経済教室NO.21曲がり角にきた政策金融

Q 政策金融とは、どのような役割を担っているのか。

A 政策金融は、国の特定の政策目的に基づいた公的な金融活動を指し、現在9ある政府系金融機関(ただし、住宅金融公庫は2007年3月に廃止され、4月から独立行政法人となる)が業務を手掛けています。例えば、国民生活金融公庫や商工組合中央金庫、中小企業金融公庫では、中小企業を対象とした融資などを実施し、リスク(危険性)の高い事業への支援を行っています。
 また、農林漁業金融公庫では、農村や林業、漁業の活力向上を目的に、農林漁業者へ経営改善のための貸し付けを行っており、国際協力銀行は、海外経済協力業務として経済・社会基盤の整備を進める途上国に対して資金を提供(円借款)しています。
 さらに、沖縄振興開発金融公庫が担っている金融面での沖縄振興支援など、政府系金融機関の果たす役割は多岐にわたっています。
 政府系金融機関が支援対象とする事業は、経済活性化や国民生活の安定など政策的な意味合いが強く、民間金融機関だけでは十分な対応が困難とされています。


Q 政府系金融機関の見直しが論議されているが。

A 見直し論議が活発化している背景には、02年12月に経済財政諮問会議(首相の諮問機関)が「官から民」への構造改革の一環として、金融資本市場を効率化し、民間部門の自発的な活動を引き出すための政策金融の改革を打ち出したことがあります。
 同会議の改革案では、今年度から07年度までに統合集約を含めて組織のあり方を見直した上で、08年度からの新体制移行を明記するとともに、住宅金融公庫を除いた8政府系金融機関の貸出残高について、将来的にGDP(国内総生産)比で半減をめざすとしています。
 また、政府系金融機関は、郵便貯金や簡易保険などとして、国民から受け入れた資金が業務の主な源資になっています。先月の郵政民営化法の成立により、官への資金流入における「入り口」の改革が前進したことになりますが、「官のスリム化」を一層進めるためには、「出口」とされる政府系金融機関の改革が不可欠です。そこで、同法成立後に政策金融改革に対する注目が高まっているといえます。


Q 現段階での政府の検討状況は。

A 先月27日に行われた経財諮問会議では、8政府系金融機関の改革についての協議が行われ、民間議員からは意見書が提出されました。
 意見書では、「民間金融では対応できない部分についてのみ、政策金融によって対応する」としつつ、残すべき分野として、@零細・中小企業A鉄道などの社会資本整備B海外経済協力C沖縄政策―に限定する意向を示しました。その上で、08年度からの組織の大胆な整理・統合を提言しています。
 また、金融手法については、証券化などの新しい金融技術を生かし、「市場機能が最大限に活用できる手法とすべき」と強調したほか、最近では、官僚の政府系金融機関への天下りが指摘されていることから、「天下りの廃止をめざすべき」と訴えています。
 同会議では、これらの提案を踏まえ、今月末までに残すべき金融機関の分野や統廃合のあり方などに関する基本方針をまとめる見通しです。


Q 利用者からは、どのような意見が出ているのか。

A 中小企業経営者の多くが所属する日本商工会議所は先月31日、政策金融についての見解を発表し、中小企業では依然、自己資本が過小で資金繰りが厳しいことなどを挙げ、「長期の安定的な資金供給が必要不可欠」と、中小企業に対する金融面でのセーフティーネット(安全網)機能の必要性を強調しました。
 また同会議所は、8月から9月にかけて、政府系金融機関の見直しに関するアンケートを実施しており、中小企業関連3機関の統廃合により、安定的な資金供給などの機能が「失われる」または「どちらかというと薄まる」と回答した中小企業が67%にも上っています。


Q 公明党の具体的な取り組みは。

A 公明党は、この問題にいち早く対応しようと今年6月、党内に「政策金融のあり方に関する検討プロジェクトチーム」(PT、石井啓一座長=衆議院議員)を設置。政府系金融機関や民間、利用者団体などと精力的に意見交換を行ってきました。
 これらの協議を踏まえ同PTは先月28日、小泉純一郎首相と竹中平蔵経済財政担当相(当時)あての要望書を細田博之官房長官(同)と竹中経財相に手渡しました。
 要望書では、政府系金融機関の融資残高を縮小し、民業補完業務に徹底させることの必要性を指摘する一方、個人事業主や中小企業を対象とする幅広いセーフティーネット機能の維持を訴えたほか、農林漁業や沖縄振興に関しても民間企業ではリスク評価が困難な分野での政策金融の継続などを求めています。

公明新聞記事(H17. 11. 7)より転載