経済教室NO.19歳出・歳入一体改革のポイント

Q なぜ今、財政健全化が必要なのか。

A
1990年代以降、日本の財政赤字は拡大傾向にあり、このまま放置すれば、財政を立て直すことができなくなる恐れがあるからです。
 現在、国の借金(長期債務残高)は、605兆円(06年度末見込み)で、これに地方分を加えると約775兆円(重複分を除く)にまで達しており、国民一人当たりに換算すると、607万円もの借金をしていることになります。
 財政赤字は、多くの先進諸国が直面している課題ですが、日本の場合、債務残高が対GDP(国内総生産)比で150%と最も厳しい状況です。


Q
どうして、このような状況になったのか。

A
バブル経済の崩壊によって、法人税などの税収が減少したのをはじめ、景気対策として、政府が公共事業などへの財政支出を増やしたことや、高齢化の進行に伴って、社会保障費が増加したことなどが大きな要因といえます。

Q 改革の中身は。

A まず、目標として、2011年度におけるプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化をめざすとしています。
 プライマリーバランスとは、借金の返済や利払費、新たな借金を除いた財政収支を指します。黒字であれば、借金に頼ることなく、その年の税収などで行政サービスを提供することができます。黒字化達成に向けては、必要な財源を16.5兆円とし、このうち11.4兆―14.3兆円を歳出削減で賄おうとしています。

Q
歳出削減の具体的な手立ては。

A
まずは、公務員人件費の削減です。すでに10年度までに国家公務員数を5.7%純減することが決まっていますが、その後もさらなる純減に向けた取り組みを行うとともに、地方公務員に対しても、今後5年間で国家公務員と同程度の純減達成をめざすことになりました。
 また、公共事業については、国民の安全・安心の確保などに配慮しつつ、「さらなる重点化・効率化を図る必要がある」として、前年度比1―3%を削減する方針を示しています。さらに、地方財政では、地方単独事業を1―3%削減するものの、地方自治体が安心して財政運営ができるよう、地方交付税の現行法定率を堅持するとともに、一般財源総額の確保も明記しました。

Q 歳入面での対応はどうか。

A
これらの徹底した歳出削減を行った上での財源不足分は、税制改革で対応することとしています。
 しかし、税制改革は、納税者である国民の負担を伴うことから、何よりも国民に理解してもらうことが大前提です。このため、具体策の検討では、「税体系が全体として公正なものと国民に理解され、納得されるものでなければならない」と明記しています。ただし、景気の悪化などの事態が起これば、「政府・与党の決断により、機動的・弾力的に対応する」方針です。

Q プライマリーバランスが黒字になれば大丈夫なのか。

A
11年度にプライマリーバランスの黒字化を達成したとしても、利払費などの影響で財政赤字は依然、続きます。
 そこで、11年度以降は、債務残高をGDP比で安定的に引き下げることを目標に掲げ、プライマリーバランスの黒字幅の拡大をめざすことにしています。

Q
税収を確保するには、景気回復が不可欠だが。

A
その通りです。そこで今回は、歳出・歳入一体改革と“車の両輪”となる経済成長戦略大綱を政府・与党で策定しました。
 大綱では、科学技術やIT(情報技術)の活用による生産性の向上、地域、中小企業の活性化などを推進するとしており、飛躍的な経済成長の実現へ政府・与党が一体となって取り組むことを明記しています。

Q 歳出・歳入一体改革についての公明党の取り組みは。

A
政府・与党での協議の席上、公明党は「改革は国民のためであり、国民の視点に立ったものでなければならない」(神崎武法代表)として、国会自らの歳出削減など、まずは政府が身を削る努力をし、国民負担を最小限にとどめる必要性を強調したほか、経済の活力を維持するため、新たな成長戦略の策定、実行を訴えてきました。
 また、社会保障では、雇用、年金、医療、介護、生活保護を対象に、過去5年間の取り組み(国と地方合わせて1.6兆円程度の伸び抑制)を踏まえて、見直しを継続することになっていますが、公明党は、すでに制度改革が行われている現状を考慮し、国民の負担増につながる見直しは、慎重に行うよう主張し続けました。
 この結果、給付と負担の具体的な在り方は、国民的な議論を前提に決定していくことになっています。
 一方、歳入改革では、所得格差の拡大防止のほか、@社会保障給付費の安定財源の確保A国際競争力の強化B少子化に対応した子育て支援策などの拡充C地方財源の充実―などに配慮した内容になっており、これらも公明党の強い主張が実ったものです。

公明新聞記事(H18. 7. 31)より転載