経済教室NO.2中小企業支援の07年度税制改正、予算案

Q 持続的な経済成長が課題になっているが、税制や予算での対応が非常に重要になる。

A 来年度税制改正や予算編成では、持続的な経済成長の実現を大きな柱の一つとして位置付けています。
 02年以降、日本経済は回復基調にあり、景気回復の期間は、「いざなぎ景気」を超えて戦後最長を記録していますが、これをさらに息の長いものとし、その恩恵を広く国民が享受できるようにすることが求められているからです。
 中でも、今回の景気回復は、大企業が、けん引役となっていることから、依然厳しい経営環境にある中小企業を活性化し、地域間の格差を是正することは急務です。この観点から、中小企業が抱える課題を踏まえ、税制、予算両面からの支援を強化しました。

Q 具体的な支援策の中身は。

A 税制面では、中小企業の特定同族会社に対する留保金課税が撤廃されます。
 留保金とは、利益を株式配当に回さず、社内に留めている資金のことです。社長とその家族で大半の株式を所有しているなどの特定同族会社では、株式配当を行うことが少ないために、配当課税の代わりとして、留保金課税が導入されました。
 しかし、現実には中小企業の資金基盤強化の大きな障害になっているとして、撤廃を求める声が強く、これを踏まえ、来年度税制改正では、資本金1億円以下の中小企業特定同族会社を課税対象から除外することにしました。
 これにより、中小企業は社内に資金をためやすくなり、手元資金の多くを設備投資などに回すことが可能になります。
 さらに、個人がベンチャー企業に投資した場合に優遇措置が受けられるエンジェル税制の投資対象を拡大したほか、一部の企業における役員給与の損金不算入制度の要件緩和や、事業所内に託児所を設けた場合に設置費用の割増償却を認め、法人税負担を軽くする制度なども盛り込みました。

Q 後継者に事業を容易に託すことができる環境の整備も課題だが。

A 06年版の中小企業白書では、高齢化した中小企業経営者の事業承継に、毎年7万社が廃業していると指摘しており、これにより失われる雇用は20万−35万人とするなど、中小企業の事業承継をめぐる問題は深刻化しています。
 このような現状を受け、来年度税制改正では、事業承継の円滑化を目的に、相続時清算課税制度を拡充しました。この制度は、贈与税と相続税を一体的に清算できるもので、贈与税には一般贈与よりも高い非課税枠があります。
 今回の改正では、取引相場のない株式などを贈与する場合、贈与者の年齢要件を現行の65歳以上から60歳以上に引き下げるとともに、非課税枠を2500万円から3000万円に拡大しました。

Q 予算案ではどうか。

A 予算においても、政府・与党が策定した「経済成長戦略大綱」の手厚い支援が盛り込まれています。
 来年度予算政府案では、経済産業省への中小企業対策費が1245億円と今年度当初より41億円が増額されました。
 具体的な施策としては、それぞれの地域の強みを生かした成長をめざす観点から、「中小企業地域資源活用法」(仮称)を制定し、農林水産品や文化財など、特色のある地域資源を活用した中小企業の新事業創出を後押しします。
 また、事業所内に託児所を設置する場合に、国が設置費用や運営費を助成する制度を見直し、中小企業に対する助成割合を現行の2分の1から3分の2に引き上げます。
 このほかにも、@再チャレンジ支援として政府系金融機関で再起業のための融資制度創設A不動産担保や個人保証に過度に依存しない融資の推進B発注側、下請側企業が連携しての技術開発の促進―などが盛り込まれており、中小企業の自立支援を多角的に進めることとしています。

Q 公明党の取り組みは。

A 公明党は、来年度税制改正や予算編成に当たって、中小企業の現場の声を踏まえた支援策の拡充を強く訴え、これらの主張の多くが反映されました。
 この中で税制改正については、特に留保金課税の撤廃や事業承継税制の拡充などを強く主張。予算編成では、昨夏の概算要求の段階から、中小企業の活性化を軸とした経済成長の実現に向け、中小企業予算の重点化を図るよう求めていました。
 経済界からは、「(留保金課税の撤廃や事業承継税制の拡充などが)中小企業の活力強化に資するものとして歓迎したい」(日本商工会議所の山口信夫会頭)、「(財政健全化を進める一方)中小企業対策費が確保されるなど、メリハリのきいた予算編成」(大阪商工会議所の野村明雄会頭)などと評価の声が上がっています。


公明新聞記事(H19. 1. 15)より転載