経済教室NO.7役割果たした産業再生機構

Q 産業再生機構とはどのような組織か。

A 産業再生機構は、政府の一定の関与を認めた株式会社として、2003年4月に設立されました。多大な借金を抱え、経営が成り立たなくなっているものの、本業に十分な競争力がある企業に対して、不採算部門を切り離し、事業再生を支援することが目的です。
 バブル経済の崩壊によって多額の不良債権を抱えた企業が相次いで経営難に陥った事態を背景に、不良債権処理と産業再生を一体的に進めるための“切り札”として、政府・与党が設立を打ち出しました。

Q 事業再生までの流れは。


A まず、企業や債権者である金融機関などからの事前相談を経て、正式に支援要請があれば、再生機構内にある産業再生委員会が事業再生の可能性などを審査します。
 ここで、正式に支援が決定した場合は、再生機構が支援企業に融資をしている非メーンバンクから債権を買い取り、債権者の集約化を図ります。
 その後は、再生機構とメーンバンク間で利払いの一部減免や借金の棒引きなどを行い、事業再生が進めば、支援企業の受け皿となるスポンサー企業を決め、買い取った債権を売却します。
 再生機構の存続期間は最長でも5年です。債権の買い取りは、設立から2年間で集中的に行い、買い取った債権も3年以内に処分することが義務付けられています。

Q 事業再生は民間が担うべきではないのか。

A 本来はそうあるべきですが、再生機構が介入することで事業再生が円滑に進むメリットがあります。
 例えば、支援をめぐって債務者である金融機関が協議を行う際、それぞれの金融機関の利害が対立し、交渉がまとまらない場合は、再生機構が中立的な立場で利害調整を行うことができます。
 また、複数の金融機関が持つ債権を再生機構とメーンバンクに集約することで、債権者の数が減り、支援策の意思決定などが迅速にできる利点もあります。

Q どのような企業を支援してきたのか。

A 再生機構はこれまで、41の企業グループの支援を決定しており、この中には、ダイエーやカネボウ、大京などの大企業のほか、分野を問わず中小企業も多く含まれています。
 これらの企業が抱えていた借金の総額は約4兆円とされ、機構設立時に金融機関が抱えていた不良債権の約1割に相当するともいわれています。

Q ダイエーの支援をめぐる動向は当時、連日のように報道されていたが。

A ダイエーは、日本有数の巨大スーパーとして、多くの社員や取引先を抱えていたことから、倒産などの事態が起こった場合は、日本経済全体にも悪影響が生じる恐れがあったからです。
 また、ダイエーはバブル期の過剰投資が原因で、一時2兆円もの債務を負った“不良債権問題の象徴”として、その動向が注目されていました。
 当初、ダイエーは「自主再建」を主張し、主力銀行も数回にわたって、金融支援を実施してきましたが、再建の見通しが立たないため、04年12月に再生機構の活用を表明しました。

Q 最近の状況は。

A 再生機構の支援下となったダイエーは、採算の取れない店舗の閉鎖やプロ野球球団の売却などを通して、経営再建を着実に進めてきました。
 06年10月からは、再生機構が持つダイエー株を買い取ったスポンサー企業の丸紅株式会社が再生機構に代わって再建支援を主導的に進めています。
 1月に発表されたダイエーの06年3―11月期の連結業績は、経常利益が前年同期比70%増の235億円と好調で、本業のスーパーの採算改善が収益回復のけん引役となっています。

Q 他の支援企業は。

A 41の支援企業グループのうち、半数超の支援を終え、残りの案件でも再建のめどがついてます。その上、再生機構が債権の買い取りなどに使った1兆円(政府保証付)については、債権の処分や保有株の売却などで回収が進み、06年3月期決算では178億円の剰余金を出しています。
 このように業務が順調に続いたことから、08年3月の解散時期を今年3月に前倒しする方針を示しています。景気回復の背景には政府・与党のこうした地道で機動的な取り組みがあるんです。

Q 解散後の不安材料はないのか。

A 不良債権問題の「本丸」といわれた大企業の再建に大きく貢献した再生機構の成果は十分といえますが、中小企業などの経営環境は依然厳しく、日本経済のさらなる活性化には、今後も中小企業支援策を切れ目なく講じていく必要があります。
 公明党は、景気回復の恩恵が中小企業にまで波及するよう、中小企業支援を軸とした経済活性化策の拡充に全力で取り組む方針です。


公明新聞記事(H19. 2. 26)より転載