経済教室NO.25日本経済の好調示す株高

Q 株価が値動きする仕組みや要因から説明してくれないか。

A 端的に言って、企業が資金調達を行うために発行する株式の価格は、市場における投資家の「買い(需要)」と「売り(供給)」の関係で決まります。つまり、株式数で投資家の買いが売りを上回れば、株価は上昇し、逆の場合は、下落することになります。
 また、投資家が株を売買する動機としては、新製品やサービスの開発、決算状況、不祥事など、企業の状態や動きに関係するものが挙げられます。
 経営改善やヒット商品の開発で企業収益が増大し、株主に支払われる配当金(企業の利益のうち株主に還元するお金)の増額などが見込まれれば、その企業の株式購入の動きが活発化し、株価に上昇圧力が生じます。
 しかし実際は、政府が発表する景況や消費に関する指標、また、為替や国際情勢、災害などの外的な要因も株価の動向を左右することから、株価の形成は、これら複数の要因が複雑に絡み合っているといえます。

Q 株価の上昇は、経済にどのような影響を与えるのか。


A 投資する側から見れば、株価の上昇は、含み益(購入価格と時価との差益)をもたらし、その分をさらにさまざまな投資や運用の資金に充てることができます。
 また、発行側企業にとっては、株式の買いが進み、株価が上昇すれば、市場からの資金調達が容易になり、設備投資などへの積極的な対応が可能になります。
 このように、株価の上昇は、買い手、売り手の双方に利益をもたらし、経済全体を活性化させることにつながります。


Q 最近、株価が上昇傾向にあるのは心強い。

A 1990年代のバブル崩壊以降、低迷を続けていた株価は、最近では上昇局面に転じており、1日の東京株式市場では、日経平均株価が5年ぶりに終値で1万5000円台を回復しました。これは、バブル後最安値として2003年4月に記録した7607円の約2倍の水準になります。翌2日には、前日終値比291円10銭高の1万5421円60銭をつけ、今年2番目の上げ幅を記録しました。
 また東京証券取引所では、企業全体の評価額を表す時価総額(ある時点の株価に発行株式数を乗じたもの)が合計482兆円(先月17日終値を基準)となり、日経平均が史上最高値をつけた86年末の606兆円の約8割にまで回復しました。
 これらの数値は、日本経済の好調ぶりを示すもので、市場関係者の間では、原油価格の推移などが懸念されるものの、今後も株価の上昇は続くとの見方が広がっています。


Q 最近、株価を上昇させているのは何か。

A 背景には、国内外の投資家の日本経済に対する信頼感の高まりがあります。
 9月中間決算を発表した多くの企業では、リストラをはじめとする経営合理化の徹底により、売上高や経常利益が軒並み増加するなど、国内企業の業績回復が鮮明になっています。中でも、不良債権の処理にメドを付けた大手銀行6グループは、今回の中間決算で全グループとも黒字を確保。最終利益の合計額も約1兆7300億円と前年同期の22倍にも達し、中間決算としては、バブル期を上回る過去最高益となりました。
 また、10月31日に日本銀行が発表した、当面の政策運営方針を示す「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、景気回復が緩やかながら続き、人手不足による賃金上昇などが物価を押し上げるとの見方から、物価の上昇基調が05年度後半から定着するとの見通しを強調しています。
 10月に消費者物価指数が前年度比マイナスを脱したことと併せ、これまで日本経済に暗い影を落としていたデフレの脱却が近づいていることを指摘しました。
 一方、9月の衆院選で自民、公明の連立与党が圧倒的な信任を得たのを受け、投・開票日の翌日に株価がほぼ全面高になるなど、政府・与党が進めている構造改革への期待感も株価上昇に大きく貢献しているといえます。
Q 投資家の動きはどうか。


A 最近の株取引で中心的な役割を担っているのが外国人投資家です。8月の政府、日銀による「景気の踊り場脱却宣言」を機に、外国人投資家の日本株買いが加速し、先月25日には、東証における買越額が9兆4400億円と、これまで過去最高だった99年の9兆1277億円を上回りました。
 また、インターネット取引の普及などを背景に、個人投資家の株売買も増加傾向で、10月までの東証1部の売買代金の累計は、328兆円に達し、バブル期の89年に記録した325兆円をすでに上回っています。
 株式売買委託手数料の自由化や時価会計(株などの金融資産を現在の価値に換算する)の導入による企業会計の透明性の向上とともに、企業間の株の持ち合いが解消されつつあることが多くの外国人、個人投資家の市場参入を後押している形です。
 今後はさらに、株価の行方を左右する外国人、個人投資家の動向に注目が集まっています。

公明新聞記事(H17. 12. 5)より転載