経済教室NO.15大手銀行3月期決算で最高益

Q 大手銀行6グループの2006年3月期決算が好調だったようだが。

A 三菱UFJフィナンシャル・グループが国内トップのトヨタ自動車に次ぐ1兆1817億円の最終利益を上げたのをはじめ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、りそなホールディングス、三井トラスト・ホールディングス、住友信託銀行の全グループが過去最高の最終利益を記録しました<グラフ上参照>。6グループ合計の最終利益は前年の4.3倍、約3兆1000億円に達し、バブル期を上回る過去最高になりました。

Q 不良債権問題は終息したと見ていいか。

A 02年3月期には大手銀行の不良債権残高は約27兆円もありました。05年3月期には6グループの不良債権残高は合計約7兆6900億円となり前年同期比でほぼ半減。さらに今回の決算では1年で3兆円近く減って約4兆8000億円になっています。

Q 金融健全化の目安になっていた不良債権比率(金融機関の貸し出しに占める不良債権の比率)はどうなったか。

A 政府は02年3月期8.4%だった主要行の不良債権比率を3年間で半減させるという目標を掲げていました。
 昨年3月期決算で1〜4%台まで低下し、さらに今回は6グループ平均で1.8%まで改善しています<グラフ下参照>。日本経済再生の一番の足かせだった不良債権問題は終結したと言っていいでしょう。

Q 3月期決算のたびに金融不安が持ち上がっていた90年代末に比べると、隔世の感があるが。

A 7年近く前に公明党が連立政権に参加した時期は、金融機関の巨額の不良債権問題が日本経済の土台を揺さぶるマグマのようにくすぶっていました。実際に北海道拓殖銀行や日本長期信用銀行など金融機関の経営破たんが相次ぎ、“日本発の世界金融恐慌”が懸念されていたほどです。公明党は経済不安を一掃するために政治の安定が不可欠だとして連立参加を決め、不良債権処理が進むにつれ景気も回復軌道に乗ってきました。

Q 今回の決算が好調だった要因は何か。

A 第1に貸出金が返済されない場合に備えて積み上げた貸倒引当金が、景気回復に伴う貸出先企業の業績改善によって必要なくなり、「戻り益」として利益に入れることができたからです。三菱UFJでは、1兆1000億円余りの最終利益のうち、戻り益が約7000億円ありました。第2に株価の上昇で投資信託や個人年金保険販売が好調で、その手数料収入が大幅に伸び6グループ全体で2兆6000億円に達しています。

Q 戻り益という特殊な要因が大きかったということか。

A そうです。6グループの本業の儲けを示す業務純益は、前期比でわずかに減少。銀行間の競争激化で貸し出しの利ざやが小さくなったからです。戻り益の期待できない07年3月期決算の最終利益は6グループ合計で2兆6000億円程度に減少すると予想されています。6グループに関しては、ようやくマイナスの状況をゼロに戻し、顧客や株主への利益還元をめざすスタートラインに立ったと見るべきでしょう。

Q 金融安定化のために投入された公的資金の返済は。

A 過去、6大グループには10兆円を超える公的資金が投入されました。金融の不安定化によって日本の経済が危機的な状況に陥るのを回避するための緊急避難的な措置でした。今回の決算で三菱UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンクは、今年度内に返済を終える見通しとなりました。国民のお金である公的資金と低金利政策に支えられてここまでこれたわけです

Q 金融再生には国民の「痛み」が伴ったことを忘れてはならない・・・。

A その通りです。これからは、顧客サービスの向上や株主への配当増など目に見える形で国民への利益還元に取り組まないと、大手行に対する“儲け過ぎ批判”が高まるでしょう。最近、三井住友フィナンシャルグループが中小企業への融資の見返りに金融商品の購入を強要して金融庁から一部業務停止処分を受けましたが、まったく言語道断。「のど元過ぎれば・・・」ということのないよう、今こそ大手行は襟をただすべきです。

Q 今後の金融政策の課題は。

A 経営基盤の脆弱な地方銀行の問題があります。大都市圏に比べ地方は景気回復の足取りがまだ重いこともあって、全国で100を超える地方銀行は依然として厳しい経営環境に置かれています。大分県を地盤とする豊和銀行は、金融庁から不良債権処理の大幅な積み増しを求められて過小資本に陥り、公的資金の導入へ動いています。
 実施されれば、主に地域金融機関を対象として予防的に公的資金を注入する金融機能強化法の初適用になります。今後は不良債権処理にメドがついた大手銀行の攻勢にもさらされ、生き残りへの正念場を迎えるでしょう。地方の金融動向を注視しなければなりません。

公明新聞記事(H18. 6. 5)より転載