経済教室NO.23本格化する特別会計改革

Q 国の特別会計とは何か。

A 国の会計には、一般会計と特別会計の2種類があります。一般会計は国の基本的な活動を支える会計のことで、普通、国の予算といえば一般会計のことを指します。
 本来、国の財政は一つの会計方法で運営することが望ましいのですが、国家の機能が複雑になってくると、単一の会計だけでは巨大な収支を処理できなくなってきています。そこで、国が特定の事業を行う場合などに、一般会計と切り離した会計が設置されます。これが特別会計(特会)です。
 特会は、事業の内容や性格によっては国民の「受益と負担」の関係を分かりやすくし、弾力的かつ効率的に運営するのが本来の意義です。
 財政法では、@国が特定の事業を行うA特定の資金を保有して、その運用を行うB一般の歳入・歳出と区分して経理する必要がある―の三つの場合に限り、法律で設置することができるとしています。


Q 特会にはどのようなものがあるのか。

A 現在は国が行う事業の収支を明らかにするための「事業特会」(25会計)、国が行う資金運用の収支を明らかにするための「資金運用特会」(2会計)、その他(4会計)に大きく分類され、全部で31の特会があります。
 具体的には、道路や港湾整備といった公共事業や厚生年金、国民年金など社会保障事業に関するもの、中小企業への融資など政策金融を行う財政融資資金、地方交付税交付金や国債整理基金などの特定の資金の出入りを整理して経理を明確にする会計などがあります。


Q 特会の規模はどのくらいか。

A 2005年度予算における歳出総額は411.9兆円と、一般会計(82.2兆円)の約5倍の規模です。特会間の資金のやり取りなどを除いた純計でも、205.2兆円と、約2.5倍に上ります。
 財源は目的税や保険料などの独自収入のほか、一般会計歳出の6割近くに上る47.7兆円が繰り入れられています。さらには、借り入れなどが複雑に絡んで資金の出入りが複雑になっており、監視の目が届きにくい状況になっています。
 その結果、意義が薄れたり、非効率な事業に硬直的に予算配分されたり、多額の使い残しが生じている事例などが明らかになっています。さらに、所管する省庁が個別に管理し特会ごとに縦割りで扱われるため、各省庁が自分の財布のように自由に予算を使い、既得権益の温床になっているとの批判が強くあります。


Q 例えば、どういうことか。

A 厚生保険特会や国民年金特会では、巨額の予算が赤字経営に陥った保養施設の建設や、委託している公益法人などに天下った官僚の多額の報酬などに使われている実態が浮き彫りになっています。
 また、財務省の発表によると、経済産業省の電源開発促進対策特会に計上している石炭火力発電天然ガス化転換補助金(24億7845万円)は、02〜05年度まで継続して予算を計上しながら、04年度までの3年間に全く使われていませんでした。同補助金は環境に影響が大きい石炭火力発電所を天然ガス利用の発電所に転換する際に交付されるものですが、対象事業はゼロでした。

Q 特会の見直しはどう進めてきたのか。

A 公明党は03年の衆院選向けに発表したマニフェスト(政策綱領)で、「廃止を含め合理化を進める」とし、大胆な見直しを提起しました。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は同年11月、事務事業や構造の見直しなど4項目の方針の下に具体的な方策を提示。04年度予算では事業や制度の再検討を進めた結果、5000億円以上の実質削減が図られています。
 また、財務省は前年度に査定した予算が適正に使われているかどうかを点検する「予算執行調査」を02年度からスタートさせており、特会も含めたムダ遣いを洗い出しています。
 公明党は今年6月、予算編成の基本方針となる「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」(骨太の方針)策定に対する申し入れを行う中で、「各特別会計の透明性を一層高めていくとともに、個別の事業のあり方を検討し、その廃止を含めて見直し等の改革を加速する」よう強く求めています。
 10月11日には党内の行政改革推進本部内に、予算全体の歳出改革に向けて、必要な行政の仕事を絞り込むための「事業仕分け委員会」を設置。同27日に開かれた「与党財政改革等協議会」の初会合では、事業仕分け作戦を特会事業の見直しから採用することが提案されています。

Q 今後の取り組みは。

A 財務省は国債償還や社会保障給付などを除いた事業に使われている17兆円を特会見直しの出発点にする考えを示しています。財政審は18日、合同部会を開き、各特会について民営化・独立行政法人化、一般会計への吸収、統合などで半分程度に整理合理化する一方、必要のない剰余金を一般会計に繰り入れることなどの検討を求める報告書を了承しました。
 政府・与党は今後、報告書をタタキ台に調整を本格化させ、特会改革の基本的な方針を年内にも策定する方向で検討を進めています。国民の目線に立って、税金のムダ遣いに徹底してメスを入れる抜本的な見直しが求められます。

公明新聞記事(H17. 11. 21)より転載