経済教室NO.26地域格差の抑制

Q 地域間の経済格差が問題になっているが。


A 2002年上半期以降、日本経済は全体として回復傾向にありますが、ここにきて、地域間における経済格差が懸念されています。景気回復といっても、地方によっては依然景況が厳しく、実感が伴っていないからです。
 内閣府が5月に発表した「社会意識に関する意識調査」では、「悪い方向に向かっている」と感じる分野について「地域格差」を挙げた人が15%と前年調査より5ポイント以上増加しており、地域格差の抑制が今後の政治課題の一つになっていることを表しています。

Q
地域格差の現状と見通しは。

A
内閣府が8月にまとめた「地域経済動向」は、各地域の景況判断にばらつきがあることを示しています【右図参照】。さらに、有効求人倍率で北海道や九州・沖縄地方が全国平均を大きく下回っていることは、将来の地域格差拡大の大きな要因になる恐れがあります【グラフ参照】。
 地域経済の見通しについては、経済産業省の「2030年の地域経済のシミュレーション」によると、現状のままでは人口減少や総生産額の縮小などの影響により、地域格差がさらに拡大するとの見通しです。

Q
何が原因なのか。

A
大きくは公共事業の削減が挙げられます。これまでの景気対策では、公共事業などの財政出動を行なうことで地域企業を活性化する手法が一般的でした。しかし、近年は財政健全化の観点から、公共事業は削減傾向にあります。
 長年にわたって公共事業に依存してきた地域では、新しい成長の在り方を見いだすのが困難なため、景気回復の波に乗れないという実態があります。こうしたことから、好況な企業がある地域と、そうでない地域の格差がさらに広がっています。

Q
格差抑制への政府の取り組みは。

A
政府はこれまで、「構造改革特区」の創設などといった規制緩和によって、地域の実情を考慮した構造改革を推進してきました。
 今後は、地域中小企業や中心市街地の活性化などへの対応を強化し、景気回復の流れを地方の隅々にまで行き渡らせることをめざす方針です。この考え方は、6月に政府・与党が策定した「経済成長戦略大綱」などに反映されています。

Q なぜ中小企業が重要なのか。

A
地域経済の支え手として中小企業が重要な役割を果たしているからです。
 05年版の中小企業白書では、「中小企業は、女性や高齢者に雇用の機会を与え、高齢者の就業継続が比較的容易に行われていることや、フリーターが正社員として就業する際の雇用の受け皿となることにより労働力アップに大いに貢献している」と指摘されています。
 中小企業の活力が向上すれば、地域における雇用の創出などが期待でき、結果として地域経済の底上げにつながります。

Q
具体的な施策は。

A
まず、「地域資源活用企業化プログラム」として、地域資源(農林水産品や伝統文化など)を活用した中小企業の新商品・サービスの開発・販売を促進。中小企業のモノづくり支援では、研究開発支援やモノづくり教育の拡充などを盛り込みました。
 また、政策金融改革で中小企業の利便性を確保するとともに、売掛債権などを活用し、不動産担保や個人保証に過度に依存しない融資を推進するとしています。
 起業や再起業の促進に向けては、再挑戦に向けた融資・保証制度の創設や中小企業再生支援協議会の充実などに取り組むことを明記しました。
 さらに、中小企業経営者が高齢化している現状を踏まえ、事業承継の円滑化を後押しするほか、女性や若手を生かした事業展開も進める方針も打ち出しています。

Q なるほど。大事な政策ばかりだね。

A
さらに地方では、商店街がシャッター通り化するなど、中心市街地の衰退が目立っていることから、中心市街地の再生も柱の一つです。
 具体的には、中心市街地に都市機能を集中させることで誰もが歩いて暮らせる「コンパクトシティ」の形成を推進するほか、「まちづくり交付金」の拡充で地域の歴史や文化、自然環境などの特性を生かした地域主導のまちづくりを進めることを盛り込んでいます。
 これらの施策は、すべて公明党の強い主張により来年度予算概算要求に反映されました。

Q 今後の対応策として、公明党の考え方は。

A
先月30日の公明党全国大会で承認された重点政策では、「中小零細企業を地域の成長の原動力」と位置付け、地域格差の是正へ「新地域成長戦略」(地域応援戦略)の策定を提唱し、具体的な施策を強力に進めることを示しました。
 これを受け、中小企業支援や中心市街地活性化への取り組みをさらに加速させていく方針です。


公明新聞記事(H18. 10. 2)より転載