経済教室NO.16国の税収 4年ぶり増加

Q 2004年度の国の税収はどの程度増えたのか。

A 04年度一般会計の決算では国税収入が45兆5900億円となり、前年度より5.3%、金額で2兆3000億円増加しました。04年度当初予算と比較しても3兆8000億円以上も上回っており、当初の税収見込みをこれほど大幅に超えるのはバブル景気の時代の1989年以来、15年ぶりのこと。昨年末に編成された補正予算後の見込み額と比べても1兆5000億円以上増えています。
 税目別に収入を見ると、基幹税といわれる所得税、法人税、消費税の3税のうち、03年度に税収が増えたのは法人税のみでしたが、04年度は法人税が前年より1兆3000億円(13.1%)伸びたのに加え、所得税が7600億円(5.4%)、消費税も2600億円(2.7%)伸び、3税すべてが増収となりました。これも15年ぶりのことです。
 一方、税収の増加によって、国の借金となる新たな国債の発行額は、当初予算の見込みより1兆1000億円減少。純余剰金も1兆2000億円に上りました。

Q 税収が大きく増加した理由は何か。

A 最大の要因は景気が回復しつつあることです。国内の上場企業は今年3月期、2年連続で最高益を記録するなど、企業収益は極めて高い水準まで膨らんでいます。これを受けて法人税収は03年度から増加に転じ、04年度は13.1%という高い伸びを示しました。
 また、企業が蓄えた利益を従業員の賃金アップや株主への配当に振り向けるようになったため、給与や配当金が増加し、これが所得税の増収をもたらしました。同様に、家計などに少しずつ余裕が生まれ、消費支出が増えたことが消費税の増収につながっています。
 このように、景気の動向は税収の増減にストレートに反映されるため、今後も景気回復の流れが維持され、企業が収益を従業員や株主に還元する傾向が強まれば、景気回復―税収増加―財政再建という好循環が確立し、本格的な財政再建の進展が期待できます。

Q 税収が増えたという一方で、政府はサラリーマン世帯を中心に「大増税」を予定しているという話も聞くが。

A サラリーマンへの増税といわれたのは、政府税制調査会が6月21日に発表した「個人所得課税に関する論点整理」の中で、@サラリーマンの所得から一定額を経費として差し引く所得控除の縮小A専業主婦のいる世帯の税負担を軽減している配偶者控除の廃止B16歳から22歳までの扶養親族のいる世帯の税負担を軽くする特定扶養控除の廃止―などの内容を打ち出したことによります。
 しかし、これらの項目はあくまで今後の検討課題を整理したにすぎず、何一つ、政府の方針として決まったというようなものでは全くありません。実際に毎年の税制改革の具体的な内容を協議し、決定しているのは与党の税制協議会ではあり、政府税調は、あくまで専門家の論議、今後の参考にすぎないのです。
 マスコミが、発表された内容をいかにも既定の方針であるかのように取り上げ、されに発表がちょうど都議選の直前であったことから、野党側が「大増税路線」などと選挙戦の宣伝材料に利用したことが、いたずらに国民の不安をあおる結果となったものです。

Q これからの少子高齢社会を考えると、負担増は避けられないのでは。


A 。たしかに高齢化の進展で、社会保障費が増加するなど、国の財政は今後、さらに厳しい状況となることは明らかです。
 しかし、だからといって、安易な増税に頼ることは許されません。今回の政府税調の打ち出した内容は、景気回復や歳出削減を考慮しないでサラリーマンという取りやすいところを狙い撃ちした増税案との批判は避けられず、公平の確保という税の基本原則から見て、実現性という点からは別問題の内容となっています。
 しかも、国民負担の増加は景気に悪影響を及ぼす恐れも大きく、増税―景気後退―財政悪化という悪循環を招きかねません。
 今後、国民負担の在り方を検討せざるを得ないとしても、その前に、安定成長経済による自然増収の確立や、歳出のムダを徹底して排除することが先決です。公明党はマニフェスト(政策綱領)の柱の一つに「ムダの一掃」を掲げ、ムダ遣いの見直し、歳出の大幅な削減を訴えてきましたが、国・地方を通じてまず、「ムダゼロ」への取り組みを大きく進展させることが、不可欠だといえます。
              
公明新聞記事(H17. 7. 18)より転載