経済教室NO.23増加するネットバンキング犯罪
                                   
Q インターネットの利用者が急速に増えているが。

A 総務省が公表している「平成19年版情報通信白書」によると、2006年の人口に対するインターネットの普及率は68.5%で、利用人口は8754万人(05年比2.6%増)と推定されています。インターネットが普及し始めた1997年の利用人口が1155万人ですので、9年間で約8倍まで増加していることになります。

Q インターネットを利用した商品取引も広がっている。

A かつてのインターネット利用といえば、情報の検索やメールのやり取りが基本でした。
 しかし、近年は知りたい情報の検索に加えて、本や衣料、食品などのショッピングから株式売買まで幅広い商品の取引が可能になりました。これは、パソコンの処理能力が飛躍的に向上したことや個人情報保護に関する電子技術開発が進んだこと、携帯電話などの小型端末機が普及したことなどが大きく影響していると考えられます。

Q インターネットバンキングとは。

A
文字通りインターネットを利用して銀行との金融取引ができるサービスのことです。
 具体的には、残高照会や入出金に関する明細の照会、振り込みなどを自宅や職場にいながらできるサービスです。その便利さから仕事が忙しく銀行に行くことができない会社員などが、利用しています。銀行業界もコスト削減効果が大きいことを背景として、ネットバンキングの導入とサービス向上による顧客の獲得に積極的に取り組んでいます。

Q 利用者増加の一方で新たな犯罪も起きているようだが。

A これまでの金融取引における被害といえば、偽造・盗難キャッシュカードによる被害が中心でした。しかし、金融庁が9月に発表した最新調査では、ネットバンキングを通じた金融被害の深刻さが明らかになっています。
 具体的なネットバンキングにおける事件としては、スパイウェアと呼ばれる不正プログラムを通じた手口があります。スパイウェアとは、パソコンに保存されている金融機関の暗証番号やパスワードなどの個人情報や入力操作を本人に気づかれない間に犯罪者に転送してしまうようにする不正プログラムのことです。
 盗まれた情報は、犯罪者によって不正な現金引き出し利用されてしまいます。見覚えのない相手から送られてきた不審なメールや商品案内に返信することで、パソコンがスパイウェアを取り込んでしまう場合が多いと考えられます。中には金融機関を装い、必要なプログラムであるかのふりをしてスパイウェアに感染させてしまう悪質な例もあります。
 そのほかにも、個人情報を盗み取るためだけに偽の金融機関のホームページを開設し、そこへ誘導するようなメールを利用者に送りつけるフィッシング詐欺と呼ばれる犯罪も増加しています。

Q ネットバンキングの被害状況は。

A 金融庁の調査によると、今年度4―6月期には68件の被害があったとことを報告しています。前年度同期の10件に比較しても、すでに大幅に増加していることが分かるように、最終的には過去最悪の被害件数に達する懸念がもたれています。ちなみに今年度4―6月期の被害金額は8600万円と前年度同期比でおよそ3倍になっています。
 また、ネットバンキングの被害件数は、05年度は49件、06年度が102件とおよそ2倍になっています。

Q 被害に遭わないためにはどうすればよいか。

A スパイウェアによる被害については、コンピューターウィルスなどから保護するための安全対策ソフトを常に最新版に更新しておくことが効果的です。また、郵送されてきたり、無料で配付されているようなソフトを安易にパソコンに取り込まないよう日ごろから注意する必要があります。一方、フィッシング詐欺に関しては、心当たりのないメールが送られてきた場合は開かないことです。また、通帳記入や残高確認をこまめに行うことで、不審な引き落としがないかを頻繁に確認することも有効です。さらに、誰でも利用できる環境にあるパソコンではネットバンキングは行わないといった工夫が重要です。

Q 被害防止に向けた課題は何か。

A 06年2月に施行された預金者保護法は偽造・盗難カード被害については、一定条件を満たせば金融機関に補償することを義務付けていますが、ネットバンキング被害は対象外となっています。補償されるかどうかは、金融機関の自主的な判断に委ねられ、対応はまちまちです。このため公明党は、現行法見直しへ検討を急いでいます。

公明新聞記事(H19. 11. 19)より転載