経済教室NO.31期待高まる 構造改革特区

Q 構造改革特区とは、どのような制度か。


A 地域経済の活性化を目的に、地域限定で規制緩和を行い、特色のある、まちづくりや企業のビジネスチャンスの拡大などを進める制度です。
 2002年12月に成立した構造改革特別区域法により創設された制度で、全国的な規制改革を行う上での「試験的な試み」として位置付けられています。特区認定を受けてから1年が経過しても、目立った弊害がない場合は、原則、特区の規制改革を全国に広げ、日本経済全体の活性化を図ることもめざしています。

Q
規制緩和がなぜ必要なのか。

A
近年、地域が抱える問題は多様化しており、その解決には、地域の実情に合った独自の対応が必要です。また、実態に合わなくなった国の規制が企業の経済活動や地方自治体の効率的な事業の妨げにもなっています。
 このため、安易な財政支援や国が全国一律に規制をかける上意下達型の地域政策を転換し、規制改革で地方が発案したアイデアなどを生かした“地方発”の取り組みを推進しています。

Q
特区として認められるまでの流れは。

A
まず、政府の構造改革特区推進室が規制緩和を希望する具体的な項目を企業などから募集し、提案された案件の実現に向けた協議を関係省庁と行います。その結果、提案が認められた場合は、提案項目が構造改革特別区域基本方針のメニューに加えられます。
 その上で、特区認定を受ける場合は、このメニューの中から希望する項目を明記した特区計画を地方自治体が作成し、政府の構造改革特区担当室に申請する必要があります。
 特区認定の是非は、申請後3ヵ月以内に決定され、関係省庁の同意があれば、首相から認定を受けることができます。
 申請は地方自治体にしか認められていませんが、企業や個人などは地方自治体に対し、特区計画を作成するよう提案することが可能です。
 なお、構造改革特別区域法では、地方自治体による特区申請ができる期限を07年12月までと規定しています。

Q どのような成果を挙げたのか。

A 政府の構造改革推進本部は先月16日、安倍政権で初となる第12回の特区認定結果(39件)を発表。これを含めると、02年の制度スタート時からの特区認定件数は910件に達しています。
 さらに、特区推進室が05年11月までに特区認定した709件を対象に行った経済効果に関する調査では、設備投資額が約5300億円、年間売上額が約5200億円も増加するなど、特区導入による経済効果が大きいことを示しています。

Q 具体的な事例を紹介してほしい。

A 「日本ふるさと再生特区」の認定を受けた岩手県遠野市では、「どぶろく」(濁酒)の製造について、農家民宿などを開業し、原料となる米を自ら栽培している農業者にも認められたことなどから、観光客が5割も増加(03年度の「ふるさと村」訪問者数)。
 また、「飯塚アジアIT(情報技術)特区」として、外国企業の支店開業に対し、地方自治体が助成を行う場合、外国人の在留申請の優先処理が認められた福岡県飯塚市では、アジアのビジネス拠点の形成へ、03年からの5年間で70社のベンチャー企業創出や45億円の企業売上高を揚げています。
 このほかにも、国際性豊な人材を育成することを目的に、学習指導要領の規制を緩和し、国語などを除く大半の授業を外国人による英語で行う「太田外国語教育特区」(群馬県太田市)など、多くの分野で特区認定が進み、今後の効果に期待が高まっています。

Q 今後も特区を継続させることが必要では。

A そうですね。政府は、特区制度が有効に機能していることを理由に、継続してほしいとの声が強いとして、申請期間の延長などを盛り込んだ構造改革特別区域法の改正案を来年の通常国会に提出する方針です。
 一方で、課題も浮上しています。例えば、特区認定を受けたとしても、その後の全国展開によって、地方の「先行利益」が薄れるとの指摘があるほか、提案実現率の向上や、特区への財政支援などを求める声も高まっています。

Q 公明党は、どう対応するのか。

A 公明党は、これまでの特区の創設や活用を積極的に推進しており、今後の地域経済の活性化をめざす上でも特区の活用を重視しています。
9月30日の党全国大会で了承された重点政策では、現場の声を踏まえ、これまで特区提案されながら実現しなかったものを総点検しつつ、先行者へのインセンティブ(動機付け)の付与や、国と地方の協力体制の確保、民間の積極的な参加の推進に向け、制度の見直しを行うべきと主張しています。


公明新聞記事(H18. 12. 4)より転載