経済教室NO.5ワーキングプア

Q どのような人々をワーキングプアと呼ぶのか。

A 現在、わが国に明確な定義はありませんが、正社員と同じような仕事をしながら年間収入が生活保護水準以下、年間収入が200万円程度以下を一つの目安にしています。わが国には500万人から700万人程度いると推定され、今や見過ごせない大きな階層を形成しつつあります。

Q なぜ、わが国でこうした状況が出てきたのか。


A 一言でいえば、正社員に比べて非正規雇用者が増えているからです。
 バブル経済崩壊以降、長期不況の中、生き残りをかけて多くの会社が最優先で着手したのは人件費の抑制でした。雇う側は、各種手当が付き、雇用調整もしづらい正社員を減らす一方で、アルバイトやパート、契約社員の割合を増やしていきました。年々、非正規雇用者の比率は増え続け、昨年には働く人の3人に1人に上っています。
 1月末、総務省がまとめた05年国勢調査の労働力集計も、この傾向を裏付けています。期間1年以内の臨時雇用者は2000年の前回調査に比べ、14.8%、約100万人増えた一方、正規雇用者(正社員)は同比3.4%、143万人減っています。

Q 働く側からみても、一度、非正規雇用となると、何かと正規雇用になりづらいと聞くが。

A そうですね。企業の業績次第で、真っ先に解雇されるのが非正規雇用者です。一度、職を失えば、よほど本人が資格や秀でた技能でもない限り、フリーターやアルバイト経験だけでは正規雇用には就きづらいのが現実です。

Q 若年層の就業実態や、働く意識の変化もワーキングプアにつながっていないか。

A 確かに学校を卒業後、アルバイトを繰り返して生活するフリーターの増加もワーキングプアをつくり出しています。今やその数は400万人を越えるとも言われます。
 この中には不本意ながらフリーターでいる人もいます。多くは、90年代の就職氷河期、“狭き門”だったために正社員になれなかった人々です。「年長フリーター」と言われる彼らは30代を過ぎた今でも、正社員を希望しても採用されないケースが少なくありません。こうした悪循環も、ワーキングプアを増やす要因の一つです。
 ワーキングプアは、リストラなどのために仕事を失った人々などの中高年層にも生まれています。若年層に比べて養う家族が多い分、中高年の場合は深刻です。

Q その背景には非正規雇用者の賃金体系に問題があるとも指摘されている。

A わが国には賃金の最低限度額を定めた最低賃金が地域ごとに設定されています。この金額設定の低さが問題視されています。
 実際、厚生労働省の調べでは、11の都道府県において最低賃金で働いた月収と生活保護限度額を比べた場合、生活保護の方が上回っています。こうした点からも、最低賃金の引き上げは有力な議論の一つといえます。

Q 今国会は「雇用国会」とも言われるほど、労働問題が重要なテーマの一つに上がっている。公明党は、この問題を最重点課題と捉えているようだが。

A その通りです。公明党は、終身雇用や年功序列など日本型の雇用形態が既に変化していることを踏まえた上で、どのような働き方であれ、働きに応じた待遇をする「同一労働・同一賃金」に改善すべきと主張しています。
 具体的には、最低賃金法改正案や、パート労働者と正社員との均等処遇をめざすパート労働法改正案、年長フリーターの能力開発支援などを規定する雇用対策法改正案の今国会での成立に全力を挙げる方針です。


公明新聞記事(H19. 2. 12)より転載