経済教室NO.13歳出・歳入一体改革の議論

Q なぜ「歳出・歳入一体改革」が、大きなテーマになっているのか。

A これまで連立政権は、金融機関の不良債権処理と、財政出動に頼らない経済活性化を推進してきました。その結果、不良債権処理に決着を付け、景気は先月までに4年3カ月にわたる戦後2番目に長い回復期を記録しました。これからの最大の課題は、景気回復の持続とともに国・地方の財政赤字問題への対応です。その道筋を定めるのが歳出・歳入の一体改革です。

Q 財政の現状は。

A 2006年度で国の借金(長期債務残高)は605兆円、地方が204兆円。両者の重複分を除いた合計額は、10年前の449兆円から774兆8603億円に急増しています。先進諸国の大半が財政赤字を抱えていますが、日本の場合、債務残高が対GDP(国内総生産)比で150.8%と最悪です。

Q 国の借金は、財政にどんな影響をもたらしているのか。

A 直接的な影響としては、国債の元利払いに当てられている国債費が膨らみ、国の予算を硬直化させます。一般会計歳出に占める国債費の割合は1975年度に4.9%、政策的経費である一般歳出は74.4%でしたが、06年度予算では国債費23.5%、一般歳出58.2%となっています。膨張する国債費に政策的経費が圧迫されていることが見て取れます。財務省によると、国の借金の利払費は1年で約8.6兆円に達しています。

Q 経済全体への影響は。

A 財政赤字の累積によって政府や国債に対する信頼感が低下すると、国民の将来不安を増幅させ個人消費などを低迷させます。さらに、国債の価格低下によって長期金利が上昇し、民間の設備投資を冷え込ませる恐れもあります。

Q 歳出・歳入一体改革の議論はどこまで進んでいるのか。

A 2010年代初頭に国・地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の黒字化をめざし、政策手段を示す「選択肢」と、スケジュールを明確にした「工程表」を定めることになっています。そのために経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)は4月7日、「中間とりまとめ」を発表しました。最終的には6月に決定する「骨太の方針」に盛り込む予定です。

Q 中間とりまとめの内容は。

A PB黒字化の目標に加え、10年代初頭から半ばに長期債務残高の対GDP比を安定的に引き下げるという方向性を明示しました。

Q そもそもPBとは。

A 「借り入れを除く税収などの歳入」から、「過去の借り入れに対する元利払いを除いた歳出」を差し引いたものです。これが均衡していれば、新たな借金に頼らずに、その年度の税収で政策的な支出を賄っていることになります。国の一般会計のPBは3年連続で改善していますが、それでも06年度で11.2兆円の赤字です【図参照】。

Q PBに関する目標達成への見通しは。

A 長期的に見ると、PBの対GDP比はバブル期(86―91年)に税収増で黒字のピークに達した後、急降下し、デフレ脱却のための財政出動などで、さらに悪化しました【グラフ参照】。財政健全化のためには、長期的視点から景気の回復基調を維持しつつ、歳出・歳入の一体改革を推進しなければなりません。

Q 改革を具体化するためには、選択肢と工程表が重要だが。

A その通りですが、経済財政諮問会議の中間とりまとめの段階では、前提となる名目成長率と長期金利を何%に設定するかなどで、意見が分かれています。

Q 消費税問題とも絡むのか。

A 政府、自民党内では、経済成長率を高く見積もり、税収の自然増で将来的な消費税率の引き上げ幅を抑えることができるという意見と、成長率を低めに見て消費税率の大幅アップを議論すべきだという意見があります。

Q 公明党の考えは。

A 公明党は、国民に新たな負担をお願いする前に、政府自ら身を切るような徹底した歳出改革を行なうべきだと主張してきました。そのために、国の仕事の必要性を根本的に見直す「事業仕分け」を提唱し、それを反映した行政改革推進法案が今国会で議論されています。社会保障制度の財源については消費税を含めた議論をしなければなりませんが、「財政再建のために消費税は用いない」(神崎武法代表)というのが公明党の方針です。

公明新聞記事(H18. 5. 8)より転載