経済教室NO.13中小企業の事業再生

                                  
Q 中小企業の事業再生が課題になっている。

A 大企業の好業績を背景に日本経済は回復を続けていますが、中小企業を取り巻く環境は依然厳しいのが現状です。
 中小企業庁の調査によれば、中小企業の財務体質は、ここ数年で改善しつつあるものの、経営全般にわたる業況判断(DI)では、一服感が見られるなど、回復に力強さが見られません。その上、多くの中小企業がメーンバンクとしている地方銀行や第二地銀の不良債権処理が今後加速することを考えると、貸し渋りなどによって将来の資金調達が難しくなると懸念する声もあります。
 こうした状況を背景に、販売不振や資金調達などに悩む中小企業の事業再生を後押しし、経営基盤を強化していくことが求められています。
 最近は、中小企業の事業内容が多様化するとともに、地域によって中小企業が抱える課題もさまざまです。このため、個々の中小企業の実態やニーズ(要望)に合った支援策が必要です。

Q きめ細かい支援が不可欠だね。

 
A その観点から政府が創設した機関が中小企業再生支援協議会です。
 同協議会は、公明党の推進で2003年4月に施行された改正産業活力再生特別措置法に基づき、各都道府県の商工会議所などに設置されています。
 相談窓口では、企業再生の専門家が経営上の課題などに対するアドバイスを行っており、再生には財務、事業の抜本的な見直しが必要と判断した場合は、中小企業診断士や弁護士、公認会計士などによる再生計画の策定を支援します。この中で協議会は、公平・中立な立場で金融機関などの関係者間の利害調整を行います。
                                 
Q 成果は。

A 着実に上がっています。中小企業庁の発表では、設立から07年3月までに窓口相談に訪れた企業数は1万1443社。このうち1379社で事業再生計画の策定が完了しており、年度ごとの完了企業数は、年々増加しています。さらに再生計画の策定によって、8万8925人の雇用が確保されたとの試算もあります。
 一方、中小企業の中には、事業が行き詰まったとしても、相談相手が見つからず、最後まで有効な手だてが見いだせないまま倒産してしまう企業が少なくありません、このようなケースを防ぐ体制を強化していくためにも、協議会を中小企業に一層身近で使い勝手の良い機関にしていくことが必要です。

Q 最近の施策は。

A 例えば、4月には政府・与党が策定した経済成長戦略大綱の実現に向け、産業活力再生特別措置法が改正されました。企業が事業再生に向けた取り組みを示す「事業再構築計画」を国に提出して認定を受ければ、事業再生期間(3年)における、つなぎ融資(金融機関から融資金が下がるまでの間、一時的に借りる資金)に債務保証が受けられるようになりました。
 また、先月28日の経済財政諮問会議では、地域の中堅企業や第三セクターの再生を支援する「地域力再生機構」(仮称)を設立する方針が固まりました。解散時期を1年前倒しして3月に解散した産業再生機構の実績を生かし、5年間の時限措置として、民間ファンドなどと共同で不振企業に出資したり、経営人材の派遣などを行います。

Q 民間部門でも支援の動きはあるのか。。

A 民間部門でも動きは活発です。特に最近は、地域金融機関が企業再生の専門知識を持つファンド運営会社と連携した「地域再生ファンド」の創設が相次いでいます。
 地域再生ファンドとは、地域限定で経営不振の中小企業の再生を目的に、地域金融機関や地方自治体などが出資して創設された投資ファンドです。投資家から集めた資金を基に、金融機関の債権を安く買い取って、その一部を免除し、財務体質の改善を図るほか、専門家を派遣し、リストラや不採算部門の見直しなどによって経営の立て直しを進めます。同時に、事業が軌道に乗って得た収益は、投資家に還元される仕組みです。
 03年3月に政府が地域金融機関に再生ファンドへの取り組を促したことなどがきっかけとなり、ファンドの設立が活発化。全国41都道府県で約60のファンドが創設されたとの報道もあります。

Q 公明党の取り組みは。

A 公明党は地域・中小企業の活力を引き出すことが「勢いのある国」をつくる上で不可欠として、中小企業の活発化に全力を挙げる方針です。
 先月30日には、「骨太の方針(経済財政運営と構造改革に関する基本方針)2007」の策定に向け、中小企業の事業再生の促進を政府に申し入れています。


公明新聞記事(H19. 6. 4)より転載