経済教室NO.15骨太方針2007(日本経済の成長力強化を)

Q 骨太の方針とは、どのようなものか。

A 政府が、中長期にわたる日本の諸課題を見据えつつ、経済財政運営に関する基本指針をまとめたもので、夏から本格化する翌年度予算案の編成作業の基本的な方針と位置付けられています。その内容は経済財政諮問会議で議論し、公明党など与党と協議を行った上で、毎年6月に策定されます。
 小泉政権が発足した2001年から策定が始まり、今回が7回目となります。これまで不良債権処理や歳出削減などのテーマを掲げ、改革推進のけん引役を担ってきました。なお、骨太の方針の正式名称は前回まで「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」でしたが、今回から「経済財政改革の基本方針」に改められています。

Q 安倍政権になって初めての策定だが、今回の骨太の方針のポイントは何か。

A 今回の方針では、少子高齢化によって日本の人口が減少していくという状況を踏まえ、その中でも経済成長を持続させ、生活の質を高めることを最重要課題としています。その取り組みとして「成長力加速プログラム」を取りまとめ、今後5年間のうちに、労働者一人当たり、時間当たりの生産性伸び率を1.5倍に高めることを目標としています。
 この中では@人材や中小企業への投資による成長力の底上げAIT(情報技術)の本格的活用によるサービス産業の改革と地域経済の成長力向上B社会システムの改革と技術革新の一体的推進による成長可能性の拡大―などの方策が示されています。

Q
 人材、中小企業への投資の具体案は。

A
 例えば人材能力戦略の一つとして、骨太の方針には「ジョブ・カード制度」の構築が盛り込まれています。これはフリーターや新卒者を対象に、企業で職業訓練を提供し、その履修実績を記載したジョブ・カードを交付して職業能力の形成を支援するもので、2008年度の本格実施を目指しています。また、母子家庭や生活保護世帯、障害者についても、就労によって自立と生活向上が図れるよう、福祉・雇用の両面から支援を行うことにしています。
 一方、中小企業の底上げ戦略では、生産性向上と最低賃金の引き上げについて検討を行い、政労使の合意形成を図るとし、中小企業庁などの関係省庁で中小企業生産性向上プロジェクトを3年間で集中的に実施することを掲げています。同プロジェクトでは、下請け取引適正化の推進やIT化、機械化などの基盤対策を通して、成長力の引き上げを図ることにしています。

Q 方針では、地域経済についても成長力の向上がうたわれているようだが。

A
 地域経済の成長力向上に向けて、それぞれの地域の企業、金融機関、そして地域全体の一体的な再生・強化を自治体と連携して支援する「地域力再生機構」の創設を検討することが盛り込まれています。これは多大な成果を挙げて先ごろその役割を終えた産業再生機構の地方版ともいえるもので、今後、他の施策との役割分担なども含め、具体的な検討が進められます。
 また、地域に密着した金融の発展を図るため、地域金融機関の収益基盤を強化することや、第三セクターの経営再生に取り組むことなども盛り込まれています。

Q 「成長力の強化」以外でポイントとなる施策は。

A 財政面で、持続的な経済の発展には、財政の健全化が欠かせないとして、昨年の骨太の方針に示された歳出・歳入の一体改革を確実に実現することを明記。来年度予算についても歳出全般にわたり、最大限の削減を行うとしています。
 さらに、来年の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)を念頭に、世界全体の温室効果ガス排出量を2050年までに現状より半減することを目指し、リーダーシップを発揮することを表明。地球温暖化対策に積極的に取り組む「環境立国戦略」の推進を掲げています。また、年金問題では、本来受け取れるはずの年金を全額受け取れるよう事務処理体系を整備し、信頼を確立するとしています。

Q 公明としての主張、取り組みは。

A
 今回の骨太の方針策定に当たり、公明党は指針に盛り込むべき重点項目をまとめ、5月30日に大田弘子経済財政担当相に申し入れを行っています。この中で公明党は国民の命や子どもたちの未来、国民の安全、暮らしの安心などを守る施策を強力に推進するよう要望。これを受けて指針では、医師不足対策の推進、がん対策の拡充、中小企業の事業再生支援など、公明党が主張した具体的な項目が数多く反映されています。
 方針の内容は今後、来年度予算案に盛り込まれていく中で、より具体的な形になりますが、これを着実に実現していくためには、自民・公明の与党が国会で引き続き安定した勢力を保持していくことが不可欠であり、今月行われる参院選に勝利することが重要な意味を持っています。


公明新聞記事(H19. 7. 2)より転載