経済教室NO.4急がれる証券市場改革

Q ライブドア事件の内容を簡単に説明してほしい。

A 事件では、ライブドアの関連会社が株価のつり上げを目的に、企業買収で虚偽の事実を公表したとして、証券取引法違反の容疑が持たれているほか、ライブドア本体でも、自社株売却益を不正に売り上げに計上するなどして、赤字を黒字に粉飾した疑いなどが浮上しています。
 容疑発覚後、ライブドア株は急落し、日経平均株価も一時1100円以上も下落するなど、ライブドア事件は、証券市場に大きな影響を与えました。同時に、公正な証券取引を構築する観点から、証券市場の改革も指摘されています。

Q どのような改革か。

A まず挙げられるのが、証券取引法違反への罰則の強化です。
 違反行為の抑止力を高めるためには、罰則の強化が欠かせません。現行の証取法では、有価証券報告書への虚偽記載などの違反行為に、5年以下の懲役か500万円以下(法人の場合は5億円以下)の罰金が科せられますが、ライブドア事件が起きたことを機に、「欧米諸国に比べ、罰則が軽い」などとして、同法改正による罰則の強化が求められています。
 これに対し、与謝野馨金融担当相は今月6日の閣議後の会見で、罰則の強化について「その方向で法務省との打ち合わせを始めている」と強調するなど、罰則の強化に前向きな意向を示しました。


Q 事件では、「投資事業組合が事件の温床になった」といわれているが、どういうことか。

A ライブドアの投資事業組合は民法上の任意組合として、複数の人から資金を集め、企業に投資、株価が上昇したところで株を売り、売却益を組合員に分配することを目的としています。現行法では、投資事業組合の情報開示や届け出義務がないため、出資者や資産運用の実態が外部から見えにくいとの指摘があります。
 また、役員の派遣などで企業が実質支配する組合でも、連結決算の対象となる基準があいまいであることが組合の不透明な実態を助長する要因といわれています。
 金融庁は、自由な経済活動に支障が出ないよう配慮しつつ、法のすき間を狙った不正な証券取引を規制するため、今国会で提出予定の「金融商品取引法」(投資サービス法案=仮称)に投資事業組合の情報開示などを促す措置を盛り込む方針です。
 
Q 証券市場の監視体制も問われている。

A 事件の再発防止では、市場の監視役である証券取引等監視委員会の機能強化も焦点となっています。米国証券取引委員会(SEC)に比べ、監視委の人員が552人(SECは約3900人)と少なく、権限や独立性でも劣っているとの見方があるからです。
 このため、監視委の増員や権限強化、金融庁からの分離・独立を求める声が高まっています。

Q 構造改革の推進による規制緩和が事件の背景にあるとの指摘もあるが。

A それは、的外れな見方だと言わざるを得ません。実際、政府・与党が進めてきた規制緩和で景気が回復し、日本経済が活性化しつつあることは明らかです。今後、日本が国際競争力をさらに高めていくには、自由な経済活動を促すことが不可欠であり、そのためには、「事前規制」から「事後監視」型の社会を構築することが重要です。
 従って、この事件で問われるべきことは、規制緩和の流れそのものではありません。

Q 東京証券取引所の対応も話題になっている。

A ライブドアへの家宅捜索から2日が経過した1月18日、ライブドア株の売りが殺到し、システムの限界が近づいたとして、東証が売買を全面停止するという異例の事態が起きており、東証のシステムの改善は急務です。
 東証は、証券取引の安定化に向け、早急にシステムの増強を図り、処理スピードを加速させる方針です。具体的には、1日当たりの注文件数の上限を現在の900万件から1200万件に、売買成立(約定)件数を500万件から700万件に引き上げる作業を前倒しし、5月中にも実施できるよう調整しています。

Q 公明党の取り組みはどうか。

A 公明党は金融問題調査委員会(上田勇委員長=衆院議員)を中心に再発防止策を精力的に協議。ここで、6項目からなる具体策を取りまとめ、16日には与謝野金融担当相に申し入れを行いました。
 申し入れでは、「自由な投資活動の維持に配慮しつつ、公正・透明で信頼される証券市場の構築へ、適切な対応が不可欠」として、証券取引法違反に対する罰則の最長刑を10年以下にまでに引き上げるよう要請するとともに、投資事業組合の透明性の確保や、監視委の強化、東証の次世代システムの早期開発などを求めています。

公明新聞記事(H18. 2. 20)より転載