経済教室NO.27地価・大都市圏で上昇傾向

Q 地価が値上がりを始めたといわれるが、どのような状況なのか。


A 全国の土地の価格に関する公的な調査として「公示地価」「路線価」「基準地価」=下欄参照=があります。このうち、9月19日付で国土交通省が発表した2006年の基準地価(7月1日時点)では、東京、大阪、名古屋の3大都市圏の平均で住宅地が前年を0.4%、商業地は同じく3.6%上回り、いずれも1990年以来、16年ぶりの上昇となりました。
 特に東京都区部では66カ所の調査地点すべてで地価が上昇。千代田、中央、港の都市3区では住宅地が17.8%、商業地が14.2%と大幅な上昇を記録しました。名古屋圏でも名古屋駅前周辺で上昇率が30%を超えたほか、札幌、仙台、福岡などの主要都市で地価が値上がりに転じています。
 地価の上昇傾向は他の調査でも同様に表れており、国土交通省が3月に発表した公示地価(1月1日時点)では3大都市圏の商業地の地価が15年ぶりに上昇。国税庁が8月に発表した路線価(1月1日時点)は、前半すでに上昇に転じた東京都に加え、千葉、愛知、京都、大阪の4府県もプラスとなり、全国平均も前年を0.9%上回って14年ぶりの上昇を記録しました。

Q
大都市圏で地価が上昇に転じた理由は何か。

A
最大の要因は、景気の回復を背景に、オフィスや住宅への需要が高まったことです。大都市では集客力の高い繁華街に新たな店舗を展開したり、事務所を設置するといった動きが盛んで、短期間に地価が大幅に上昇するケースが見られます。住宅も郊外から中心部へと回帰する傾向が進み、マンション価格の高騰などを招いています。
 また、公明党などの主張を受け、政府が02年施行した都市再生特別措置法により、指定された地域では容積率などの制限が大幅に緩和され、再開発の自由度が高まるなど、規制緩和が効果を発揮、金融、税制面の支援策がこれを後押ししたことも挙げられます。
 さらに、不動産投資信託などの普及で、不動産の証券化が進展。小口化されて投資しやすくなったことから幅広い投資家が参入し、多くの資金が流れ込んでいることも地価上昇をもたらす要因となっています。

Q
これで長年続いた資産デフレの解消も期待できるのか。

A
景気回復が続いて消費者物価も上昇し始め、デフレ脱却がほぼ現実のものとなる中で、地価が下落から上昇傾向に転じることは、日本経済にとって極めて明るい材料だと思います。
 しかし、大都市部で゛ミニバブル″といわれるような過熱状態が見られる一方、全国的に見れば基準地価や公示地価は依然として下落が続いています。基準地価の全国平均は、住宅地でバブル期前の83年とほぼ同じ水準であり、商業地は地価高騰のピーク期の91年にくらべ6割も下落した状況にあります。
 地方の都市では、商業地で前年比5%を超える高い下落率が続く地域があり、下げ幅がいまだに拡大している都市もあるのが現状です。大都市圏の高い利益率が期待できる地域や交通アクセスに恵まれた住宅地の地価が上がる半面、地方では地価下落が都市の空洞化や崩壊の危機にもつながるなど、ここでも大都市と地方の二極化の状況が現れています。

Q これからの土地政策をどのように考えればよいのか。

A
土地は国民生活の基盤であり、地方を含めて安定的に価格を推移させる必要があります。そのためには全国的な地域再生への取り組みが不可欠です。
 現在、多くの地域で商店街の衰退が問題になっていますが、分散した都市機能の再集結などによる中心市街地の再生をはじめ、住みやすく魅力あるまちづくりを強力に進める必要があります。地域産業の創出、育成も重要な課題です。
 一方、大都市圏では、バブル期のような異常な投機による地価高騰を再び招くことがないよう、対応の強化が求められます。人口減少や少子高齢化の進行も念頭に、将来を展望した、発展性とバランスの取れた土地政策の実施が望まれます。


【公示地価】 国土交通省が不動産鑑定士に委任して毎年1月1日時点で調査し、3月下旬に公表する。調査対象は全国の都市計画区域内の約3万1000カ所。土地取引の目安などに利用される。
【基準地価】 都道府県が不動産鑑定士の評価などを参考に毎年7月1日時点で算定し、9月中旬頃に公表する。調査対象は全国約2万5000カ所。公示地価とは異なり、都市計画区域外の土地も対象。土地取引の指標として利用される。
【路線価】 国税庁毎年1月1日時点で評価し、8月上旬に公表する。公示地価の8割が目安とされる。主要な道路に面した土地1平方bあたりの標準価格で、調査は全国約41万カ所。相続税や贈与税の算出基準となる。


公明新聞記事(H18. 10. 9)より転載