経済教室NO.14検討進む投資サービス法

Q 新しいタイプの金融商品が次々に登場しているようだね。

A 背景には、銀行や証券、保険など金融業務の「融合」の進展があります。すでに、銀行での窓口販売が認められている投資信託や一部保険商品の販売手数料は、銀行の有力な収入源になっています。昨年、12月には銀行での証券仲介業務も解禁されています。利用者にとっては、身近な銀行で、多くの金融商品を選べるメリット(利点)が生じています。
 ただ、同じ銀行販売が、仲介する商品でも、株式や投資信託は預金と違い元本割れのリスク(危険)がつきものです。また、金融商品の中身も多様化しています。
 最近では、金融技術の進展を背景に、ラーメン店に投資する「ラーメンファンド」、タレントの卵に投資する「アイドルファンド」など、今まで聞いたことのない投資商品が出ています。しかし、株式などと違い、不公正な取引をしても規制する法律がなく、法のすき間を狙った詐欺的な業者の横行も心配されます。
 実際、少ない元手で多額の為替取引ができる外国為替証拠金取引では、悪質な業者がお年寄りに十分な説明もせず投資させ、大損させたりして被害が相次ぎ、社会問題化しました。このため、金融庁は7月1日に施行する改正金融先物取引法で外為証拠金取引を規制対象に加え、悪質業者の排除に乗り出します。

Q 金融商品に関する法律はどうなっているのか。

A 日本では金融先物取引法のほかに、株式や国債・社債など有価証券を対象にした証券取引法、抵当証券(不動産を担保に企業などに資金を融資する抵当証券会社が一般の投資家に販売する証券)業法、鉱物や農産物などを対象にした商品ファンド法、銀行法、保険業法など金融商品の種類によって分かれています。しかし、規制の枠からはみ出す商品が出るたびに既存の法律を改正する”いたちごっこ“の状況が続いています。

Q 従来とは違う対応の方法が必要だね。

A 公明党は6月2日、政府に来年度予算編成の基本方針となる「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」(骨太の方針)の策定に対する申し入れを行いましたが、その中で、「金融実態に対応した利用者保護ルールの整備・徹底」を求めています。
 金融庁は現在、投資性のある金融商品を総称して「投資商品」と呼び、商品ごとに規制する法律に分かれていたのを改め、すべての投資商品を規制する法律づくりを進めています。今年度からの金融行政の新指針「金融改革プログラム」には、さまざまな金融商品を包括的にカバーする「投資サービス法」(仮称)を制定する方針を盛り込みました。
 5月27日は、証取法を衣替えして制定を目指す投資サービス法(=金融サービス・市場法)に関する「中間整理」を金融審議会に示しています。同審議会では、これを議論のたたき台として詳細を詰め、7月にも法制化に向けた基本的な考え方をまとめる方向です。
 中間整理の中では、投資商品として、株式や国債・社債などの債券以外のさまざまな金融商品を例示。商品ファンドや、オフィスビルなどに投資する「不動産ファンド」といった証取法以外の法律で規制されている商品や、アイドルファンド、ラーメンファンドのような投資家保護ルールのない商品も投資商品とみなすとしています。
 さらに、「銀行法や保険業法についても、販売・勧誘等に関するルールなどについて投資サービス法と一元化することについて検討を行うべきだ」とし、販売・勧誘などについては、預金と保険も同法の対象とする見解を打ち出しています。
 銀行預金では、「デリバティブ預金」と呼ばれる価格変動型預金などで、近年、急速に普及しています。保険商品では、「変額保険」が挙げられています。株式や債権を中心に資産を運用し、実績に応じて保険金や解約時の払戻金が増減するものです。

Q 外国ではどうか。


A 法整備のモデルとされているのが、英国の「金融サービス市場法」です。英国では1986年に金融と保険を除く業法として金融サービス法を制定し、2000年には金融、保険も含んだ法律に改正しました。
 同法では、@市場の信頼維持A消費者保護B金融犯罪の抑止―などを目的とし、あらゆる金融商品・サービスを対象とし、規制を一本化しています。消費者保護を掲げ、金融サービス庁(FSA)という金融機関全体を監督する機関を設け、金融分野の消費者教育を行うなどの仕組みを構築したのが特徴です。
 米国では、英国のような横断的な法律はありませんが、規制すべき投資契約の範囲を幅広くとらえた最高裁の判決を適用し、広く規制の網をかけています。

Q 日本でも、健全な金融市場の育成が急がれるね。

A 日本の個人金融資産(04年度末)は1416兆円ですが、そのうち株式や投資信託などのリスク資産は増えてはいるものの10%弱で、半分以上は現金・預金が占めています。「貯蓄」から「投資」への流れを加速するには、利用者が多様な金融商品・サービスを適正な価格で安心して選べる環境を整えることが求められます。
              
公明新聞記事(H17. 6. 20)より転載