経済教室NO.106年度予算政府案のポイント

Q 06年度予算政府案のポイントは。

A 「改革の総仕上げ予算」として位置付けられている予算案は、「小さくて効率的な政府」をめざす観点から、歳出改革路線の堅持・強化を掲げています。
 実際、わが国の財政再建は待ったなしの状況であり、税金の使い道を見直す徹底した歳出削減が不可欠です。
 そこで、予算案では予算全体の規模を示す一般会計が79兆6860億円(05年度は82兆1829億円)と、4年ぶりの減額となりました。一般会計が80兆円を下回るのは8年ぶりになります。
 また、政策の実行に充てる一般歳出も2年連続の減額とし、05年度比で9169億円減の46兆3660億円としたほか、財源不足を補う国債の新規発行額は、景気回復による税収増などの追い風を受け、29兆9730億円となり、5年ぶりに30兆円以下に抑えました。これにより、財政の国債依存度は41.8%から37.6%へと低下することになります。
 これらの徹底した歳出削減の結果、予算案では国債を除いた歳入と歳出の収支じりを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字額が11兆2114億円と05年度比で4兆7364億円の改善となることから、「財政健全化に向け、重要な一歩を進めた」(井上義久・公明党政務調査会長)といえます。プライマリーバランスの赤字は、行政サービスが借金に依存し、後世代にツケを回していることを意味しているからです。

Q どのような手法で歳出削減を行ったのか。

A 執行実績を的確に踏まえた予算とするため、個々の経費の積算内訳にまで踏み込んだ見直しを行い、その結果、一般会計と特別会計を合わせて約662億円の節約をしています。
 例えば、社会保険庁の国民年金特別会計には、「ポケットベル使用料」という予算が計上されていましたが、執行実績がゼロだったため、06年度では計上せず、約2300万円の節約となりました。


Q 昨年末の歳出削減に向けた改革の成果が反映されているようだが。

A その通りです。今回の予算案は、「改革続行内閣にふさわしい予算」として、昨年末に決着した三位一体改革(国と地方の税財政改革)や医療制度改革などの成果を盛り込んでいます。
 三位一体改革については、07年度までに4兆円を上回る補助金の削減、3兆円規模の地方への税源移譲が決定しており、06年度では補助金1兆8667億円を削減し、代わりに1兆2844億円の税源を地方に移譲します。 
 これに伴い、自治体間の財政格差を是正し、必要な財源を手当てする地方交付税も、地方税収の増加などを背景に、05年度から1兆5305億円減の14兆5584億円と3年連続で前年度当初を下回りました。
 また、患者の窓口負担の見直しや医療行為などの対価として支払われる診療報酬の引き下げなどにより、06年度で約8000億円に達すると予想された社会保障関係費の自然増加分のうち2940億円を圧縮しました。
 このほか、公務員給与の引き下げや、特別会計余剰金を国債の消却や一般会計への繰り入れに活用することなどの成果も取り入れています。

Q 重要課題への対応は大丈夫か。

A 社会保障関係費と科学技術振興費以外の分野では、予算額が軒並み05年度以下に抑制されている一方、重要施策に対しては重点的な配分をしています。中でも、@科学技術振興と人材育成支援A都市再生の推進や地域経済、農村の活性化、生活の安心確保B少子化対策C防災などに対する社会資本整備―の4分野には特に配分を重点化し、予算全体としてメリハリのある内容になっています。

Q 具体的な中身は。

A 緊急課題である少子化対策では、公明党の強い主張を受け、児童手当の支給対象が小学校6年生(現行は小学校3年生)まで拡充された結果、支給率が90%(現行85%)に引き上げられます。医療の分野では、国内外の抗がん剤の研究開発などに関する情報を集約する「がん対策情報センター」(仮称)の設置や、新型インフルエンザにおけるワクチン開発、BSE(牛海面状脳症)や鳥インフルエンザの感染拡大防止などを明記しました。
 また、多発する自然災害への対応として、床上浸水や土砂災害、地震、津波への対策費が増額、または新規計上されています。
 さらに、治安の悪化に対する国民の不安を払拭する観点から、3500人の地方警察官の増員をはじめ、テロ対策や性犯罪者の再犯防止策への取り組みを強化。さらに、中小企業の新事業創出へ異業種間の共同事業を促す「新連携支援」を推進するほか、若者、女性の就労支援にも力を注いでいます。
 一方、文化芸術振興を後押しするため、文化庁予算も05年度に引き続き、1000億円を上回る規模を確保しています。

Q 05年度補正予算案も決定したが。

A 補正予算案の中にも、早急な対応が必要とされる課題への予算措置が手厚く盛り込まれています。
 具体的には、石綿(アスベスト)対策で、労災補償の対象とならない工場周辺の住民などの被害者救済などに1805億円を計上、また、耐震構造設計偽造問題に対しても、自治体が実施する耐震診断や住民の移転費などへの支援を行います。

公明新聞記事(H18. 1. 16)より転載