経済教室NO.11グレーゾーン金利

Q ニュースなどで問題になっているグレーゾーン金利とはどういうものか。

A 今、消費者金融などの貸金業者が行う融資では、上限金利が利息制限法(元本額に応じて年15〜20%)と、出資法(年29.2%)で規定されており、それぞれの上限金利の「差」がグレーゾーン金利と呼ばれています。
 個人が貸金業者から融資を受ける場合は原則、利息制限法での上限金利が適用されます。ただ、貸金業法では「みなし弁済」という規定があり、利用者が自らの意思で利息を支払うなどの条件を満たせば、出資法での上限金利も有効とされています。高い金利でも手続きが簡単で、すぐに貸してもらえる利点があるからです。

Q 二つの法律ができた背景は。

A 1954年に制定された利息制限法は、当時、社会問題化していた超高金利融資を行なう貸金業者の取り締まりを目的としていました。しかし、民事上の規定であるため、規定を超えた利息を無効としつつも罰則がなく、十分な効果が得られない状況がありました。そこで同年、違法業者の取り締まりを強化するため、違反行為に罰則を科すことができる出資法を制定したことで、二重の上限金利が存在することになりました。
 当初、出資法で規定した上限金利は109、5%。その後、多重債務者の増加を防ぐため、数回にわたって引き下げが行なわれてきましたが、依然、利息制限法との溝は埋まらずにいます。


Q どのような問題が起きているのか。

A グレーゾーン金利を適用した高金利の融資が多重債務の温床になっているとの指摘があります。
 2004年度に国民生活者センターに寄せられた多重債務に関する相談件数は、5万6469件と急増しているほか、05年の自己破産件数も18万4000件と10年前の4倍以上にまで増加。消費者金融利用者の平均借入残高も増加傾向にあります。このため、利用者保護に向けた制度の見直しが焦点となっています。

Q 利用者側に具体的な動きがあるようだが。

A 現在、消費者金融が出資法に基づく上限金利を設定していることから、借金返済に苦しむ利用者は、みなし弁済に関する説明を聞いていないなどとして、利息制限法の上限を超える金利を違法と主張。消費者金融に対し、過払い金の返還を求める訴訟が全国で相次いでいます。
 こうした中で、最高裁は04年2月、グレーゾーン金利が適法とみなされる条件を「厳格に解釈すべき」と判断したほか、今年1月にも、グレーゾーン金利の適用を厳しく制限する判決を出したことから、過払い金を返還する流れは加速しています。
 消費者金融大手4社が11月に出した05年度業績修正によると、返還を見据えた06年度の引当金について、それぞれ170億〜225億円を計上しています。

Q 政府の見解は。

A グレーゾーン金利など貸金業に対する規制について論議を進めてきた金融庁の「貸金業制度等に関する懇談会」は21日、これまでの議論の中間整理を発表し、グレーゾーン金利を廃止するとした上で、出資法の上限金利を利息制限法の水準にまで引き下げるべきだとの意見が大勢を占めたと明記しました。
 ただ、短期少額の融資は例外扱いすべきだという意見もあるため、最終的な取りまとめについては、引き続き検討を行うことになっています。
 また、与謝野馨金融担当相は18日、「最高裁が判例で一定の考え方を示した以上、行政府、立法府とも真剣に考える義務がある」と述べ、金融庁と法務省の間で法改正に向けた協議に入ることを表明しました。

Q 貸金業者側の見方はどうか。

A 貸金業者側はグレーゾーン金利の撤廃には前向きな姿勢を示していますが、上限金利に関しては、出資法に基づくべきだと主張しています。
 その理由について、貸金業者側は、「上限金利を下げると(審査が厳しくなり)お金を借りられない人が出てきて、ヤミ金融(融資が簡単に受けられる代わりに法外な金利を要求)に流れる可能性がある」などと主張し、利息制限法への一本化に懸念を表明しています。

Q 多重債務者の増加防止に向けた業者の取り組みも欠かせないね。

A その観点から、消費者金融大手7社は3月28日、多重債務者問題への自主的な対応策として、@計画的返済の促進などの家計管理の促進AテレビCMなどによる借り過ぎ防止キャンペーンや、啓発リーフレット製作などの情報発信Bセーフティネット(安全網)構築のための団体設立―の3項目を順次実施すると発表しました。
 消費者金融をめぐっては、14日に大手のアイフルが強引な取り立てなどの違法行為があったとして、金融庁から全店舗の業務停止命令を受けています。
 今後も、貸金業者は業界の信頼性向上に努め、利用者が安心して融資が受けられるよう、環境整備を進めていくことが求められています。

公明新聞記事(H18. 4. 24)より転載