経済教室NO.25人口減少と経済成長

Q 人口減少の見通しは。


A 日本の人口を維持するのに必要とされる合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの平均数)は2.08ですが、1970年代半ばにこの水準を割り込み、低下傾向が続いています。昨年は過去最低の1.25を記録しました。
 国立社会保障・人口問題研究所の中位推計によると、日本の総人口は2000年国勢調査の1億2693万人から30年には約1億1760万人に、50年には約1億60万人へと急減します。戦後の経済成長を支えてきた生産年齢人口(15〜64歳)は、総人口の減少に先立って95年の8717万人をピークに減り始めています。30年には7000万人を割り、50年には5389万人まで減少する見込みです<グラフ上参照>。

Q
少子化対策が急務だが。

A
その通りですが、今、出生率が好転しても、経済社会に反映されるのはずっと先の話です。今後数十年に及ぶ人口減少を前提にした経済成長が求められています。巨額の長期債務を抱えた国と地方の財政再建を促進し、社会保障制度を維持していくためにも経済の安定成長を持続しなければなりません。

Q
人口減少に伴って国力や経済力も衰退するのでは。

A
一般的に経済成長には資本や労働力の増加などが必要とされ、人口減少はマイナスの影響をもたらすと考えられます。しかし、人口減少が経済力の衰退に直結するとは限りません。歴史的に見ると、一国の経済成長力の源泉は労働力の増加だけではなく天然資源であったり、情報力や技術力であったりと多様です。最近では、経済成長を促す要素として、資本や労働の投入量以外に、その質的向上や技術革新、経営の効率化などが注目されています。

Q
日本経済の安定成長を持続するためには何が必要か。

A
経済成長とは、人々が生み出す新しい付加価値にほかなりません。つまり、経済成長の源泉は国民一人ひとりの「人間力」にあります。経済的に言えば一人当たりの生産性の向上です。総人口が減少していくからこそ、これまで以上に人間力を開花させ、伸ばすことが最重要課題と言えます。今まで十分に生かされてこなかった女性や高齢者・障害者、フリーターやニート(若年無業者)など若者が潜在的な可能性を発揮できるよう、雇用環境の整備が必要です。

Q 現状のままだと、どうなるのか。

A
厚生労働省の雇用政策研究会の報告書「人口減少下における雇用・労働政策の課題」(05年7月)によると、現状の雇用環境を前提にした場合、15歳以上の労働力人口の減少に伴って、労働投入量(労働力人口×労働時間)は04年に比べ15年で8.8%減、30年は20.3%も減少します。その結果、04〜15年の実質経済成長率は年率0.7%程度、15〜30年で0.6%程度の上昇にとどまると試算しています。

Q
雇用環境が改善された場合は。

A
この報告書では、各種の施策によって女性や高齢者、若者が労働市場に参加しやすくなった場合、労働力人口は15年で約300万人、30年で約510万人の増加が見込めるとしています<グラフ下参照>。実質経済成長率も04〜15年で年率1.8%程度、15〜30年で同1.6%程度上昇します。

Q 公明党の取り組みは。

A
公明党は、政府・与党一体で「経済成長戦略大綱」の策定を促進するとともに、その具体化のために07年度予算概算要求で重点的な配分(特別枠)を確保しました。
 さらに党全国大会に提出する運動方針案の中で、教育による人間力の開花をあらゆる改革の源泉と位置付けた上で、「資源循環型社会、少子高齢化・人口減少の時代にマッチした日本型の成長モデル」をめざすとしています。また、重点政策案では中小企業や地場産業を支援する「新地域成長戦略」(地域企業応援戦略)を策定・推進するなど地域経済の活性化に力点を置いています。

Q 生産性の向上について、サービス産業が焦点となっているようだが。

A
03年時点で日本の実質GDP(国内総生産)と雇用の約7割をサービス産業が占め、93〜03年の間に実質GDPの伸びの約93%をサービス産業が担っています。しかし、日本の製造業の生産性が欧米を上回っているのに比べ、サービス産業は下回っています。見方を変えれば今後、サービス産業の生産性向上の余地が大きいということです。特に、少子高齢化社会で成長が期待できる健康・福祉、育児支援などの分野の強化が重要です。


公明新聞記事(H18. 9. 25)より転載