経済教室NO.7行政改革推進法案を国会提出
 
 自民、公明の与党は昨年の衆院選後、行政改革をめぐる協議を加速させ、その結果を「行政改革の重要方針」として12月24日に閣議決定した。その内容を法案化したのが行政改革推進法案だ。
 同法案はプログラム法であり、盛り込まれた各改革の実施には別途、個別の法律を成立させる必要がある。しかし法案には政府が今後、具体的に改革案を作成する際の基本方針、推進方法が規定されており、改革の道筋を示して、それを継続させる役割を担った法案といえる。
 「簡素で効率的な政府の実現」―これが法案の目標だ。小泉首相はいわゆる「小さな政府」とは「簡素で効率的な政府」のことであり、「人員が少なくても効率的な機能が発揮できるようにすべきではないか」と答弁している。
 法案は、国際競争力を強化し、豊かで安心して暮らせる社会を実現するためには、民間の活力を発揮させることが不可欠と宣言。それの向けて官の仕事を民間にゆだねるとともに、行政経費を抑制して国民負担の上昇を抑えることを基本理念とした。そして重点分野として、@政策金融改革A独立行政法人の見直しB特別会計改革C総人件費改革D国の資産・債務改革―を掲げ、数値目標や実施時期を定めている。

 政策金融改革
 政策金融改革では、現在、八つある政府系金融機関を統廃合や民営化で一つに集約し、2008年度から新機関に移行する(ただし国際協力銀行の海外経済協力業務は国際協力機構=JICA=が担う)。
 新機関に統合するのは、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫、国際協力銀行、沖縄振興開発金融公庫(12年度以降に統合)。公営企業金融公庫は廃止する。
 新機関の機能は、@国民、中小企業、農林水産業の資金調達の支援A海外資源の開発、取得の促進B産業の国際競争力の維持向上―に限定。新機関の経営責任者の選任については、特定の省庁幹部の天下りを固定化させない。
 商工組合中央金庫と日本政策投資銀行は完全民営化する(08年度に経営の自主性を確保し、その5〜7年後に政府出資を完全処分する)。商工中金の金融機能、政投銀の投融資機能の根幹は維持する。

 総人件費改革
 国家公務員などの総数の純減、給与制度の見直しで人件費総額を削減。長期的目安として、国家公務員の人件費総額の対GDP(国内総生産)比を10年間で半減に近づけることを目標に掲げた。
 国家公務員については郵政民営化分を含まずに5年で5%以上純減させるとの目標を設定した。
 国家公務員のうち国の行政機関の職員(33.2万人)についても5年で5%以上純減させるとし、農林水産省の統計・食糧管理や国土交通省北海道開発局等の事務事業の減量、ハローワークと社会保険庁の一部業務等の民間委託など重点事項を明記した。事務事業の合理化に伴って職員を円滑に異動させるため、府省横断的な配置転換の仕組みの構築も盛り込んだ。
 地方公務員については5年間で4.6%以上純減するよう自治体に要請。独立行政法人などについては人件費総額を5年間で5%以上減少させることを基本とした。

 特別会計改革
 特別会計の改革を06年度からの5年間をめどに行い、財政健全化に総額20兆円程度の寄与をめざす。
 法施行後、1年以内をめどとして法制上の措置を講じる。
 現在、31の特別会計があるが、他の特別会計、一般会計と統合するものや廃止するものを実施時期とともに明記。これによって特別会計はほぼ半減する。
 その他の特別会計についても、検討の方向性を示した。
 道路特定財源については、一般財源化など見直しの方向性を示した。
 11年度以降、5年ごとに特別会計の存続の必要性を検討することも規定した。

 資産・債務改革
 国の資産額のGDP比を10年間で半減に近づけることを長期的な目安として、国有財産の売却、剰余金の見直しなどで国の資産を圧縮。民間の知見を活用して国の資産・債務の管理の在り方を見直すとした。 
 この改革を推進するため、財政運営の原則として、@将来の国民負担の抑制A金利変動などの影響の抑制B国の債務残高の抑制C剰余金の適正化―を掲げた。
 財務省は、06年度中に改革の具体的内容、手順、実施時期を公表する。

 独立行政法人見直し
 06年度以降に初めて中期目標期間が終了する独立行政法人については、国の歳出の縮減を図る見地から、組織・業務、国の施策の在り方を検討し、必要な措置を講じる。

    ※

 行革推進法は以上の重点分野の改革を、公務員制度改革、規制改革、競争導入による公共サービス改革、公益法人制度改革、政策評価の推進と連携して行うことを定めている。
 また、こうした改革を推進するため、内閣に首相を長とする行政改革推進本部を設置し、事務局を置くことを定めた。
 同法案は10日に国会提出されたが、関連する改革のうち、官民競争導入による公共サービス改革法案(市場化テスト法案)と、民間の非営利団体による公益活動の発展をめざす公益法人制度改革関連法案も既に国会提出されている。 政府・与党は行革推進法案と両法案を一括審議するため、衆参両院に特別委員会を設置する考えだ。

 公明党の主張を反映

 行革推進法案では、公明党の強い主張を受けて「事業仕分け」が随所に盛り込まれた。
 「事業仕分け」は、公明党がマニフェストで大胆な歳出削減の手法として提案。一部の自治体が先行実施しているが、民間などの協力を得ながら国の全事業を廃止、統合、民間委託、地方移管などと仕分けていく作業だ。
 同法案では、まず「基本理念」で、国と地方の事務事業の必要性と実施主体について、事務事業の「仕分け」を踏まえた検討を行った上で、民間委託や行政機構の整理・合理化などを行うことを定めた。
 「重点分野」でも、総人件費改革、特別会計改革で、事務事業の必要性、実施主体について「仕分け」を踏まえた検討を行うことを定めたほか、市場化テストも「仕分け」を踏まえた検討に役立つよう推進することを規定している。
 公明党としては法案の運用において、「仕分け」作業の透明性を確保するとともに、民間関係者や自治体職員の目線を入れること、さらに、改革に当たって「仕分け」の結果を十分に生かすことを繰り返し求めている。
 同法案では、このほか政策金融改革でも、公明党の利用者の立場に立った主張が数多く反映されている。

公明新聞記事(H18. 3. 15)より転載