は1バレル=50ドル台でしたが、今年に入り3日には一時、1バレル=100ドルを突破。史上最高値を更新しました。現在も90ドルの高値水準で推移しています。
 この影響を受け、日本国内でもガソリンや灯油が値上がりしています。石油情報センターによると、昨年12月10日現在でレギュラーガソリン1リットル当たりの店頭価格が155.5円、灯油は同17日の調査で18リットル当たり1757円に上昇しました。いずれも統計を取り始めた1987年以来の最高値で、4年前の同時期の価格に比べると2倍以上に値上がりし、家計を直撃しています。

Q 原油高騰の原因は。

A 中国やインドなどの新興国の経済発展に伴う国際的なエネルギー需要の拡大、産油国の政情など供給面への不安感が価格上昇の背景にあります。さらに、米国における信用力の弱い個人住宅向け融資(サブプライム)の焦げ付き問題が指摘されています。
 このローン債権を複雑に組み込んで証券化した金融商品が世界中に拡散しているため、大手金融機関の最終損失額は5000億ドル(約56兆円)に達するという見方もあります。
 サブプライム問題が米国の株価低迷、ドル安をもたらしています。ドル建てだと原油購入が割安となることもあって、株式から離れた投機的なマネーが原油市場に流れて価格を押し上げています。

Q 食品なども値上がりしているが。

A
国際的に穀物価格が上昇しているからです。オーストラリアが干ばつに襲われるなど主な農産物輸出国の生産不振に加え、ガソリンの代替エネルギーとしてバイオエタノールの生産が急増しています。バイオエタノールはトウモロコシなどから作れます。大豆や小麦からトウモロコシへの転作が進んだ結果、これらの穀物の需給が逼迫し価格高騰に拍車を掛けています。
 輸入穀物の値上がりで国内の食用油、食パン、麺類といった食品の価格が徐々に上っています。昨年11月の全国消費者物価指数(2005年=100、生鮮食品を除く)は、石油製品や食品の値上がりで前年同月比0.4%上昇し100.6になりました。これは9年8カ月ぶりの高い伸びです。

Q 今後も原油価格は上がるのか。

A 日本エネルギー経済研究所によると、今年はWTIの年平均価格1バレル=80ドル前後で推移し、現状より値下がりすると見られています。しかし、、原油をめぐる国際状況が悪化すれば1バレル=90〜95ドル、好転すれば1バレル=60〜65ドル前後と、かなり幅があります。サブプライム問題が、今後さらに拡大する可能性もあり楽観できません。

Q 日本経済への影響は。

A 02年2月以降、日本が緩やかながらも景気回復を持続できたのは、米国やアジア向けの輸出増が生産拡大をもたらし、企業収益や設備投資の増加に連動する好循環があったからです。景気回復を持続させるためには、企業部門から家計部門への波及がカギとされてきましたが、原油価格上昇が企業経営を圧迫し、この流れを弱めています。
 昨年7−9月期の法人企業統計によると、全産業の経常利益が約5年ぶりに減益になりました。日銀が発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)では、景気を牽引してきた大企業の景況感も悪化しています。企業の経営体力が落ち、物価上昇に賃金上昇が追い付かない事態も予想されます。そうなると個人消費が停滞し、景気回復のシナリオが崩れる恐れもあります。

Q 経営体力の弱い中小企業が心配だ。

A 原油や原材料の高騰分を商品やサービスの価格に転嫁できない下請け中小企業の現状は深刻です。例えば(社)全日本トラック協会の調査(昨年11月実施)によると、軽油価格の高騰に伴うコスト増分を運賃に「まったく転嫁できない」とする事業者が全体の61%に達し、荷主に対して弱い立場に置かれている実態が浮き彫りにされています。同協会によると業界全体の年間利益500億円弱に対し、燃料費高騰で6000億円を超えるコスト増に見舞われています。

Q 公明党の取り組みは。

A この問題に公明党は敏感に反応し行動しました。党中小企業活性化対策本部(白浜一良本部長=参院議員)と原油高騰問題緊急対策本部(赤羽一嘉本部長=衆院議員)は、迅速な対策を政府に要望。これを受けて政府は昨年12月11日、中小企業対策をはじめ離島、寒冷地などの生活関連対策、国際原油市場の安定化への働き掛けなどを柱とする緊急対策の基本方針を決定。財源として07年度補正予算案と08年度予算政府案に総額2150億円規模が計上されました。今後は、速やかに関連予算を成立させ、実行に移すことが強く求められています。


公明新聞記事(H20. 1. 7)より転載