経済教室NO.11広がる動産担保融資

                                  
Q 動産担保融資というのはどのような制度か。

A 金融機関が在庫商品や売掛債権など、流動性の高い資産を担保として、企業に資金を貸し出す制度です。
 このうち最近、注目を集めているのがABL(アセット・ベースト・レンディング、流動資産一体担保形融資)と呼ばれる手法です。
 ABLは、企業が商品を生産、保有、販売して代金を回収するといった「事業のライフサイクル」に着目し、在庫商品や、将来得られることが見込まれる売掛債権、販売代金などを一体的に担保とする点が特徴です。融資額は、在庫商品の市場価格や、取引先の支払い能力などを総合的に見極めた上で、担保資産の一定割合を上限に設定されます。
 借り手企業は、定期的に担保状況を金融機関に報告する必要がありますが、金融機関に事業の状況を開示することで、経営へのアドバイスを得られる利点もあります。
 動産担保融資は米国では一般的な制度ですが、最近は日本の金融機関も導入を進めています。

Q ほかの融資と何が違うのか。

 
A 現行の融資制度では、金融機関が担保として不動産を要求する場合が多く、事業拡大をしようにも不動産を所有していない中小企業は、融資を受けづらい傾向があります。
 また、個人保証といった融資慣行も根強く、借金が返せなくなった場合は、保証人となった経営者らが住宅などの個人資産を処分してでも返済をする義務を負い、融資を受ける際のリスク(危険性)が高いのが現状です。
 一方、日本企業が保有する在庫商品や売掛債権の額は138兆円と、土地の86兆円を上回る規模で、これらの資産を担保として活用できれば、不動産担保や個人保証に依存する必要がなく、不動産や信用力に乏しい中小企業の資金調達もしやすくなります。

Q 実際、どのようなものが担保として活用されているのか。

A 商工中金(商工組合中央金庫)が実施しているABLでは、豚やワイン、ロボットなど、幅広い商品を担保に融資を行っています。
 動産担保においては、貸し手が担保の状況を適切に把握できる仕組みが不可欠ですが、豚を担保としたケースでは、ICタグ(電子荷札)を活用することで適切な管理を可能にしています。

Q 広がったきっかけは。

A 動産担保融資は、バブル経済の崩壊による地価下落や金融機関の財務状況の悪化などに伴い、中小企業への貸し渋りが増え、企業倒産が相次いだ事態を背景に、政府・与党が導入を進めてきました。
 特に、2005年10月からスタートした「動産譲渡登記制度」は、担保となる設備や在庫商品などを手元に残したまま経営を続けることを可能にするとともに、「二重負担」の危険性も排除したことから、動産担保融資の利用拡大の“追い風”になっています。

Q 利用者が増えると良いね。

A そうですね。ただ、利用者のさらなる拡大には、いくつかの課題もあります。
 具体的には、動産担保の価値を正確に評価できる“目利き”の問題や、「在庫までも担保にしなければ融資を受けられないのか」といった風評が広がるとの恐れがあり、さらに使い勝手の良い制度とするための対応が求められています。

Q 政府の対応は。

A 経済産業省は、ABLの普及を目的に、金融機関や専門の評価会社などからなる「ALB協会」(仮称)を今夏にも設立する意向を示しています。
 ここでは、さまざまな在庫商品の評価ルールの策定や、融資が焦げついた場合に、担保を売り払って現金化が容易にできる市場の整備などを進めていく方針です。

Q 公明党も制度拡充にしっかりと取り組んでほしい。

A 公明党はこれまでも、中小企業の資金繰り支援に向け、資金調達手段の多様化を推進してきました。
 例えば、売掛債権を担保として信用保証協会が融資を保証する「売掛債権担保融資保証制度」の創設(01年12月)を推進し、その後も保証料率の引き下げを進め、利用者の拡大を後押ししてきました。
 利用件数は約4万件、融資総額は約9500億円にも上がっています。(05年末時点)。
 今後の取り組みについては、統一地方選に向けた重点政策で、動産担保融資の普及に向け、「流動資産担保保証制度」の創設を掲げました。
 この制度は、売掛債権を担保とした融資で、信用保証協会が担保の保証を行う制度を拡充し、保証する担保対象に在庫商品を追加したものです。
 公明党は、地域間格差の是正には中小企業の振興が不可欠との考え方のもと、景気回復の流れが中小企業にも十分に波及するよう、支援策を切れ目なく講じていく方針です。


公明新聞記事(H19. 4. 16)より転載