経済教室NO.32来年度税制改正のポイント

Q 今回の税制改正の基本的な考え方は。


A 安倍政権が重視する経済成長路線に資する税制として、企業の国際競争力の強化を図るとともに、地域間格差の是正に向け、中小企業支援を強化させることに主眼があります。
 また、先進国の中で最も厳しい赤字財政の健全化に向けた将来の税制改革の必要性も明記していますが、その際は、公明党の主張を受け、所得格差や地域間格差に留意するとの文言が盛り込まれました。

Q
国際競争力強化への具体的な対応は。

A
法人税制での大きな変更点として、減価償却制度の見直しが挙げられます。
 減価償却制度とは、企業設備などの価値を耐用年数に従って減少させ、損金算入していく制度で、現行制度では、廃棄しない限り、取得価格の95%までしか償却できない仕組みになっています。
 そこで、諸外国の制度に合わせて生産手段の新陳代謝を加速させるため、日本でも廃棄前の全額償却を認めることにしました。

Q 証券税制の見直しが焦点となっていましたが。

A
上場株式などの譲渡益と配当に対する10%の軽減税率(本則は20%)の取扱いついては、自民党との調整が最後まで続きました。
 この特例措置は、低迷していた株価の底上げや、「貯蓄から投資」への流れの加速化を目的に03年に導入され、07年度中に期限切れを迎えます。
 公明党は、最近の安定した株価の推移を踏まえ、株価対策としての役割は終わったと訴えたほか、減税の恩恵を受ける対象が冨裕層に多いことを理由に、廃止を強く求めました。
 一方で、売り急ぎによる株価下落といった市場への悪影響を懸念する声も多く、最終的には、1年間延長した後に廃止することになりました。

Q 中小企業支援が大きく拡充しました。

A 特に、公明党が一貫して主張してきた中小企業特定同族会社(1株主グループで半数以上の株式を保有する企業)の留保金(株主配当を行わず内部留保した資金)課税の撤廃が実現したことは大きな前進です。
 留保金課税の撤廃で内部留保が容易になれば、中小企業の投資が活発化し、さらなる経済の活性化が期待できます。
 また、中小企業経営者の事業承継の円滑化に対しても、税制面での支援を強化しました。
 具体的には、相続税と贈与税を一体化して清算する相続時清算課税制度について、取引相場のない株式などの贈与を受ける場合に、贈与者の年齢要件を現行の65歳以上から60歳以上に引き下げるとともに、非課税枠を2500万円から3000万円に拡大します。
 さらに、今後の事業承継で活用が期待される議決権のない株式など種類株式の評価を明確化しました。
 エンジェル税制に関しても、投資対象となるベンチャー企業の対象を拡大しています。

Q 大企業のみを優遇しているとの指摘もありますが。

A それは一方的な見方です。
 まず、今回の税制改正では、公明党の主張を受け、他の税目とのバランスを考えて法人税の実効税率の引き下げが見送られました。
 また、今回の減価償却制度の見直しは、償却期間の前倒しを図るものであり、短期的には減税ですが、長期的な税収は変わらないことになっています。
 一方、公明党の訴えの多くが実り、住宅を中心に、個人に対する支援も手厚くなりました。
 例えば、高齢化社会を見据えて住宅のバリアフリー化を進める観点からバリアフリー改修促進税制が創設されました。
 これは、バリアフリー改修を行った際に、ローン部分の一定割合(2%、上限200万円)を所得税額から控除するほか、固定資産税の減税を設けた制度です。
 さらに、ライフサイクルに合わせた住宅の住み替えを促すことを目的に、住宅の売却で生じた譲渡損失を繰り越し、課税所得を減らせる特例を3年間延長することも盛り込んでいます。
 住宅ローン減税では、国から地方への税源移譲に伴う所得税の減額により、減税額が目減りする可能性があることから07年から08年までの居住に限って、10年の適用期間を15年に延長するを可能にしました(現行制度との選択性)。
 少子化対策では、事業所内に託児所を設けた企業の設備に対して割増償却を認める制度も創設し、子育てと仕事の両立を進めます。また、再チャレンジ支援に取り組む企業に寄付を行った時の優遇措置も設けています。

Q 消費税をめぐる対応は。

A 財政再建のために消費税率を引き上げることはしないというのが公明党の立場です。
 与党の税制改正大綱では、社会保障給付費や少子化対策費用の見通しなどを踏まえ、07年度を目途に、消費税を含めた税制の抜本改革の実現をめざすとしています。
 消費税だけに焦点を当てるのではなく、税が持つ所得再配分機能などを考慮しつつ、所得税や法人税、相続税などを含めた総合的な検討が必要です。

Q 定率減税が来年から廃止されます。

A 定率減税は、1999年当時の停滞した日本経済の立て直しを目的に時限措置として導入されましたが、その後の経済の改善を踏まえ、05年度税制改正で2分の1の縮減を、06年度改正で廃止を決めました。
 一方で、定率減税の廃止による財源は基礎年金の国庫負担金などに充当されており、国民生活の安定化に寄与しています。
 今後は、経済成長の果実を個人所得の増加にまで広げるため、企業収益を労働者に還元させる取り組みなどを加速させていく決意です。

公明新聞記事(H18. 12. 18)より転載